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国産食品の危険性

ネオニコ系農薬は無毒性量以下でも発達障害や不妊など大きな影響を及ぼすかもしれない

発達障害が急増

2012年農薬メーカーが「ネオニコは哺乳動物の神経には影響をしない」と言っていた頃、環境脳神経科学情報センターの木村、黒田純子氏らが培養細胞を用いた実験で世界で初めてごく少量のネオニコがラットの小脳の神経細胞の活動を攪乱して毒性を発揮することを報告しました。
その論文でネオニコチノイド系農薬には、ヒトの健康を害し特に子供たちの脳の発達に影響する可能性があると警告をしました。
この論文は、世界中に報じられて欧州食品安全機関(EFSA)に影響を与えたと言われています。

20年以上前になりますが、学級崩壊と言う言葉が使われるようになりました。
小学校の教室で児童が突然立ち歩く、暴れるなどして、学級運営が成り立たなくなることが相次いで、その一因として発達障害の増加が言われていました。

ですが、当時は発達障害と聞いても何?と言う感じでした。
ところが現在、自閉症スペクトラム障害、ADHD、学習障害は、学校現場の感覚では生徒の10人に1人、文化省の調査でも15人に1人いると言われていて、今ではその存在が当たり前になっています。

では、なぜこれほどまで急激に増えたのでしょうか。

発達障害は、今までは遺伝と言われていました。
しかし、遺伝的要因だけでは短期間にこれほど増えることはないでしょう。

PCBやダイオキシンなどもその可能性がありますが、それらは曝露される量が年々減っています。
なので発達障害が増加する原因と考えるのは難しいでしょう。
木村、黒田氏が注目をしたのがここ20年程で著しく増加しているネオニコ系農薬だったのです。

OECD主要国における自閉症の有病率と農地面積当たりの農薬使用量を見ると農薬の使用量と自閉症の有病率は一致するのです。
これを見ても日本は発達障害大国であることが分かるかと思います。
もちろんこれはあくまで相関関係があると言うだけで、因果関係を示すものではありません。

ですが、12年にアメリカ小児学会が子供に対する農薬の曝露が発達障害や脳腫瘍などを引き起こしやすくなると警告しています。
このことを考えるネオニコが原因ではないかと疑ってしまいます。

発達障害が急激に増えた原因は、ネオニコなのかもしれません。

無毒性量以下でも影響するネオニコ

ニューロン

実は、これが単なる相関関係ではないことが次々と実験で証明されつつあります。

例えば、星信彦神戸大学教授のオーブンフィールド試験があります。
正方形の白い箱の中でマウスを自由行動させ、その情動を観察する実験です。
通常マウスは、好奇心が強いので箱の真ん中にも行くはずですが、ネオニコを与えるとそうはなりません。
木村、黒田氏の実験で分かったことは、ネオニコで動物の脳細胞が発火すると言うことです。
無毒性量のネオニコを投与してわずか1時間後には、マウスは真ん中に行けなくなり、端っこばかり動くようになりました。
さらにゲージを揺らしたり、床を濡らしたりしてストレスを与えるともっと端っこを好むようになります。

また、それだけではありません。
高架式十字路といって、落ちる心配のない壁のある通路と壁のない通路を十字に組んだ迷路にマウスを置くと通常のマウスは好奇心が旺盛だから壁のない通路にも出ていきますが、クロチアニジンを無毒性量の10分の1与えるだけで、ほとんど出ていかなくなります。
これは不安を見る行動試験ですが、このような実験を農薬メーカーは行っていません。
OECDの基準にもないからです。

では、無毒性量とは一体何なのでしょうか。

さらに驚くのはネオニコを与えたマウスが悲鳴を上げたことです。
マウスは普段、イルカのように超音波でコミュニケーションをとっています。
ですが、クロチアニジンを1回与えた後、1時間後に新しい環境に置くだけでチチチッと鳥のように鳴きます。
これは捕食者に遭遇した時と同じで、痛みや恐怖を感じた時に出す声に近く、オスは全例鳴いたそうです。
その一方でメスは一部を除いて鳴かなかったそうです。

クロチアニジンは、様々な感情、情動行動、不安行動と言ったものへの作用が強いのかもしれません。
クロチアニジンは、米、カブ、大根、ニラ、ネギ、大豆、キュウリ、カボチャなど多くの野菜に使われています。

茶葉からよく検出されるジノテフランを人間なら学童期にあたる若いマウスに投与する別のオープンフィールド試験によるとクロチアニジンとは逆で、うつ様行動が減少して運動量が増大し落ち着きがなくなります。
多動症の子供のように行動をするようになります。
ジノテフランは毒性が低く安全と言われ日本で最もよく使われているネオニコです。

ですが、この実験を見るとても安全とは言えそうにないでしょう。
人間の子供の場合、不安や恐怖に耐えてそれでも耐えられないと多動になったりキレたりするのかもしれません。

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ネオニコで精子が作られなくなる

星氏は、ネオニコを投与されて異常行動をとったマウスの精巣を調べています。
するとウズラの実験と同じで無毒性量の5倍で精巣から精子が消えていたとのことです。

これは抗酸化酵素が減って活性酸素が増えたことが原因なのか、それとも男性ホルモンのテストステロンが減ったので精巣が育たなかったのかは分かりませんが、どちらにしても劇的に精子が減っていました。

ネオニコが哺乳類の精子を減らして受精能力に大きな影響を与えていることを実証した実験は他にもあります。
東海大学の坂部貢医学部長、寺山隼人教授らの実験があります。
同じげっ歯類でもラットでは、精子が作られなくなることが確認されていますが、マウスではそこまで影響がないようです。
ですが、男性ホルモンのテストステロンの濃度は全て下がりました。
人間で言えば、10代の若者が高齢者と同じ濃度まで下がってしまいます。

男性ホルモンが減少すると老化が進み、記憶力や学習能力が落ちると言われています。
精子の活動力を下げるのは活性酸素の増加とテストステロンの減少だと言われています。
なので双方に影響するネオニコは深刻な問題になると言えます。

アメリカのハーバード公衆衛生大学院の研究チームが不妊男性から精子サンプルを採取して、食習慣について聞き取り調査をしています。
すると農薬が多く含まれる野菜や果物を多量に摂取した男性ほど総精子数も正常な精子数も少なかったのです。

近年では、世界的に精子が減少していると言われています。
デンマークのN.スカケベック博士が過去50年間で精子数が半分以下になっていると発表しています。

最近でもイスラエルの研究者らが1973年に精液1ml当たり9900万個だった精子数が2011年には4700万個と半分以下に減少したと報告して話題になりました。

原因は環境ホルモンだと言われましたが、ネオニコも重要な原因物質ではないでしょうか。

精子は、精液1ml当たり1億個が標準と言われています。
受精能力は精子の数と運動率で決まります。
数がたくさんあり元気であれば受精しやすいですが、精子数が2000万以下、運動率が4割を下回ると不妊になるとされています。

近年、日本人の不妊率も高くなってきています。
不妊の原因はこれまで女性にあるように言われていましたが、実はその半数は男性側に問題があるとされています。
その原因はネオニコかもしれません。

ネオニコで子供の衝動性が増加

統計データイメージ

妊娠中から出産後までの母マウスにネオニコを投与したところ、子供のマウスの脳にもネオニコが移行していました。
その新生子らを離乳後はネオニコなしで育てた場合でも様々な弊害が出たとのことです。

メスは影響が全くなかったのですが、オスだけ性行動と攻撃性が激しくなりました。
それも投与量が高濃度よりも低濃度で強く影響が出ました。

また、マウスは臆病で基本的に暗い場所を好んで、捕食者に狙われやすい明るい場所を避けるのが普通です。
しかし、明暗箱を使って不安行動を調べると不安が低下したのか、明るい場所にも出ていきやすくなったのです。

性行動や攻撃行動が増えたり不安を感じるはずの場所に出たりするのは、衝動性の増加が考えられます。
ADHDの症状を呈したとも考えることができます。

高濃度ほど強い影響が出るのが普通ですが、低濃度で強い影響が出るのは内分泌攪乱物質によくあるパターンです。
内分泌攪乱物質の中には、高濃度では強い影響が出ないのにその100倍低い濃度で腫瘍を形成すると言うものもあります。

マウスのオスだけが異常行動をとりましたが、人間でも自閉症になるのは圧倒的に男性が多いです。
メスが神経毒性に耐性があるのは哺乳類に共通しているようです。
ネオニコチノイドを分解する酵素があり、その活性が男性よりも女性の方が強いのです。

また、発がん性の試験でも急性毒性試験でも全ての試験でオスよりもメスの方が高い耐性があります。
男性は少量でも影響が出やすく、神経発達障害も出やすいと言えそうです。

卵巣が小さくなる

星氏はこんな実験もしています。
妊娠したマウスに無毒性量のネオニコを投与して生まれてくるマウスがどうなるのか観察してみました。
もちろん、この赤ちゃんマウスにはネオニコは投与していません。
すると、生まれたマウスの卵巣は34%も縮小していました。
卵巣が小さくなっただけではなく、ネオニコを投与しない母マウスから生まれた群と比べて出生時の体重や産む子供の数も大きく減少しました。

さらに、子も子の子も大きくなって母になった時、生んだ子を食い殺す事例が激増したのです。
農薬を直接口にしなくても母親が摂取することによって未来に発症するであろう子供の病に繋がっていると言えます。

DOHaD仮説と言う概念があります。
これは、未来の健康や特定の病気への罹りやすさは、胎児期や生後早期の環境に大きな影響を受けていると言う仮説です。

最近は、妊娠中の環境は胎児の遺伝子に作用し生後の遺伝子の働き方にも影響すると証明されています。

例えば、妊娠中にダイエットなどで母親がカロリー不足や栄養不足になると胎児は生まれてからも飢餓状態が続くと予測をして代謝を抑えて少ない食べ物でも生きていけるような体質になります。

ですが、生まれてから食べ物がたくさんあるとエネルギーを消費できずに太りやすくなり、成人後は肥満やⅡ型糖尿病になりやすくなります。
慢性的に農薬に曝露されなくても、ある濃度の曝露でも将来における子供の成長や疾患に一定の影響があると言われています。

ネオニコは、母親の胎盤を通して胎児の脳を汚染し、将来起こるであろう未知の病の発生源かもしれないと言えるのです。

ネオニコは認知症にも影響

脳伝達イメージ

ネオニコに環境ホルモンの作用があることは多くの専門家が指摘をしています。
かつて日本でも環境ホルモンで大騒ぎした時代がありました。
2005年に国が環境ホルモンのリストを取り下げ、研究が縮小されてきました。

ですが、今でも世界中で環境ホルモンの研究が続いています。
なぜなら生殖系や神経系を攪乱して、ある種のガンの原因になっているだけでなく世代を越えて影響する可能性が指摘されているからです。

かつてこの研究では日本がトップランナーでしたが、今では国を挙げて研究していないのはOECDで日本だけだと言われるほど後退しました。
なぜ日本が研究をやめたのかは今も明らかになっていないようです。

ネオニコの子供への影響はとても深刻ですが、もしネオニコが残留している農作物を中高年が食べ続けたらどうなるのでしょうか。

クロチアニジンを摂取したマウスが、どれだけ物体を認識し記憶しているかを調べる為にこんな実験をしました。
方形の空間に白いブロックを四つ置きマウスにそれを覚えさせた後、一つだけ色がついたブロックに替える。
ネオニコを投与したマウスが色のついた新しいブロックをどれくらい認識しているかを観察しました。
メスは直ぐに見つけて農薬接種させる前とまったく差がありませんでした。

ですが、オスは物体を認識する能力がなくなったのか、何回も見に行きました。
これは短期記憶に影響を及ぼしていると言えます。
認知症によくある短期記憶が衰える症状は、男性の方が発症が早いということになるのでしょう。

短期記憶が悪くなると言うことは海馬に何らかの影響を与えていると言えます。
認知症でも海馬が委縮することで認知機能障害を発症しますが、あるいはネオニコは認知症の障害にも深く関係しているのかもしれません。

調べてみるとアルツハイマーと農薬の相関関係を示す論文はいくつかあるようです。
証明することはできませんが、中枢神経の伝達を狂わすので可能性は十分にあるのかもしれません。

また、これらの実験はあくまでマウスでの実験になるので人間に必ずしも当てはまるとも言えません。
ですが、国が定めている安全基準もマウスなどの動物実験によるものです。
同じ哺乳類であるのでマウスで起こることは、人間にも起こる可能性が十分にあります。

人間で直接実験をするわけにもいきませんし、私たちは世界中で農薬の実験台にされているとも言えるのです。
残留基準値が安全を保証するものではなく、ネオニコの怖さが明らかになるのはこれからかもしれません。

参考書籍⇒本当は危ない国産食品