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股関節が健康寿命を延ばす|健康寿命と平均寿命、ロコモを予防しよう

ロコモが健康寿命を短くする

近年、社会の課題として注目されているのが健康寿命と平均寿命の差です。
健康寿命とは、心身ともに健康的に自立した生活ができる期間のことです。

日本は、世界でも有数の長寿国と言われています。
厚生労働省の簡易生命表(令和5年)によると2023年の日本人の平均寿命は、男性が81・09歳、女性が87.14歳になっています。
日本は長寿国ですが、健康寿命は平均寿命より男性で約9年、女性で約12年短くなっています。
つまり、寿命になるまでの10年程度の期間が介護や何かしらの支援が必要な状態になってしまうということです。
健康寿命を短くする一因となっているのが、ロコモティブシンドロームです。

ロコモティブシンドロームは、筋肉や骨、関節、軟骨といった運動器の障害によって移動機能が低下した状態のことです。
このまま放っておくと将来寝たきりや要介護になるリスクが高くなってしまいます。

厚生労働省が発表した国民生活基礎調査によると筋肉や骨、関節など運動器の障害が要支援や要介護の大きな原因となっていて健康寿命を短くしてしまうことに繋がっています。
私たちが普段何気ない日常動作を問題なく行うことができるのは、骨や筋肉が身体を支えて動かす原動力となって働いているからです。
その中でも股関節は人体最大の関節で、下肢の動きの中心的な役割をしています。
股関節の動きが悪くなってしまうと、歩く、立つ、座るなどの基本動作が困難になり活動量の低下に繋がってしまいます。
健康寿命を延ばす為には、股関節を円滑に動かすことができることがとても重要と言えます。

股関節によって日常動作が可能

股関節とは、上半身と下半身の間にあり脚の付け根部分にある関節のことです。
太ももの骨である大腿骨の丸い部分(大体骨頭)が骨盤の受け皿の部分(寛骨臼)にはまり込んでいます。
大腿骨頭と寛骨臼の表面は弾力のある関節軟骨で覆われていて、骨同士がぶつかり合うのを防いでいます。
関節をスムーズに動かすだけでなく、運動の衝撃から関節を守っています。

また、股関節の周囲は多くの筋肉や腱などで覆われているので、安全に様々な方向へ動かすことが可能です。
股関節の動きに関わる様々な筋肉が協調して働くことで股関節の可動域の確保や複雑な動きができるようになっています。
これらの動作によって股関節は、歩く、座る、立つなどの日常生活にとても重要な役割を果たしています。

しかし、運動不足などによって筋力低下、悪い姿勢によって身体のバランスが崩れて筋肉に負担が加わると常に緊張状態になってしまい筋肉が硬くなってしまいます。
筋肉が硬くなってしまうと股関節の動きが悪くなり可動域が狭くなってしまいます。
それが痛みや違和感の原因となります。

股関節が硬くなると日常生活に支障が出てくる

運動する女性

股関節周辺には多くの筋肉や腱があり、大腿動脈という太い血管やリンパ節、太い神経も通っています。
なので股関節周辺の筋肉が硬くなってしまうと血管やリンパ管が圧迫されて、むくみや冷え、代謝の低下などに繋がってしまいます。

また、軟骨で覆われた大腿骨頭は寛骨臼に深くはまり込んでいるので、血管が少なく血流障害が起こりやすいです。
血流障害になってしまうと大腿骨頭は栄養素と酸素が不足して壊死してしまい、骨の変形、萎縮、痛みが出て歩行障害や立位保持が困難となってしまう可能性があります。
これは、大腿骨頭壊死症といい現在増加傾向にあるようです。
30~60代の働き盛りの年代で多発し高齢になると減少してくる特徴があります。
壊死の範囲が小さい場合は、自然治癒する場合もあると言われています。

股関節が硬くなってしまうと身体を動かすことが億劫になったり、動作時に痛みが出たりするので活動量が低下したりし、筋力低下を招いてしまいます。
筋力が低下してしまうとロコモティブシンドロームのリスクが高くなってしまいます。
そうなると日常生活に支障をきたし寝たきりや要介護になるリスクも高まってしまいます。

加齢により関節軟骨が変化したり、体重増加による関節への負担が増えたりすることで、股関節のバランスが悪くなり表面の軟骨がすり減ってしまう変形性股関節症になってしまことがあります。
関節の動きが硬くなり、動作時に痛みが出てきます。
股関節の問題で最も多い症状と言われています。
股関節の変形によって膝に強い負担がかかり膝の痛みを抱えている人も多くいます。
治療の多くは、運動療法や薬物療法といった保存療法です。
症状の改善が見られない場合は、人工関節置換術など手術療法が検討されます。

腰痛に悩んでいる人も多いかと思いますが、腰への負担も股関節が関係しています。
股関節が問題で腰痛になっている状態のことをヒップスパインシンドロームと言います。
日々の腰の筋肉への疲労が蓄積した際にぎっくり腰になるリスクが高くなるとも言われています。

このように股関節が硬くなってしまうと日常生活に支障をきたし、健康寿命を縮めてしまうことになります。
将来、介護が必要になってしまう場合もあるので、普段から股関節が硬くならないようにすることが重要と言えます。
その為には、運動をして股関節を意識的に動かすことが大切です。
股関節周辺のストレッチも有効です。