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ドーピングはなぜいけないのか?最悪、死に繋がる危険がある

ドーピング規制は1960年代に始まった

残念なことですが、不正をする人は昔からいて絶対にいなくなりません。
社会は、不正を発見して抑制する為に様々な対策をしてきました。
例えば、警察の介入、法律の制定、違反者への罰則や罰金などです。

スポーツの世界にもルールがもちろんあります。
1950年代までは、競技ルールさえ定められていればフェアプレーの概念は十分に保たれると言われていました。
ですが、スポーツが金儲けや名声を得る為に利用されるようになり、その状況は少しずつ変わっていきました。

今でもそうかもしれませんが、アスリートやコーチ、その関係者たちの中には勝つ為には手段を選ばないと言う人たちがいるものです。

今ではどんなスポーツでもウェイトトレーニングを行うことが当たり前になっています。かつてウェイトトレーニングでさえ倫理に反した不正な手段とみなされたこともありました。

ドーピングの規制が始まったのは1960年代です。
1960年のローマオリンピック、1967年のツール・ド・フランスのようなメジャーな自転車レースの最中に選手が亡くなってしまったことがきっかけです。
調査の結果、競技能力を高める為の興奮剤が投与されていたことが明らかになりました。
これはスポーツ界にとって大きな衝撃となったのです。

これによってIOC(国際オリンピック委員会)は、医療委員会を設置して詳細な調査を行うことにしたのです。
IOCが初めてドーピング検査をしたのが1968年のメキシコオリンピックの時です。
メダリストたちは、競技後に採尿を受けて検査が行われました。

当時は、競技会時に効力を発揮するのはアンフェタミンのような興奮剤だけとされていました。
このような興奮剤は尿から簡単に検出ができるので競技後の採尿だけで十分に検査を行うことができると考えていました。
ですが、実際は大きく異なり、興奮剤は氷山の一角でしかなかったのです。

ドーピングはなぜ悪いのか

そもそもなぜドーピングは、悪いことなのでしょうか。
まずドーピングをした選手が有利になってしまいと言うことが挙げられます。
競技者の条件が同じでなければ、クリーンな選手はまともに競えなくなってしまいます。
ならドーピングOKにすれば条件が統一されていいのではないかと思う人もいるかもしれませんが、重要な問題が出てきます。
それは、選手の健康と安全を損なうことです。

ドーピングは最悪、死に繋がってしまう可能性もあるのです。
先ほどのアンフェタミン、他にも90年代のESA(赤血球刺激因子)などもそうです。
ドーピングが悪い一番の理由はこれでしょう。

ドーピングの分類

スポーツパフォーマンスを増大させるドーピングは大きく3つに分類されてきました。
現在では、4つ目として遺伝子ドーピングが加えられています。
ですが、遺伝子ドーピングについてはまだその詳細は示されていません。

興奮剤

興奮剤は、そのほとんどが外因性物質で人の体内に通常存在しない物質です。
その為、検出は非常に簡単です。
興奮剤は、競技中のみ効力を発揮するので大会直前に使用されることが多いです。
興奮剤やその代謝物質は、体内に入ると腎臓で尿となって排泄されるので競技が終わった時点で尿を採取すると検出されやすいです。

アナボリック物質

いわゆるこれが筋肉増強剤です。
1960年代以降、パワー&ストレングス競技の悩みの種となっています。
そして、持久系スポーツでも使用されるようになり陸上競技、自転車競技、ボート競技、水泳、格闘技、サッカー、バスケット、野球、テニスなど様々なスポーツに広がっていきました。

アナボリック物質は、興奮剤と異なり競技大会前の数週間、数ヶ月、あるいは数年間にわたって使用されてこの期間にアスリートの筋力は顕著に増大し、疲労回復能力も爆発的に向上します。

スポーツパフォーマンスを向上させるには普通、厳しい練習、トレーニングを積み重ねて得ることができます。
ですが。アナボリック物質を使用すれば筋肉の増強が著しく向上するのでトレーニングの効果を早く得ることができます。
それがスポーンパフォーマンス向上に繋がります。

アナボリック物質は肝臓で代謝されて、ほとんどは尿によって排泄されます。
ただし一部の代謝物質は爪や髪の毛に蓄積することが分かっています。
また、外因性のアナボリック物質を使用すると内因性のアナボリックホルモンの生産が抑制されてしまいます。
それによって健康を大きく害する可能性があります。

近年のドーピング検査の技術は飛躍的に向上しているので外因性と内因性の両方のアナボリック物質を検出することができます。

禁止物質の分類

禁止物質の分類禁止の範囲検査方法内因性と外因性の区別
興奮剤競技会尿採取ほぼ常に
アナボリック物質常に尿採取、血液採取、頭髪ほぼ常に
血液ドーピング常に血液採取
(検出対象物質によっては尿採取も)
自己血栓症→なし
ESA、同種の輸血、ヘモグロビン代替品→あり
遺伝子ドーピング常に指定なし指定なし

ドーピング検査がしっかりと行わなければ一部の選手の不正行為は永遠になくならないでしょう。

あの手この手を使って検査をすり抜けようとしている人たちもいます。

いたちごっこになっているとも言えますが、ドーピングを発見するプログラムをしっかりと構築して実施していくことが不正行為をなくす手段となります。