健康情報館

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肝臓と腎臓によって体内の老廃物や有害物質が解毒されて排出されている

有害物質は肝臓で解毒される

体内で作られる老廃物や体内に入ってくる有害物質を解毒する働きを担っているのは主に肝臓になります。
肝臓は体重の1/50を占めていて身体の中で最も大きい臓器になります。
体内で発生したアンモニアや食事から摂取したアルコール、アクリルアミドなどは肝臓に集められます。
そして、無害な物質に変えられて腎臓に運ばれていき体外に排出されていきます。

アンモニアを尿素に

アンモニアはタンパク質の代謝によって発生し有害物質になります。
有害なアンモニアは、肝臓で二酸化炭素と結合をしてカルバモイルリン酸になります。
そして、尿素回路(オルニチンサイクル)に入って代謝されて、最終的に無害な尿素になり腎臓に行き尿として体外に排出されます。

アルコールの代謝

ビール

摂取したアルコールの約2割は胃、約8割は小腸で吸収されて肝臓に運ばれていきます。
肝臓に運ばれたアルコールのほとんどは、アルコール脱水素酵素(ADH)、残りはミクロゾームエタノール酸化酵素(MEOS)などの酵素によってアセトアルデヒドに分解されます。
アセトアルデヒドは、発ガン性があり有害物質なので無害な物質に変える必要があります。

アセトアルデヒドは、アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)によって無害な酢酸に変えられます。
酢酸は、さらにアセチルCoAに変化してATPを作り出すTCAサイクルに入って代謝されます。

アルコールの代謝では、ビタミンやミネラルが消費されます。
アルコール脱水素酵素には、亜鉛とビタミンB1、アセトアルデヒド脱水素酵素にはナイアシン、ミクロゾームエタノール酸化酵素には、ビタミンB1が関わっています。
実際にアルコール依存症の患者でビタミンB1欠乏症になっている人も少なくないようです。

薬物代謝

アクリルアミドなどの有害物質と同じ代謝経路で薬も解毒されています。
薬は治療の為に飲んでいますが、体外に排出しなければいけないものになります。
体内に入ってきた水溶性の物質はすぐに尿として排出することができますが、脂溶性の場合はすぐに排出することができません。

有害物質や薬は脂溶性のものが多いです。
なので肝臓で解毒をすると同時に体外に排出されやすい水溶性が高い物質に変化させる必要があります。
この代謝のことを薬物代謝と言います。
代謝経路は2段階になっています。

1段階目は、酸化反応、還元反応、加水分解などが起こって物質を変えて水溶性を高めます。
2段階目は、さらに水に溶けやすくする抱合と言う過程があります。
最終的に水溶性が高い物質になり腎臓へ運ばれて尿として排出されています。
この代謝で活躍している物質は、肝細胞の中にある薬物代謝酵素チトクロームP450です。

チトクロームP450は有害物質や薬を酸化させて水になじみにくい物質を水になじみやすい形に変えています。
アクリルアミドなどの有害物質や薬などの多くはこの酵素が関わっています。

血液をデトックスする腎臓の働き

腎臓

肝臓で解毒された物質は、血液によって腎臓に運ばれていきます。
腎臓は、握りこぶし程の大きさでインゲンマメのような形をしています。
腰の少し上の高さにあり、背骨の両側に一つずつあります。
腎臓は、血液に含まれている肝臓で無害になった物質や老廃物を尿に変えて排出する働きをしています。
デトックスと言う言葉は医学用語ではありませんが、腎臓は血液のデトックスをしている臓器と言えます。

尿を作り体外へ排出する

肝臓から送られてきた血液は、腎臓の輸入細動脈を通り糸球体へ運ばれます。
糸球体はろ過装置になっていて、糸球体の網目で血液をろ過していきます。
この時、血液に含まれているタンパク質や血球などの大きなものはろ過されないようになっています。
電解質やグルコース、老廃物の尿素、尿酸、クレアチニンなどがろ過されます。
この時にこしだされたものが原尿です。

原尿は、ボウマン嚢と言う部位が受け皿となり尿細管へ送られます。
尿細管は血管と隣り合わせになっていて必要なものは血液に再吸収されます。
グルコースの約100%、尿素の約50%、尿酸の約90%は血液に再吸収されます。
そして、尿細管に残ったものが尿となって膀胱へ送られて排出されます。

ホメオスタシスを維持

腎臓は尿を作るだけでなく、体内の水分量、電解質、pHの調整なども行っています。
水分摂取量に合わせて尿の濃度を調整して体内の水分量を一定に保っています。
水分量が多い時は、濃度を薄めて尿量を増やし、水分量が少ない時は、濃度を濃くして尿量を減らしています。

電解質のバランスが崩れてしまうと、むくみや高血圧などになってしまいますが、腎臓で尿中に捨てるナトリウム、カリウムの量を調整しています。

通常、血液は弱アルカリ性です。
しかし、栄養素の代謝などで発生する二酸化炭素の影響で酸性に傾きやすくなります。
なので腎臓で酸を尿中に排出してアルカリ性である重炭素イオンを血液中に放出することで血液のpHを調整しています。

腎機能が低下すると、あまりろ過されることがないタンパク質や血球などの物質が尿中に排出され、タンパク尿や血尿などが起こることがあります。

また、血液のデトックスが滞ってしまうとホメオスタシスの維持が難しくなります。
場合によっては、食塩やミネラル、水分量などの食事制限が必要になることもあります。

腎臓は肝臓と同じように様々な働きをしているので健康を維持する為には、腎臓に過度に負担がかからないような生活習慣を送ることが大切と言えます。