感情の変化は自律神経に影響を及ぼす、交感神経と副交感神経の神経伝達物質の違い

脳の構造と役割

感情が変化することで、私たちの身体にも変化が出ることがあります。
自律神経は、脳内の視床下部からの指示を受けて身体をコントロールしてくれています。
自律神経を理解するには、脳の構造や役割を知ることが大事です。

脳は、大脳、脳幹、小脳に分けられています。
脳の全体の約80%が大脳になり、大脳皮質と大脳辺縁系に分かれています。

大脳皮質は、思考や感情、言語、記憶などを司っていて、大脳辺縁系は、食欲、睡眠欲、性欲などの本能的欲求、生理的な感情。喜怒哀楽を司っています。

脳の奥深くあるが脳幹です。
脳幹には、感覚器からの情報を受け取る視床と自律神経の司令塔になる視床下部があります。

視床下部は自律神経をコントロールし、体温、発汗、呼吸、血液循環、免疫などを調節しています。
視床下部のすぐ下には脳下垂体があります。
脳下垂体は、ホルモン分泌を司っています。

脳幹は、間脳、脳下垂体、中脳、橋、延髄からなります。
脳幹の後ろに小脳があり、小脳は運動や身体のバランスに関わっています。

脳伝達イメージ

感情に自律神経は反応を受ける

急激な驚きや恐怖、怒りなどの感情を情動と言います。
これらの感情は大脳辺縁系が司っています。
本来、情動は自律神経を支配している視床下部に直接届くことはありません。

ですが、視床下部は大脳辺縁系の下にあるので、大脳辺縁系で生じた感情の刺激が情報を伝達して自律神経に指令を出してしまいます。
これによって恐怖や驚きなどの強い感情が生じると交感神経が刺激されて心拍数が上昇したり、血圧が上昇したり、顔面蒼白になったり、冷や汗が出たりなどの様々な反応が出ます。

自律神経は、間接的に大脳辺縁系の影響を受けていると言うことなのです。
また、乗り物が苦手な人が乗り物に乗ることを考えただけで冷や汗が出たり、人前でスピーチをすることを想像しただけで心臓がドキドキしたりすることがあるかと思います。

これは、大脳皮質の思考情報がすぐ内側の大脳辺縁系に伝わって恐怖や不安などの感情を引き起こし視床下部に伝わり交感神経が刺激されることによって起こっています。

大脳皮質⇒大脳辺縁系⇒視床下部⇒自律神経

感情や精神状態に反応する時、自律神経の働きは4つのタイプに分けることができます。

  1. 恐怖や驚き、怒りなどを突発的に感じた場合
    ⇒交感神経が極度に興奮して、短時間で各器官に強い反応が現れる
  2. 持続的な不安や緊張がある場合
    ⇒交感神経と副交感神経のバランスが乱れて体調を崩しやすくなる
  3. 失望や抑うつ、悲哀などを感じている場合
    ⇒交感神経と副交感神経が共に低下して、活動量が低下し食欲不振や睡眠障害などの症状が出ることがある
  4. のんびりと休息を取りリラックスしている場合
    ⇒副交感神経が優位となって、ほとんどの器官や感情は興奮から解放される

神経伝達物質が自律神経を動かす

ニューロン

自律神経の伝達の仕方は、脳内に存在する神経細胞の仕組みと基本的に同じです。
神経細胞同士の間にはわずかな隙間があって、神経伝達物質が飛び交って情報伝達をしています。
構造は類似していますが、樹状突起の形状や軸索の長さなどは各器官に適した形になっています。
中枢となる脳や脊髄を出た後、神経細胞が集まっている神経幹、神経節を中継地点として末梢の器官に伸びています。

交感神経は脊髄を出た後、脊髄の横にある交感神経幹を経由します。
交感神経は、様々な器官を支配しているので多数の器官に影響を及ぼしています。

副交感神経は、脳幹と仙髄から神経が伸びています。
脳幹から伸びている動眼神経、顔面神経、舌咽神経、迷走神経、仙椎神経があります。
交感神経と違って神経幹はありません。

副交感神経の神経節は、ほとんどが各臓器の近くにあり多く支配しているのが迷走神経です。
迷走神経は、心臓、肺、胃、肝臓、腎臓、小腸などほとんどの臓器を支配している神経になります。

交感神経と副交感神経の神経伝達物資の違い

交感神経と副交感神経を構成するのは、中枢(脳、脊髄)から神経節(神経細胞の集まり)、までで終わる節前ニューロンと、神経節からその先の器官や臓器に続く節後ニューロンです。

節前ニューロンでは、神経伝達物質であるアセチルコリンによって交感神経も副交感神経も活動電位が伝わっています。
神経節以降の節後ニューロンでは、各器官や臓器の受容体に向けて交感神経ではノルアドレナリン、副交感神経では同じアセチルコリンになります。

器官や臓器は、放出される神経伝達物質の違いによって、どちらの神経が強く働いているのか判断ができるようになっています。

多くの臓器が交感神経と副交感神経で二重に支配されていますが、これは生体の恒常性を維持することが目的と言えます。

例えば、心臓であれば、より早く拍動する為に交感神経の活動電位を常に受けていると同時に拍動のペースを落とせと言う副交感神経の活動電位も常に受けています。

これらの相反する力は、二つの異なった神経伝達物質の比率によって実際の心拍数が決定されています。

ノルアドレナリンとアドレナリンの違いは?

交感神経の伝達をするノルアドレナリンによく似た名前にアドレナリンと言う物質があります。
一見同じように感じるかもしれませんが、これらは異なる物質です。

ノルアドレナリンは、脳内の神経伝達物質、自律神経の神経伝達物質、副腎髄質から分泌されるホルモンとしての三つの役割があります。

アドレナリンは、神経伝達物質ではなく副腎髄質から分泌されるホルモンとして主に働いています。
大きな違いは、脳への精神的な作用があるかないかです。

ノルアドレナリンは、脳内の神経伝達物質として分泌されるので、恐怖、怒り、不安、集中、覚醒、鎮痛などの精神的な作用に関わっています。

一方でアドレナリンは脳内ではほとんど分泌されませんので、精神的な作用はありません。

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