筋持久力、筋力の落ち方が早いか遅いかを決定する
動的筋持久力と静的筋持久力
筋持久力には、動的筋持久力と静的筋持久力があります。
静的筋持久力は、一定の姿勢や筋力をいかに長く維持できるかと言う能力になります。
例えば、仰向けに寝て足を上げて何分間維持できるか、もしくはしゃがんだ状態で何分キープできるか、などです。
動的筋持久力は、一定の動作を一定のリズムで何回繰り返すことができるか、もしくは一定の負荷を一定のリズムで何回持ち上げることができるかと言う能力になります。
例えば、腕立て伏せが何回できるか、などです。
スポーツでは軽い負荷での弱い筋力発揮だけではなく、強い筋力発揮をどのくらい維持できるのか、どのくらい繰り返し発揮できるのかが非常に重要な要素になります。
筋力ばかりに目が行ってしまいがちですが、筋持久力はスポーツにおいて非常に重要な能力になります。
動的持久力と静的持久力には、相関関係があります。
絶対ではありませんが、基本的に動的持久力が高い人は静的持久力も高くなります。
どんな人でも最大筋力を発揮することを繰り返すと次第に筋力が落ちてきます。
疲れてくるので筋力が落ちるのは当たり前ですが、その筋力の落ち方が早いか遅いか、これも筋持久力の評価です。
また、一定の速度で動く物に対して最大の力を出した時、その力がどのくらいの早さで落ちてくるか、パワーがどのくらい落ちてくるかなども筋持久力の評価になります。
筋力が早く落ちてしまうのであれば、筋持久力がないと言うことになり、落ち方が緩やかであれば筋持久力があると言うことになります。
競技性に合わせて評価の仕方を変えよう
ラグビー選手が等速性筋力計を使って最大努力による筋力発揮を50回行った時、どのくらい筋力や仕事の低下率が変わったかと言う動的筋持久力の実験結果があります。
これによると、筋持久力のトレーニングを行う前と行った後では、後の方が落ち方が軽減されていることが分かりました。
これは筋持久力が増したと言うことになります。
この実験では比較的低速度で大きな筋力発揮をしていますが、ラグビー選手は強い力を何度も発揮すると言う競技特性です。
筋持久力も競技特性に合わせてトレーニング効果を評価することが大事です。
反対に低強度・高回数の筋持久力が必要となる競技であれば、100回、200回と言う回数で持久力を測定した方が良いと言えます。
注意しないといけないのは、動的持久力の場合は相対負荷を同じにしないと正しい評価はできないと言うことです。
例えば、腕立て伏せであれば自重による負荷は基本的に変わらないので、筋力が増すにつれて相対的な負荷は軽くなり回数が増えていきます。
これはあくまで筋力がついたと言うことで筋持久力が増したのかどうかは分かりません。
つまり筋持久力のトレーニング効果として評価してはいけないと言うことなのです。
筋持久力のトレーニング効果を測定するのであれば、常に相対的に同じ荷重がかかるようにする必要があります。
または、常に最大筋力を出すと言う条件の下で動作を繰り返すかです。
最大筋力の25~30%で筋持久力が高まる
筋持久力のメカニズムは完全に分かっているわけではありません。
ですが、動的筋持久力のトレーニング効果を測定する為によく行われているのは、最大筋力の30%の負荷で何回挙上できるかと言うものかと思います。
面白いことに動的筋持久力を高めるには、30%よりも少し軽い負荷を使ったトレーニングの方が良いことが分かっています。
20~25%の負荷を使って挙上不能になるまで繰り返すことを続けると30%で評価した時の回数が上がります。
トレーニング効果を高めるには、軽い負荷で回数を増やすようなトレーニングを行った方が良いと言えるかもしれません。
ですが、あまりにも軽くし過ぎてしまってもダメです。
例えば20%以下の強度になってしまうとほぼ無限の回数を繰り返すことができる日常的な負荷強度になってしまいます。
そうなってしまっては、何回やっても疲れることはまずありません。
軽すぎてもダメなので、その見極めが難しいとも言えるかもしれません。
ただ最大筋力の25~30%を目安にすれば、間違いはないでしょう。
では、筋持久力が高まると筋肉に何が起こるのでしょうか。
最も顕著なのは筋肉の中の血流量です。
筋持久力のトレーニング効果は、筋肉の中の毛細血管が増え運動中に筋肉の中を流れる血液の量が増えてきます。
その結果、筋持久力が増します。