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トレーニング・フィットネス

低負荷・高回数のトレーニングでも筋肉は肥大する!内部環境を悪化させることが重要

加圧トレーニングやスロートレーニングは内部環境が急激に悪化

2000年代前半までのトレーニング界には、メカニカルストレス信仰、つまり負荷強度こそが筋肥大の絶対条件と言う価値観がありました。
これまで80%1RM前後のスタンダードな負荷を使わないと筋肉は太くならないと半ば盲信されてきました。
もちろん負荷強度はとても重要な要素ですが、これは絶対条件ではありません。
近年の研究ではその考え方も大きく変わってきています。

今でも重い物を持ち上げないと筋肉は大きくならないと思っている人も多いかもしれませんが、必ずしも負荷強度にこだわる必要はないのです。
どんな負荷を使っても、自重トレーニングであっても工夫次第でしっかりと筋肉を肥大させることができます。

負荷強度が絶対条件ではないと言うことが分かったきっかけは、加圧トレーニングやスロートレーニングの研究でした。

なぜ軽い負荷でも筋肥大が起こるのか、その疑問を解き明かしていく過程でこれまでの常識とは全く違うメカニズムが明らかになったのです。

加圧トレーニングとスロートレーニングは、筋肉の内部環境を急激に悪化させると言う共通の現象があります。
筋肉内部の環境が悪化するとは、筋肉の中の酸素環境が悪くなると言うことです。

筋肉が運動をすることで血中のヘモグロビンと結合している酸素が消費されていきます。
通常であれば、それを補う為に酸素を結合した新たなヘモグロビンが筋肉に届けられます。
ところが加圧トレーニングやスロートレーニングで血流が阻害されると新たなヘモグロビンが送られてこなくなります。
そうなると筋肉の中の酸素を結合したヘモグロビンの量が減っていきます。
その結果として利用可能な酸素濃度がどんどん低下していきます。

加圧トレーニングやスロートレーニングは、急激に筋肉内部の環境を悪化させます。

内部環境が悪化すると速筋繊維が動員されやすくなる

筋肉の中で利用可能な酸素が減ると酸素を必要とする遅筋繊維ではなく、酸素の供給が不十分でも動ける速筋繊維がより多く動員されることになります。

速筋繊維が使われると乳酸が多く出てきますが、血流が制限されていると乳酸などは筋肉の中に溜まっていきます。
すると筋肉の中にある代謝物受容器が興奮して、筋肉が重くなったような感覚が出てきます。
さらにその信号が中枢に届くと色々なホルモンを分泌させる指令を出すようになります。

筋肥大とホルモンは直接的な関係があるわけではないと言えますが、筋肥大の為の刺激とホルモンを分泌させる刺激は共通しています。

ホルモンが分泌されるようなトレーニングは、筋肥大の刺激となるトレーニングをしたと言うことになります。

加圧トレーニングやスロートレーニングでなくても、筋肉が極度に疲労をすると筋肉の中の酸素環境は悪化します。

トレーニングをして疲労困憊まで筋肉を追い込めば、速筋繊維にトレーニング効果が出やすくなるのです。
軽い負荷であっても限界まで追い込む工夫をすれば、筋肉の肥大が起こりやすくなります。
いかに筋肉内部の環境を悪化させられるかがポイントと言うことになります。

低負荷・高回数でも筋肥大は起こる

筋肉質な身体

一般的な80%1RM前後の強度を使ったトレーニングの場合、8回ほど動作を繰り返し、3セット行えば筋肉をオールアウトまで追い込むことができます。

なので強度の高いトレーニングは効率よく速筋繊維を使うことができて短時間で筋肥大効果を生み出すことができると言うことになります。
別の言い方をすれば、回数の少ない楽なトレーニングで筋肥大をさせたかったら負荷を重くする必要があると言うことです。
その上でフォーストレプスやディセンディング法などでトレーニング容量を高めれば、さらに筋肥大効果は高くなります。

一方で軽い負荷や自重トレーニングで筋肉を肥大させようと思ったら、回数を増やさないといけません。
あるいは、少ない回数でオールアウトに追い込めるような何か工夫をする必要が出てきます。

昔ながらのいわゆる根性型のトレーニングは、決して間違いではなかったと言うことです。

低負荷・低回数のトレーニングでも筋肥大を起こすことができる特殊は方法が、加圧トレーニングやスロートレーニングと言えます。

今でもメカニカルストレス信仰は根強いですが、もうそれは過去のものです。
負荷強度は重要な要素ではありますが、絶対ではなく低負荷でも筋肉を肥大させることは可能です。

ホルモンと言う循環系の要因が筋肥大を促していると言う考えが主流だった時代もありましたが、それも今ではマイナーな要素と考えられています。
むしろ筋肉の内部環境と言う局所的な問題が重要である、となってきています。

重い物を持てば筋肉は太くなると言う考えは、もう古い常識です。
筋肉を疲労困憊まで追い込むことが重要な要素です。

負荷が軽くても回数を多くこなし筋肉をオールアウトまで追い込めば筋肉は肥大していきます。