肩こりは「叩く」「揉む」では解消しない|ボディスーツファシアの硬化、変形が原因かも
叩いて揉んでも改善されない肩こり
肩こりや首こりに日々悩んでいる人は多いかと思います。
自分で肩を叩いたり揉んだり、あるいは街中にあるマッサージ店に行ったりして症状を解消させようとしている人も多いのではないでしょうか。
しかし、凝った部分を叩いたり揉んだりしても一時的に楽になりますが、反対に症状を長引かせてしまうかもしれません。
肩こりについて「血流が悪くなり乳酸などの老廃物が溜まって痛みを感じている」このような説明を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
確かに血液循環を良くしてあげれば肩こり解消に繋がるのは間違いないと思います。
軽い肩こりの場合であれば、叩いたり揉んだり、もしくは磁器治療器を使ったりすれば解消することもあります。
ですが、これだけで筋肉の凝りが解消するのは実は希なのです。
なかなか凝りが取れないからといって無理して叩いたり揉んだりしてしまうと炎症を起こりしてしまうこともあり逆効果になってしまうこともあります。
いわゆる揉み返しです。
凝りに効くとされている鎮痛消炎薬なども根本的な改善には繋がりません。
有効成分が効かなくなれば、症状はまた出てくるからです。
では、どうすれば良いのではないでしょうか。
最近、注目されているのがファシアという皮下にある網目状の結合組織です。
ファシアの硬化や変形が肩や首のこりの大半に関係していると考えられています。
このファシアをほぐすことができれば肩こりを解消させることができると思われます。
ファシアの硬化や変形が肩こりの原因
ファシアは、皮下にある網目状の結合組織ですが、聞いたことがない人も多いかと思います。
でも、筋膜であれば聞いたことはあるのではないでしょうか。
ファシアは、筋肉や内臓をベールのように包んでいる組織の総称になり、筋膜はファシアに含まれます。
筋肉は通常、骨と関節を繋ぐ組織で全身にそれぞれ独立して存在しています。
一方で、ファシアはボディスーツとも呼ばれるように主に6つのラインに分かれて全身の様々な筋肉を横断的に覆っています。
縦横斜めに自在に伸縮して筋肉と筋肉が上手く働けるように調整をしていると考えられています。
例えば、足先と頭のファシアが関係して身体を動かしているというケースがあります。
ファシアの概念は2001年、米国のトーマス・マイヤース氏が提唱しました。
経絡やツボとも関係が深く、足のツボを刺激すると肩こりに効くのはファシアが反応している可能性があります。
マイヤース氏は、ファシアをほぐすのにヨガのポーズを取り入れているようです。
では、ファシアの硬化や変形がどうして肩こりや首こりを引き起こしてしまうのでしょうか。
ファシアはもともと柔軟性に富んでいてスムーズに動く組織です。
しかし、身体を動かさないでいると硬化したり悪い姿勢のままでいると変形してしまったりしてしまいます。
例えば、猫背を続けてしまうと背中や肩、首周辺のファシアも変形してしまい硬くなってしまいます。
筋肉をカバーするファシアが歪な形状になれば、筋肉も正常に働けなくなり、凝りの大きな原因になると考えられています。
ファシアには、感覚受容器があり硬化したり変形したりしてしまうと痛みを感じるようになります。
ファシアが変形し硬くなっている状態で筋肉だけをほぐそうとしてもなかなか上手くいきません。
もし、マッサージしても凝りがなかなか取れなく痛みがぶり返してしまうのであれば、ファシアの硬化や変形が原因として考えることができます。
ストレッチでファシアがほぐれる
ファシアをほぐすには、身体を動かしながら姿勢を矯正するようなストレッチが有効です。
ファシアは運動をすれば柔らかくなり、正しい姿勢を取っていると形状記憶合金のように正常な状態に復元する性質を持っています。
ファシアに包まれている筋肉も一緒に動かせるので、血流の改善も期待できます。
ストレッチを続ければ、ファシアが正常な状態になり解消できなかった肩こりや首こりも取れるかもしれません。
入浴後にストレッチをすれば、より効果的に行うことができます。
ファシアの硬化や変形には、通常のストレッチよりもヨガのポーズがおススメです。
ヨガのポーズは、ファシアをほぐす効果が期待できます。
ファシアの概念を提唱した米国のトーマス・マイヤース氏は、ヨガのポーズを取り入れています。
古来の東洋医学のエビデンスがファシアによって明らかになったとも言えるかもしれません。
肩こりや首こりなどに悩んでいる人は、ヨガを取り入れてみてはどうでしょうか。
といってもヨガのポーズは身体が硬いとなかなかできません。
ヨガのポーズをマネて自分ができる範囲で行えば良いです。
続けていれば少しずつできるようになっていくかと思われます。
参考雑誌⇒プレジデント2024年12/13号 間違いだらけの健康常識