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トレーニング・フィットネス

筋肉が大きく肥大するのは「筋繊維再生系」と「タンパク質代謝系」によって起こる

筋肥大には「再生系」と「代謝系」の2つのメカニズムがある

筋力トレーニングをすると筋肉は肥大して大きくなっていきますが、果たしてどのようなメカニズムで筋肉が肥大するのでしょうか。
これは今でも完全に解明されているわけではありませんが、ここ10数年でかなりの研究が進んでいきています。

筋肉が大きく肥大するメカニズムは、大きく分けると2つあることがはっきり分かっています。
それが「筋繊維再生系」と「タンパク質代謝系」です。

まず筋繊維再生系ですが、これは筋繊維が壊れたり傷ついたりした時に再生をする仕組みです。
筋力トレーニングをすると細胞が傷つき、それを修復する過程で太くなると聞いたことがあると思いますが、それがこれです。

再生系は、筋力トレーニングをすると活性化します。

筋繊維再生系の役割は、細胞を作って筋繊維を増やしていくことと、筋繊維一本一本を補修しながら少しずつ太くしていくことです。

そして、「タンパク質代謝系」ですが、これはタンパク質が筋繊維の中で合成されたり分解されたりする仕組みのことです。
筋力トレーニングをすることで筋肉が太くなるのは、筋繊維の中でアクチンやミオシンと言った筋肉が収縮する為に必要になるタンパク質量が増えるからです。

タンパク質の合成が高くなれば筋繊維は太くなっていきますが、同時にタンパク質を分解する仕組みも働いています。

タンパク質は、常に合成と分解を繰り返しています。
合成と分解のスピードが同じであれば、タンパク質が入れ替わって新しくなっても筋肉の大きさは変わりません。
合成が分解を上回れば筋肉は太くなり、分解が上回れば筋肉は細くなっていきます。
筋力トレーニングをするとタンパク質の合成が高くなり、分解が抑制されると言う現象が起こります。

合成と分解は切り替えスイッチになっているので、どちらかが上がるとどちらかが下がると言うようになっています。
タンパク質の合成が分解を上回れば筋肉の中のタンパク質の量が増えて筋肉が大きく肥大していくのです。

筋肉は昔の状態を覚えているマッスルメモリー

レッグエクステンション

筋繊維再生系とタンパク質代謝系は、同時に働いていると考えられています。
どちらがどのくらい働いているかと言うのは、まだよく分かっていませんが、最近の研究で色々なことがわかってきています。

筋繊維には、筋サテライト細胞と呼ばれる幹細胞がペタペタとへばりついています。
普段は眠ったような状態になっていますが、筋力トレーニングをすると目覚めて増殖していきます。

そして、新しい筋繊維を作る場合もあり、へばりついた筋繊維に融合してその中に新たな核を挿入する場合もあります。
筋繊維の核そのものが増えることが確定したのは、ここ数年の間の話です。

人間の場合、その核は筋力トレーニングをやめて筋繊維が細くなっても10年間程度は残り続けるのではないかと考えられています。
これがマッスルメモリーと呼ばれています。

一度筋肉をつけておくと10年先までその記憶が筋肉に残っているのです。
また、筋力トレーニングを再開した時に通常よりも早く筋肥大が起こるようになり、元に戻るのも早くなります。
これも筋繊維再生系の新たな役割として注目されています。

筋肉がある一定の太さになると筋繊維の中の核が増えるかも

筋肉を鍛える男性

核は細胞の機能を制御する指令部のようなものです。
あまりに大きな細胞に核が1個しかないと制御の範囲を超えてしまいます。

細胞には核領域と言うものがあり、1個の核が制御できる体積には上限があるのではないかと以前から考えられていました。
その仮説を裏付けるように1個の核で機能している細胞を見てみると、あるサイズ以上に大きなものには存在しません。

そのサイズとは、細胞を直径が一定の球形だとしたら直径20~30μmです。
筋繊維の中に直径100μm、長さは10cmほどになるものもあります。
その中にはいくつもの核があり、それぞれの領域があると考えられています。

このよう仕組みになっているとすると筋繊維は核の数が増えないとある一定以上の太さにはならないと言うことになります。
その役割を担っているのが筋サテライト細胞と言うことです。

では、核が増えるのは筋力トレーニングをして直ぐなのでしょうか。
それとも筋繊維がこれ以上太くならないと言う限界に達してからなのでしょうか。

タンパク質の合成が高まらないと筋繊維は太くなりません。
筋繊維が太くなる条件として、タンパク質の合成は必須です。
ですが、核の増殖は必須ではありません。

このことを考えると核が増えなくてもある程度まで太くなり、限界を超えそうになった段階で核を増やす仕組みが働いているのではないか、と考えられているようです。
また、どのくらいまで筋繊維が太くなると核が増えるのでしょうかについてはまだ分かってはいないようです。