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トレーニング・フィットネス

低強度でもセット数を多くすれば筋肥大が望めるかもしれない|重量ではなく総負荷量が重要

低強度で疲労困憊まで行えば高強度と同じ効果がある

一般的に筋肉を大きく肥大させるには、最大筋力の65%以上の負荷が必要とされています。
教科書的に言えば、10回程度行える負荷で3セットを週2~3回です。

筋肉は、大きく分けると速筋繊維と遅筋繊維に分けることができます。
速筋繊維は肥大しやすく瞬発力に優れている筋肉で、遅筋繊維は持久力に優れていますが肥大はしにくい特徴があります。
筋力トレーニングをして筋肉が大きくなるのは主に肥大しやすい速筋繊維のほうになります。
肥大しやすい速筋繊維は低強度の運動では働きません。
運動強度を上げていくと速筋繊維が徐々に動員されていきます。
その負荷がだいたい65%以上ということで速筋繊維を働かせるには、高強度の運動が必要になるのです。
ですので、高強度のトレーニングをしないと筋肉が肥大しないとされていました。
しかし、近年では低強度でも疲労困憊までの最大反復回数で行えば、高強度と同程度の筋力増加、筋肥大効果を得ることができることが報告されています。

では、なぜ低強度でも筋肥大や筋力増加が見られるのでしょうか。

それは、遅筋繊維が疲労してくると疲労していない速筋繊維が動員されていくからです。
負荷が低い低強度でも疲労困憊まで行うことで、疲れていない速筋繊維が働くようになっていきます。
これによって速筋繊維が刺激されて筋肥大が起こるのです。

低強度でもセット数を増やせば高強度と同程度の効果

胸のトレーニングをする男性

低強度でも疲労困憊まで行うことで、速筋繊維が働くようになり筋肥大が起こります。
しかし、疲労困憊までさせなくても低強度トレーニングで、高強度と同程度の筋力増加、筋肥大効果を得ることができるのか、また筋肉の質的要因に対しても改善効果があるのかどうかについては分かっていません。
これについての研究があります。

健常若年男性を対象に低強度で高反復および高強度で低反復の膝関節伸展筋力トレーニングを8週間実施して低強度で高反復トレーニングは高強度と同程度の筋力増強や筋肥大・筋の質改善効果が得られるのかを観察。
対象は下肢に神経学的・整形外科的疾患の既往のない健常若年男性15名です。
対象者を無作為に低強度・高反復トレーニング群(低強度群)と高強度・低反復トレーニング群(高強度群)に分類しました。
膝関節伸展筋力トレーニングは筋機能運動評価装置(BIODEX 社製System4)を用いて、低強度群では30%1RM、高強度群では80%1RMの強度で週3回、8週間実施。
8回の反復運動を1セットとし、低強度群では12セット、高強度群では3 セット実施。
30%1RMで8回×12セットと80%1RMで8回×3セットの比較になります。

その結果、両トレーニング群ともに筋力増強、筋肥大、筋の質の改善がみられ、その変化の程度や経時変化に違いはみられなかったそうです。
つまり、この研究で低強度トレーニングであっても12セットと反復回数を増やすことによって、高強度3セットのトレーニングと同様の筋力、筋量、筋の質の改善効果が得られることが証明されたようです。

しかし、この研究の対象者は少なく、対象者がトレーニング経験者なのかどうかの情報がありませんでした。
トレーニング初心者であれば、低強度でも筋肥大は起こるかと思います。
問題はトレーニングを継続している中級者以上の人でも同じような結果になるかだと思いますが、これについてはよく分かりません。
年齢によってどうなのかも分かりません。

低強度のトレーニングで疲労困憊までさせる必要があるのかどうかについては、さらなる研究報告が待たれるかと思います。
私個人としては、低強度であれば疲労困憊まで行った方がいいのではないかなと思います。
生理学的に考えるとその運動に耐える為に筋肉が発達するからです。
また、内分泌系を考えると疲労困憊まで行うことで成長ホルモン等の分泌を促すことにもなるので、間接的に筋肥大を促すことになるのではないかとも思うからです。
低強度でトレーニングをするのであれば、なるべく疲労困憊まで行うようにすると良いかと思います。

重量よりも総負荷量が重要

ランジトレーニング

近年の筋肥大効果はトレーニングボリューム、つまり総負荷量が重要とされています。
総負荷量は、重さ×回数×セット数で求めることができます。
10kgを10回、3セットであれば、総負荷量は10×10×3=300です。
この数値が同じであれば、トレーニング効果は同じになるというのが近年分かってきていることです。

例えば、5kg×20回×3セットと10kg×10回×3セットは、総負荷量はどちらも同じ300kgになるので同程度の効果があることになります。

総負荷量が重要ということは、重さはそこまで重要ではないことになります。
筋肥大効果を高くしたい場合は、総負荷量を増やすように意識することが重要となります。
筋肥大に必ずしも重い重量を扱う必要はありません。
重い重量を扱わなくても高強度トレーニングと同程度の効果を得ることができるのであれば、ケガの観点からすれば低強度を行ったほうが安全になります。
関節などに不安がある人は、低強度トレーニングで総負荷量を増やすようにすれば良いかと思います。

週に何回行うべきかについても1週間の総負荷量が同じであれば、週1回でも2回でも効果は同じになるとの報告もあるようです。
ただ高齢者や女性の場合は、頻度が多い方が効果が出るとの報告もあります。
1回のトレーニングボリュームが少なければ、頻度を高くしても問題はないと思います。
オーバートレーニングにならないように1週間に行うトレーニング量を調整するといいのではないでしょうか。
頻度にとらわれ過ぎないようにするのも重要かもしれません。

参考・引用元⇒低強度・高反復トレーニングが筋力,筋量および筋の質に及ぼす影響