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サルコペニア予防には毎食0.4g/kg体重のタンパク質摂取が重要|レジスタンストレーニングとタンパク質摂取

サルコペニアとは?

サルコペニアとは、加齢に伴って筋肉の量が減少していく老化現象のことです。
サルコペニアは、背中の広背筋、腹筋、膝を伸ばす膝伸筋群、お尻の臀筋群などの抗重力筋において多く見られます。
これらの筋肉が衰えていくことで、立ち上がりや歩行がだんだんとつらくなり放置すると歩行困難にもなってしまうことから高齢者の活動能力の低下の大きな原因となっています。

しかし、筋肉は年齢に関係なく鍛えることが可能です。
いわゆる筋肉に負荷をかける筋力トレーニングによってサルコペニアは進行を抑えることができます。
なので歳を重ねる毎に意識的に運動強度が大きい運動を行うことが大切になります。
頻繁につまづいたり立ち上がる時に手をつくようになると症状がかなり進んでいると考えられます。
積極的に筋肉を鍛えるトレーニングを行うことがその後の生活の安定に大いに役立ちます。
特につまづきは、本人や周囲が注意力不足のせいだと思い込んでいることも多いので、筋力低下が原因と気付かない場合があるので注意が必要です。

また、食事で筋肉の材料であるタンパク質を積極的に摂取することも重要です。
食事でタンパク質を十分に摂取することと筋肉に負荷をかける筋力トレーニングを行うことでサルコペニアを予防することができます。
まずは、運動よりも食事でのタンパク質を十分に摂取することを意識しましょう。

摂取するべきタンパク質は3食で均等に

家族ですき焼き

食事をすると1~2時間で筋肉である骨格筋のタンパク質合成速度は安静時と比べて約2倍に増加することが報告されています。
これは、主にタンパク質摂取によって起こるとされています。
食事で摂取したタンパク質は、アミノ酸に分解され吸収されます。
血中のアミノ酸濃度の上昇は骨格筋細胞へのアミノ酸輸送を増加させて、筋細胞内の遊離アミノ酸濃度を高めます。
細胞内でのアミノ酸濃度が増加することでタンパク質の合成が刺激されて同化作用が促されます。

食事摂取基準によると体内のタンパク質維持に必要な量は1日あたりの推奨量と目標量で示されています。
ですが、実際に必要な量は、年齢、体重、体組成、健康状態、運動習慣などによって個人個人で異なります。
アメリカで行われた3年間の追跡調査では、2000人以上の高齢者を対象にエネルギー摂取量を考慮してタンパク質摂取量と徐脂肪量の変化について調査しています。
その結果、タンパク質摂取量が少ないグループでは高齢者の徐脂肪量の減少が増加していることが明らかになりました。

また、急激な体重減少は骨格筋量の過度な減少を引き起こす可能性がありますが、この調査では体重が急激に減少した被験者において、タンパク質摂取量の少ないグループで最も高い徐脂肪量の減少が観察されたそうです。
これらの結果から、適切な量のタンパク質摂取は高齢者の骨格筋タンパク質代謝の調節と筋量の維持に重要であることが分かります。

最近の高齢者のタンパク質摂取に関する研究によると1日の総タンパク質摂取量だけでなく、3食の各食事に含まれるタンパク質の量にも注意が必要であることが示されています。
タンパク質量と筋タンパク質合成速度の関係を調査した研究では、体重1kgあたり0.4gを超えると同化作用が頭打ちになることが報告されています。
若年者の場合は、1kgあたり0.24gのタンパク質摂取で筋タンパク質合成が最大化することが示されています。
このことから高齢者の場合は、若年者に比べて多くのタンパク質が必要になります。

また、フレイルと診断された高齢者と健常な高齢者を比較した結果、フレイルの高齢者は朝食のタンパク質摂取量が少なく、昼食の摂取量が多いことが分かりました。
フレイルとは、病気ではないけど年齢とともに筋力や心身の活力が低下して介護が必要になりやすい、健康と要介護の間の虚弱な状態のことを言います。
健常な高齢者では、3食のタンパク質摂取量がバランスよく均等であることが報告されています。
このことから、24時間で摂取する総タンパク質量が十分でも朝、昼、夕の3食で必要量を満たしていない場合や摂取量のバランスが不均等だとタンパク質の同化作用が低下し、長期的に見るとサルコペニアに繋がる可能性があると考えることができます。

国民栄養調査によると日本人もタンパク質摂取量が不均等で朝食が不足していると報告されています。
若年者を対象にした結果によると1日の3食のうち1食でも筋タンパク質合成を最大化する為に必要なタンパク質摂取量体重1kgあたり0.24gを満たしていない大学生は、3食すべての食事でタンパク質の必要量を満たしているグループと比較して全身の徐脂肪体重が有意に低かったことが分かりました。

筋量を維持する為には、年齢に関係なく3食すべての食事で適切な量のタンパク質摂取が重要と言えそうです。

タンパク質摂取でレジスタンストレーニングの効果が最大化する

筋肉を鍛える男性

レジスタンストレーニングとは筋肉に負荷をかける運動のことで、いわゆる筋力トレーニングです。
レジスタンストレーニングは筋肉の合成を刺激する方法になります。

筋肉に負荷をかけるレジスタンストレーニング、いわゆる筋力トレーニングを行うと運動後1~2時間後に筋タンパク質合成が有意に増加し、これが24~48時間程度持続します。
トレーニングを定期的に長期継続させることで筋量と筋力が増加していきます。

トレーニングによる効果を最大限に引き出すには、栄養摂取が欠かせません。
これまでの研究報告によると異なる種類のタンパク質をトレーニング後またはトレーニング前に摂取することで、運動後の筋タンパク質合成が空腹時の運動と比較して有意に増加することが報告されています。

また、各食事でのタンパク質摂取量に関しては、3食すべてでタンパク質摂取量が充足することが重要になります。
タンパク質摂取量が少ない食事があると運動による筋肥大効果が低くなってしまいます。
1日の総タンパク質摂取量が同じでも各食事でタンパク質量が不均等よりも3食で均等に摂取しているほうがトレーニング効果が高くなります。
タンパク質は朝食もしっかりと摂取し、3食に分けて摂るようにすることが大切と言えます。

参考:サルコペニア予防に向けた栄養・運動のアプローチ