健康情報館

ヘルス&フィットネス~日々の健康・身体作りに役立つ知っておきたいこと~

健康情報館
トレーニング・フィットネス健康

男性特有の問題:テストステロン低下が引き起こす症状10選と予防法

45歳以上の4割がテストステロンが低値

テストステロンは男性ホルモンで、主に睾丸の中で作られています。
女性でも微量ではありますが、卵巣でテストステロンが作り出されています。
性別に関係なくテストステロンは副腎でも作られています。

男性ホルモンであるテストステロンは、睾丸や前立腺のような生殖組織、あるいは筋肉やひげ、声変わりなどで知られている第二次性徴に重要な役割を担っています。
それ以外にも精子の生成や骨密度の維持、筋力の維持、赤血球の生成や気分の安定にも関わりがあり、その人の日常生活にも影響を及ぼすことが分かっています。

一般的にテストステロンは加齢とともの生成量が減っていきます。
米国泌尿器科学会によると45歳以上の4割以上の男性がテストステロンの数値が低い状態になっているそうです。

また、20代、30代でもテストステロンが低値になっている人もいることが調査で分かっているので、必ずしも加齢によって低値になっているとは限りません。
若い時にテストステロンが低下してしまうのは、何らかの病気が原因の場合もあります。

例えば、糖尿病や甲状腺不全などがありますが、肥満もテストステロンの低下の原因に繋がります。
一般的には、テストステロンは緩やかに減少していきますが、急激にテストステロンが低下すると様々な症状が出てきます。
その場合は、病院で一度診てもらったほうがいいでしょう。

では、テストステロン値が低下すると身体にどのような症状が起こるのでしょうか。

テストステロン低値によって起こる10のサイン

メディカル

性欲の低下

テストステロンが少ないと性欲が低下してきます。
体内でテストステロンの生成が正常に行われていると性欲が低下することはほとんどありません。
何かしらの理由でテストステロン値が低下し、その状態がしばらく続くと以前よりも性欲がないと感じるようになります。
中高年になって性欲が低下を自覚し、そのことで老いを感じる人もいますが、中高年になってもある程度の性欲が保たれている人の多くの場合、テストステロン値が正常に保たれていることが多いようです。
テストステロンは、男性ホルモンなので性欲の低下がテストステロンの低下を疑うのに一番分かりやすいと言えます。

勃起不全

テストステロンの減少は、性欲の減退だけではなく勃起不全も併せて起こることが多いです。
テストステロンは、一酸化窒素の生成に関わっているのでテストステロンが少なくなってしまうと勃起するのが難しくなります。
正常なテストステロン量が分泌されている限り、脳は正常レベルの一酸化窒素の生成を続けてくれます。
一酸化窒素のレベルが高まると陰茎の血管が弛緩し大量の血液がそこに流れ込むことで勃起が起きます。
テストステロンが少ないと脳は、それを感知して一酸化窒素の生成を抑えてしまいます。
その結果、血管は弛緩しないので血液量が増えないで勃起しにくい状態になってしまいます。

ですが、これには例外もあります。
テストステロン値が正常レベルなのに勃起しないという人も多いです。

例えば、2016年の実験報告によると実験対象になった男性被験者の約半数が勃起不全でしたが、彼らのテストステロン値は正常を示していました。

つまり、テストステロンだけが影響をしているわけではないということです。
テストステロン値が正常でも勃起不全が起こる原因には、糖尿病、不安症、ストレス、肥満、心臓病、甲状腺機能不全などがあります。
これらの症状や病気は、勃起不全を起こしやすいとされています。
ですので、テストステロンの治療を受けて数値が正常に戻っても必ずしも改善するとは限らないのです。

やる気の低下、慢性疲労感

悩むイメージ

テストステロンは、その人のやる気やエネルギーレベルにも影響を及ぼします。
テストステロンが減っているとやる気が出なくなってしまいます。
食事も睡眠もしっかりと取っているのに、やる気が出ない、エネルギー不足を感じるという状態であれば、一度テストステロン値を検査してみるといいかもしれません。

テストステロン値が下がってくるとトレーニング後の疲労回復にも時間がかかってしまいます。
気持ちを奮い立たせてジムに向かっても予定していたトレーニングをこなせなかったり、トレーニング後の爽快感も今一つだったりしてしまうことになります。
トレーニングだけでなく日常生活、さらにはその人の人生にも影響をもたらすことになるので、やる気や意欲、エネルギーレベルの低下を感じたらテストステロンの検査を受けてみると良いかと思います。

筋量や筋力の低下

テストステロンは男性らしい身体を作る作用をするので筋量に影響を与えます。
身体作りが目的でジムに通っているのに、筋量や筋力が低下しているような感じがすることはないでしょうか。
もしかしたら、それはテストステロンが低下しているのかもしれません。

筋肉を発達させるには、身体をアナボリック状態に保つ必要があります。
テストステロン値が低いと合成であるアナボリズムと逆の分解であるカタボリズムを招くことになります。
これによってタンパク質が分解されて、筋量が減り筋力も低下してしまいます。
このような状態でトレーニングを続けていても効果は得られず、疲労回復も追いつかず、今まで扱えていた重量も扱えなくなり、結果的に怪我のリスクが高まってしまいます。

体脂肪の増加

テストステロンの低下は体脂肪の増加を招きます。
特にお腹周りに体脂肪がつきやすくなるようです。
テストステロンの低下は、やる気を失わせ身体を疲れやすくさせます。
運動をする気力も低下してしまい、より体脂肪が溜まりやすくなります。
その状態を放置すると肥満になり、それによって不調も加わることになるので体調は悪化の一途を辿っていくことになります。

骨密度の低下

筋肉と同じように骨も常に代謝を繰り返しています。
骨の代謝にテストステロンは関係しています。
テストステロンが低値になると骨が壊れやすくなり、修復と補強にもより時間がかかってしまいます。
その結果、骨密度の低下し骨粗鬆症になってしまう可能性があります。
高齢者に骨粗鬆症が多いのは、加齢によってテストステロン値が下がってしまうとも一つの原因です。
骨の健康を維持するには、定期的な運動と十分な栄養、加えてテストステロン値をできるだけ下げないようにする努力も必要になります。

体毛が薄くなる

テストステロン値が低いと体毛が薄くなっていきます。
毛髪や体毛が薄くなったと感じたら、もしかしたらテストステロン値が低下しているのかもしれません。
ですが、加齢とともにテストステロン値が低下していくのは自然のことです。
特に日常生活に支障がなく、体調も悪くないのであれば、これに関してはそれほど気にする必要はないかと思います。

脳機能の低下

ホルモンが体内で機能する為には、その受け皿となる受容体と結合をする必要があります。
研究によるとテストステロンの受容体は脳の偏桃体や大脳部と呼ばれる部分にも存在していることが明らかになっています。
テストステロンは、脳内でも作用をしているのです。
例えば、認知力、理解力、記憶力、集中力などはいずれも脳の働きによって高まったり、低下したりしますが、テストステロンが減少するとこれらの脳の働きも低下するので物忘れなども顕著に起きやすくなるようです。

感情の起伏が激しくなる

テストステロンは脳の巡る神経伝達物質を調整する働きがあります。
気分のコントロールに関わる物質がテストステロン低値の影響を受けると感情の起伏が激しくなり、機嫌が悪い状態が続いてしまうようです。
研究でもテストステロン低値の人は、気分の落ち込み、イライラ、不安感が強まる傾向があるという結果が得られているようです。

生殖器の縮小

男性の身体には、睾丸や陰嚢、陰茎などの生殖器の王に関連した組織があり、テストステロンはそれらの器官や組織の発達や維持に大きく関わっています。
テストステロンは、睾丸で主に作り出されているのでテストステロンの生成量が少なくなれば睾丸の機能は低下し、睾丸、陰嚢、陰茎の縮小をもたらすことになります。
睾丸で作られている精子の数にも影響をするので男性の不妊の原因にもなります。

テストステロンを減少させない為には?

背中のトレーニングをする男性

定期的な運動

運動の習慣をつけることでテストステロンのレベルを高めることができます。
中でもウェイトトレーニングは特に効果があります。
筋肉に強い負荷がかかる運動を行うことで、体内では成長ホルモンやテストステロンの分泌が活性化されます。
これは、トレーニングによって傷ついた筋繊維を修復する為です。
これらのホルモンは筋力、筋持久力、そして筋量を増やすのに有効です。
テストステロンの生産量を増やすならウェイトトレーニングを定期的に行うことがおススメです。

また、定期的な運動は体脂肪も溜まりにくくなりますし、これもまたテストステロンの低下を予防することに繋がります。

十分な睡眠

テストステロンの生成を促すには、十分な睡眠が欠かせません。
私たちの体内では睡眠中に様々なホルモンが作られています。
その中には、テストステロンも含まれています。
寝ている時にできるだけたくさんのホルモン物質を作り出すことで、身体を修復しています。
睡眠不足になると異化分解を促すコルチゾールの分泌が活発になります。

コルチゾールはテストステロンと対極にあるホルモンなので体内でコルチゾールが優位になってしまうとテストステロンは抑えられてしまいます。
研究によると1日の睡眠時間が5時間程度にまでになると体内のテストステロン値は15%低下するようです。
逆に普段より1時間長く寝ることで、テストステロン値は普段より15%高まるとされています。
テストステロン値が低下しているような症状が出た時は、睡眠時間を延ばしてみると良いかと思います。

ストレスを上手く発散させる

ストレスを避けて生活をするのは不可能ですが、ストレスを緩和する方法を知っておくと良いでしょう。
体内のコルチゾールレベルをできるだけ抑えることに繋がります。
例えば、瞑想やヨガ、深呼吸を行う運動などを取り入れると良いかと思います。
自分なりのストレス発散方法を見つけてみましょう。

健康的な食事

タンパク質、良質な脂質、全粒粉などはテストステロンの生成量を高めてくれるとされています。
体脂肪を増やしやすい食事、特に腹部の体脂肪を増やすようなものは、テストステロンを女性ホルモンのエストロゲンに変換させるアロマターゼ酵素を活性化させてしまいます。
なので、肥満の人はテストステロンが低値になりやすくなります。
健康的な食事を心掛けることは、特に中高年にとってはとても大切なことと言えます。

また、食物繊維を多く含む全粒粉は炎症を緩和してインスリン感受性を高めてくれますので、テストステロンの生成にも役立ちます。
加工食品、砂糖を多く含む食品や飲料、様々な種類のアルコール飲料はテストステロンを低下させてしまうのでなるべく避けた方が良いでしょう。

血液検査をしないとテストステロン値はわからない

統計データイメージ

自分のテストステロン値がどのくらいなのかは、実際に血液検査をしないと分かりません。
しかし、テストステロン値が低くなると出るサインがあるので、もし自分に当てはまるのであれば血液検査をすることは無駄にならないのではないでしょうか。
検査の結果、テストステロン値が低いと分かれば治療を紹介してくれます。
代表的なのはテストステロン代替療法と呼ばれるもので、注射やジェル、パッチなどを皮膚に貼る方法で外部からテストステロンを補う方法があるようです。

男性ホルモンであるテストステロンが少なくなると男性へのダメージは思っていた以上に大きいものです。
加齢によってテストステロンが少なくなるのは、ある程度仕方がないかもしれません。

ですが、気になっている症状があるのであれば積極的に体質改善の為の方法をしてみてはどうでしょうか。
テストステロン値を正常に保つことは、今後の生活にプラスにしてくれるはずです。