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食品と健康の気になる疑問11、コラーゲン、乳酸菌、グルコサミン、βカロテン、プリン体

コラーゲンに美容効果はあるのか?

美肌イメージ女性

「コラーゲンは美容に良い」などの謳い文句をよく見たり聞いたりするかと思います。
美容目的でコラーゲンを積極的に摂取している女性も多いのではないでしょうか。
果たして、本当にコラーゲンで美容効果が期待できるのでしょうか。

結論から言うとコラーゲンに美容効果は期待できません。
コラーゲンを食べると皮膚にハリが出ると思われがちですが、コラーゲンを食べたからと言って体内でそのまま皮膚に使われるわけではありません。

コラーゲンはタンパク質の一種でとても大きな分子です。
タンパク質は、食べると胃腸の働きでバラバラに分解されてから吸収されます。
バラバラになって吸収された断片は、タンパク質の材料に使われたり身体のエネルギー源になったりします。
なので摂取したコラーゲンが人体で再びコラーゲンとして利用される保証はありません。

近年では、低分子コラーゲンというのも発売されています。
低分子なので吸収されやすくなっています。

しかし、吸収されやすくなるからといってコラーゲンを作る細胞まで届いて、都合よく肌のコラーゲンの原料として使われる保証はありません。
コラーゲンを摂取しても美容効果があるとは言えないのです。

肌に塗るコラーゲンもありますが、塗ることに効果があるのであれば保湿です。
保湿効果ならヒアルロン酸のほうが高いでしょう。

乳酸菌は生きて腸まで届くの?

ヨーグルトやチーズなどの発酵食品には、乳酸菌が多く含まれています。
乳酸菌とは、乳酸を多量に作る細菌の総称になります。
乳酸菌製品では、生きて腸まで届くなど記載されたものもありますが、果たして本当なのでしょうか。

胃では、多くの食べ物が胃酸と消化酵素によって分解されます。
乳酸菌も例外ではありません。
実際に摂取した乳酸菌がどの程度生き残っているのかは実際に人間で調べてみないと分かりません。

人間で調べることが難しいので、実際に生きて腸まで届くのかどうかはよく分かっていません。
小腸までたどり着いた乳酸菌は、体内に取り込まれ異物を排除する免疫系が過剰に反応するアレルギー反応を抑える働きをしてくれると考えられています。
その先の大腸には1000種類、1000兆個にもおよぶ腸内細菌がいます。
摂取した乳酸菌は、大腸を1~2日かけて通過します。
摂取した乳酸菌が大腸に定着をすることは、ほとんどないとされています。

しかし、乳酸菌が腸内細菌の一種ビフィズス菌を増やすというデータがあります。
間接的に便秘や下痢などを改善する効果はあるとされています。

また、摂取した乳酸菌は乳酸や酪酸を作ります。
これらの物質が腸の神経細胞に働きかけて腸の筋肉を動かして排便を促しているかもしれないと考えられているようです。

乳酸菌を摂取して何らかの効果を期待したいのなら常に腸を乳酸菌が通過するように毎日摂り続ける必要があります。

グルコサミンの効果は?

膝が痛い

高齢になると膝の関節のクッションである軟骨がすり減って変形性膝関節症がみられるようになります。
膝の痛みにグルコサミンとよく聞くかと思います。
膝の痛みや動きを改善しようとしてグルコサミンを摂取している人も多いのではないでしょうか。

グルコサミンと一口に言ってもサプリメントとして売られている成分には、Nアセチルグルコサミン、グルコサミン塩酸塩、グルコサミン硫酸塩などがあります。
3種類のうちNアセチルグルコサミンは、膝関節の軟骨を構成するヒアルロン酸の成分そのものです。
他の2種類も体内でヒアルロン酸の材料になると考えられています。
いずれも関節の痛みや動きを改善する、肌に良いと言われています。

ですが、国立健康・栄養研究所のデータベースでは、ヒトでの信頼できるデータは見当たらないとされています。

グルコサミンは、基本的に分解されずに吸収されます。
原料を補充するので効くように思われますが、他の食べ物よりは体内で軟骨の材料になりやすい程度であり、その効果は例えあったとしてもごくわずかだと考えられています。

グルコサミン硫酸塩は、軽度の炎症に対して痛みを和らげる可能性が示唆されているようです。

βカロテンでガンは予防できるのか?

βカロテンは、緑黄色野菜に豊富に含まれる栄養素です。
体内でビタミンAに変換されます。
1990年代、βカロテンを摂ることでガンを予防できるのかどうかを検証する試験が行われました。

しかし、多くの研究が行われた結果、ガンの予防効果はおおむね否定されました。
それだけでなく、何年にもわたりβカロテンのサプリメントを毎日や1日おきなど高い頻度で摂取し続けると喫煙習慣があるなど場合によっては肺ガンのリスクが約10~20%高まることが分かったのです。
喫煙者が毎日20~30mg(ニンジン2本相当)のβカロテンを含むサプリメントを摂取し続けると肺ガンや胃ガン、膀胱ガン、心筋梗塞などの病気のリスクが高まってしまうことが分かっています。

また、これらのリスクは女性のほうが高いと考えられています。
βカロテンは、ビタミンAの前駆体で動脈硬化などの予防に繋がる抗酸化作用が期待されています。

しかし、抗酸化物質は酸化されると活性状態になり、その量が多過ぎると人体への悪影響が出る可能性が高まると考えられています。

ビタミン類は身体に不可欠ですが、特定の成分を摂れば摂るほど健康に良いとは言えません。
摂り過ぎてしまうと健康被害になることがありますのでサプリメントで大量に摂取は注意する必要があります。

糖質制限で健康的にやせられるのか?

ご飯を残すイメージ

ご飯やパンなどの主食を減らす糖質制限ダイエットが一定の市民権を得ているのではないでしょうか。

糖質とは、炭水化物のうち食物繊維を除いたものになります。
タンパク質と脂質もエネルギー源になります。
炭水化物50~65%、タンパク質13~20%、脂質20~30%が日本人の目標量とされています。

では、このうちの炭水化物の摂取を減らす糖質制限は本当にやせることができるのでしょうか。

311人を対象の小規模な研究ではありますが、低糖質・高タンパク質の食事では、2ヶ月後や6ヶ月後に体重は減っていました。
少なくとも糖質制限は、短期的にはやせることができます。

ですが、無気力になったり頭が働かなくなったりするなどの報告もされています。

また、複数の研究を統合した解析結果によれば6ヶ月後から1年後の長期的には、減量の差はほぼありませんでした。
何を摂取しようが摂取エネルギーが消費エネルギーより少ない状態にし続ければ、原理的にやせていきます。

他に合計1400人を対象にした解析によると低糖質食では糖尿病の指標が3ヶ月程度なら改善するとみられています。
一方で合計27万人超を対象とした別の解析では、低糖質食では死亡リスクが高いとされました。

また、心臓の血管のリスクが高まるおそれも指摘されています。

このように様々な報告がありますが、大半の研究者が認めている結果は少なく、玉虫色の状況のようです。
糖質を制限するなら、制限し過ぎずにほどほどにしておくのが無難だと思います。

糖質は50~55%の時に最も死亡率が低くなるようです。
45~64歳の約15,400人を対象とした25年間の追跡調査があります。
摂取エネルギーに占める糖質の割合と相対的な死亡リスクの関係を見ると糖質の制限が50~55%の時最も低リスクで少な過ぎても多過ぎても高リスクであるという関係がありました。
低糖質によってリスクが高まる要因は、糖質の代わりにエネルギー源として動物性の脂肪などの摂取量が増えることだと解釈されています。

カロリーゼロはカロリーがない?

カロリー(cal)は、食品などに含まれているエネルギー量をあらわす単位になります。
1カロリーは水を1gの温度を1℃上昇させるのに必要な熱量で、その1000倍が1キロカロリー(kcal)です。

食品のカロリーは、私たちの生命を維持する為に欠かすことができません。
1日あたりの推定エネルギー必要量は、18~29歳の標準的な男性であれば2650キロカロリー、女性1950キロカロリーとされています。

日本の食品表示基準では、食品100ミリリットル中に含まれる熱量が5キロカロリー未満であればカロリーゼロと表示できることになっています。
カロリーゼロと表示されていても熱量を全く含まない0カロリーを意味するわけではありません。
ちなみにカロリーオフは、100gあたり40キロカロリー以下という意味です。
飲料の場合、100ミリリットルあたり20キロカロリー以下であることをあらわしています。

プリン体ゼロなら痛風にならない?

プリン体とは、プリン(C5H4N4)と呼ばれる化学構造を分子内に持つ物質の総称です。
細胞内のDNAを構成するアデニンやグアニンなどもプリン体になります。

プリン体には、肉、魚介類、ビールなどの幅広い食品に含まれています。
プリン体は、肝臓で分解されると尿酸に変わります。
血中に尿酸の量が増え過ぎてしまうと痛風などの病気に繋がります。

プリン体ゼロを謳うアルコール飲料が増えていますが、尿酸のもとになるプリン体が入っていないからといっても飲み過ぎには注意が必要です。

なぜなら、アルコールには血中の尿酸を増やす作用があるのでプリン体がゼロでも痛風などのリスクを高めてしまうからです。
そもそも体内のプリン体のうち飲食で摂取する量は2割程度で残りの8割は体内で作られています。

痛風でなく、尿酸値が高い状態でもない健康な人であれば、プリン体を気にする必要はありません。
プリン体を制限してしまうと反対に摂取不足が健康に悪影響を及ぼすこともあります。

オリーブオイルが身体に良い理由

オイル

食用の油は、主に脂肪酸でできています。
脂肪酸は炭素、水素、酸素が鎖状に繋がった状態です。

脂肪酸は、元素の結合の仕方で大きく分けることができます。
飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸です。

飽和脂肪酸は、炭素同士が全て1本の手で繋がっていて安定した構造をしています。
不飽和脂肪酸は、一部の炭素が2本の手で炭素と繋がります。
この部分は、二重結合と呼ばれています。

飽和脂肪酸は動物性に多く含まれて血中のコレステロール濃度を上げる働きがあります。
不飽和脂肪酸は植物や魚に多く含まれ血中のコレステロール濃度を下げる働きがあります。
肉ばかり食べずに野菜や魚を多く食べるほうが生活習慣病になりにくいと言われるのはこうした理由からです。

しかし、近年不飽和脂肪酸の中でも炭素の二重結合が複数ある多価不飽和脂肪酸は、血中コレステロール濃度を下げ過ぎてしまうことが分かってきました。
摂り過ぎるとLDLコレステロールだけでなく、生活習慣病を防ぐ役割を果たすHDLコレステロールの濃度も下げることが分かってきたのです。

そこで注目されたのが一価不飽和脂肪酸です。

一価不飽和脂肪酸はHDLコレステロール濃度を下げないと考えられています。
オリーブオイルの主成分であるオレイン酸も一価不飽和脂肪酸になるので、このようなことから身体に良いと言われています。

野菜ジュースを飲めば野菜不足にならない?

スムージー

忙しいとどうしても料理が面倒になってしまい外食や弁当などで済ませてしまいがちになってしまうかと思います。
ファーストフードやラーメン、どんぶり、おにぎりは手軽に素早く食べられるものの代表でしょう。

でも気になるのが野菜が少ないことではないでしょうか。

こんな時に野菜ジュースを飲めば野菜不足が解消できるのではないかと期待したくなると思います。
野菜には、ビタミンやミネラル、ポリフェノールなどの栄養素が含まれています。

しかし、野菜ジュースは野菜の搾り汁です。
これらの栄養素含まれているかは商品によって様々です。
作る過程でなくなってしまう栄養素を添加しているものもありますが、野菜で摂取するよりも栄養素は少なくなっていると考えられます。

野菜ジュースでは、野菜が本来持っている栄養素をそのまま摂取できるわけではありません。

野菜は、野菜で食べるほうが良いです。
野菜ジュースは、あくまでも補助的なものと考え、なるべく野菜を食べるようにしましょう。

また、野菜ジュースを飲むのであれば、食物繊維を含んだもののほうが良いです。

ポリフェノールで老化を防げるのか?

チョコレートやコーヒーなど、様々な商品のラベルにポリフェノールの記載があります。
ポリフェノールとは、ベンゼンに代表される環状の分子構造に-OHの部分を複数持つ物質の総称です。
-OHの部分は酸化されやすく、そのことから細胞に代わって酸化されるので老化を防いでくれるという仮説が広まったようです。

最も有名なのは1990年代にブームになった赤ワインかと思います。
原料であるブドウの実の皮や種にはレスベラトロールなどのポリフェノールが含まれています。

しかし、国立健康・栄養研究所によると老化への効果やサプリメントとしての安全性は、十分なデータが見当たらないとされています。
ポリフェノールに限らず抗酸化作用を持つ物質を摂取することで身体の老化を防ぐという仮説は、まだ多くの検証が必要な段階です。

コーヒーは身体に良いのか?

コーヒーは、世界中で多くの人に飲まれています。
誰で知っているかと思いますが、コーヒーにはカフェインが含まれています。
カフェインが脳に働きかけ眠気を覚まして集中力を高めることはよく知られています。

では、長期的に毎日コーヒーを飲み続けるとどのような影響が出るのでしょうか。

オランダで初めて行われた調査では、コーヒーを1日7杯以上飲む人は、2杯以下の人と比べて二型糖尿病になるリスクが半分になるという結果が出ました。
その後、心血管疾患や肝臓ガンについてもコーヒーを多く飲む人のほうが罹りにくいという調査結果が世界各地で得られています。

また、コーヒーがパーキンソン病の症状を緩和することは、脳の仕組みから解明されています。
この他にコーヒーは死亡率の低下をもたらす結果も出ているようです。

その一方でコーヒーは飲み過ぎると身体に悪影響が出る可能性もあります。
カフェインを一気に大量に摂取すると不安や不眠、手足の震え、動悸、胸やけなどを引き起こすことがあります。

最近では、カフェインの錠剤も手に入れることができるので子供は注意が必要です。
コーヒーは、飲み過ぎずにほどほどにしておきましょう。

参考書籍⇒Newtonライト2.0 食と栄養