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睡眠不足は糖尿病や肥満へのリスク増、ホルモンへの影響、免疫機能も低下する

近年は睡眠障害が多くなってきている

睡眠は、日々の疲れを取り除き傷ついた細胞を修復する重要な行為です。
健康な身体を維持するには、毎日十分な睡眠を取ることがとても大切です。
寝ることは誰でもしていることですが、最近は眠れずに悩んでいる人も多いようです。
いわゆる睡眠障害です。

自分では十分に眠っているつもりなのに疲れが取れない、日中に睡魔に襲われるなど経験がある人は睡眠の質が悪いのかもしれません。
睡眠時間は個人差がありますが、毎日6~8時間程度は取りたいものですが、睡眠時間が5時間未満の人が多くなっているようです。
相対性理論で有名なアインシュタインは、1日9時間の睡眠が取れないと日中効率よく思考することができないと述べていたそうです。

必要な睡眠時間は人によって異なり遺伝子によって決定されています。
寝過ぎも良くない場合もあるでしょう。

昼間に眠くなるのであれば、おそらく睡眠時間が足りていない可能性があります。
反対にそれほど疲れていないのに睡眠時間が9時間を超える場合も何かしらの身体の異常を示すサインになります。

また、眠れずに悩む年配の人には睡眠時無呼吸症候群多い傾向があるようです。
そして、そういう人は免疫機能も落ちていることが多いです。
ちょっとしたことで風邪を引いたり、体調を崩してしまったりしてしまいます。
思い当たることがある人は、一度疑ってみるといいのではないでしょうか。

人は、年齢を重ねる度に睡眠時間が短くなる傾向にあります。
その理由はよく分かっていませんが、睡眠時無呼吸症候群だと睡眠を妨げてしまいます。
朝、目覚めても寝た気がしないと言う人は、もしかしたら睡眠時無呼吸症候群かもしれません。

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が止まってしまい、ひどいいびきをかく人によく見られます。
仰向けに寝ている時に発生しやすく高血圧、脳卒中などと関係しているので放置するのは危険と言えます。
気になる人は一度病院で診てもらうと良いかと思います。

睡眠不足によって糖尿病や肥満のリスクが高くなる

睡眠不足が続いてしまうと糖尿病や肥満のリスクが高くなってしまいます。
睡眠不足はインスリン抵抗性と関係があり、2型糖尿病のリスクが高くなる可能性があります。
インスリンの感受性が低下してしまいインスリンが効きにくくなるのです。

睡眠とインスリンの関係はとても強いとされています。
一晩でも睡眠不足になったり、ぐっすり眠れなかったりするとインスリン抵抗性が高くなってしまうようです。
睡眠不足は糖尿病の発症リスクを高めてしまうのです。

また、糖尿病だけでなく肥満になるリスクも高めてしまいます。
これは食欲をコントロールしている2種類のタンパク質であるレプチンとグレリンの体内バランスが崩れてしまう為です。

レプチンは食欲を抑制する働きがあり、グレリンは空腹を促す働きがあります。
睡眠不足が続くとグレリンが上昇してレプチンが減少してしまいます。
これによって空腹感が優位になる状態が続き、たくさん食べてしまうことに繋がって結果的にカロリーを摂り過ぎてしまって体重が増えてしまいます。
毎日十分な睡眠を取ることはダイエットにも良いと言うことです。

睡眠とホルモンの関係

眠る女性

睡眠とホルモン分泌は密接な関係があります。
ホルモンの観点からも睡眠不足はマイナスになってしまいます。

テストステロンは15%減少

男性ホルモンであるテストステロンは、男性にとって重要なホルモンで意欲、やる気、筋力、活力の源です。
ある調査によると睡眠不足になるとテストステロンが15%減少させたと言う結果が19歳の男性被験者たちに見られたそうです。
男性で19歳言うと生涯で最もテストステロン値が高くなっている時期でもあります。
それが一晩の睡眠不足でも15%も低下してしまったと言うことは、かなりの量が減少したことになります。

コルチゾールレベルが上昇

脳は睡眠不足になるとストレスとして感じます。
ストレスを感じると副腎からコルチゾールと言うホルモンが多く分泌されます。
コルチゾールは、筋肉の分解を促進させてしまうのでトレーニングをしている人たちにとっては天敵とも言えるホルモンです。
筋肉だけでなく、コルチゾールの影響は記憶や知性を司る脳の海馬の部分の神経が破壊されてしまうとされています。

成長ホルモンへの影響

研究者の人たちは、長年なぜ睡眠が必要なのかについて調べていました。
その理由は、睡眠と脳機能には密接な関係が明らかだったからです。
睡眠は、脳細胞や脳神経の修復をするのに日々必要な行為でこの説は現在までに最も有力な説になっています。

眠りに入ってから90分間は成長ホルモンの分泌が促されます。
1日で最も多く分泌される時間帯が睡眠時間で分泌が最大になる時間帯です。
成長ホルモンの働きによってタンパク質の合成が活発になり傷ついた細胞を修復し、筋肉も修復されていきます。
睡眠不足になってしまうと細胞の修復ができなくなってしまいます。

グリンパティック系が働かなくなる

脳には特殊な維持システムがあって、このシステムはグリンパティック系と名付けられています。
これまでは、脳には老廃物を除去するリンパ系が存在しないと言う認識が定着していました。
しかし、脳脊髄液が脳に入り込んでこの液が老廃物の除去に関わっていることが分かってきました。
老廃物には、アルツハイマーなどの神経変性疾患の原因として考えられる有害なタンパク質なども含まれています。

そして、このグリンパティック系の活動は眠っている時間しか起こらないそうです。
しかも深い眠りの時だけのようです。
睡眠時間が短く浅い眠りしかしていないと、グリンパティック系が働かず脳に老廃物が蓄積されていくことになると考えられます。

睡眠不足によって免疫機能が低下する

免疫低下イメージ

私たちの体内には体内時計が存在しています。
それに合わせて身体は機能をしています。
体内時計は明るさを感知していますので、日が昇っている日中は身体が活動し日が暮れた後の夜は身体が休息モードに切り替わります。
このような反応は、脳の視交叉上核と呼ばれる概日リズムを統率する時計中枢によって管理されています。
視交叉上核は身体のあらゆる活動を制御してホルモン分泌や免疫機能にも関与しています。

免疫機能は、視交叉上核によって明るい時間帯に活性化するようになっています。
夜の時間帯、眠っている時は、炎症性サイトカインが免疫機能を高めています。

炎症性サイトカインは本来、炎症反応を促す物質で健康に良いものではありませんが睡眠中はこれが放出されています。
睡眠中の炎症性サイトカインは、身体に悪影響がないようにコントロールされています。
免疫細胞を活発にして細菌やウイルスなどの病原体から身体を守る為に働いています。

睡眠不足や睡眠の質が悪くなってしまうと炎症性サイトカインによる免疫細胞の働きが悪くなってしまい病原体に感染しやすい状態になってしまいます。
ある実験によると6時間未満の睡眠の場合、7時間睡眠の場合と比べて4倍も感染症に罹りやすくなったそうです。
わずか1時間の差でもこれだけの差が出ることもあると言うことです。

睡眠は免疫機能に密接な関係があるので、毎日十分な睡眠を取ることで免疫機能を活発にすることができるようになります。

睡眠が足らない時は適度な昼寝を取ると良い

眠ってから目覚めるサイクルは体内時計に組み込まれています。
体内時計によって体温、ホルモン、代謝、睡眠など様々な身体機能が管理されています。
脳の視床下部にある視交叉上核は、目の網膜から入ってくる光を感知して作動しています。
これは体内時計でも同じで同期していることでしょう。

夜になると視交叉上核の神経が脳の松果体を刺激して、松果体からメラトニンが分泌されます。
メラトニンが増えてくると睡眠が誘発され眠気が出できます。

夜になると自然と眠たくなるのが自然なのですが、人によっては夜勤の仕事など夜になっても活動をしている人もいます。
こう言う人たちは、体内のリズムが崩れメラトニンの分泌サイクルに異常が出やすくなります。
それによって健康に悪影響が出てしまうケースが多く報告もされています。

夜勤の仕事をしている人たちは、日勤の人たちに比べて日中眠れていると思っていても免疫系が混乱を起こしていて、免疫機能が低下している傾向があります。
乱れた生活習慣をして体内時計が異常を起こしていると免疫機能が弱くなっている可能性が高く感染症などにも罹りやすくなります。

健康的な食事や適度な運動は感染症の予防に効果的ですが、それよりも睡眠が大事です。

睡眠不足だとワクチンの効果も十分に得られない可能性もあります。
ワクチンも自己免疫に作用するからです。

夜に十分な睡眠が確保できない時は、昼寝をするのも効果的です。
昼寝は長過ぎてしまうと夜寝れなくなってしまうので30分以内にすると良いと言われています。

昼寝は1日2回までとして、1回30分以内にするようにしましょう。
適度に昼寝をすることで夜の睡眠不足を取り戻し免疫機能もしっかりと働かせることに繋がります。

免疫細胞のT細胞と睡眠

体内に侵入した細菌やウイルスを殺す働きを持っている免疫細胞にT細胞があります。
十分な睡眠を取ることでT細胞を活性化させることができるとされています。

アドレナリンやノルアドレナリン、炎症誘発性分子のプロスタグランジンは、接着分子のインテグリンの働きを阻害することが知られています。
これらの物質は、眠っている時は分泌が抑制されています。
睡眠中は、インテグリンが細胞の接着活動を発揮することができます。

免疫細胞のT細胞は、ウイルスに感染した細胞や変性してガン化してしまった細胞などに接着することで細胞を殺すことができます。
インテグリンの働きは、免疫細胞にとってとても重要になります。
睡眠不足が続いてしまうとT細胞の働きが鈍くなり感染症などに罹りやすくなってしまいます。

睡眠の質を高めて毎日充分な睡眠を取るには

背筋を伸ばす女性

睡眠不足を解消するには生活習慣に気を付ける必要があります。
とりあえず下記のことを意識してみると良いかと思います。

起床時間は毎日同じ時間にする

寝る時間が遅くなってしまっても毎日なるべく同じ時間に起きるようにしましょう。
毎朝7時に起きると決めたら、なるべく同じくらいの時間に起きるようにします。
休日でもです。
起きる時間を一定に保つことは、日中の身体のリズムを維持することに繋がり健康維持の基本でもあります。

毎日必ず日光を浴びる

朝起きたら必ず日光を浴びるようにしましょう。
太陽光は体内時計を整えてくれますので夜に睡眠が取りやすくなります。
太陽の光を浴びることで狂ってしまった体内時計を正してくれます。
朝に散歩したり、庭やベランダに出たりして、しばらく日光浴をする習慣をつけてみましょう。
曇っていても明るい場所に出ることが大事です。
是非、毎朝日光を浴びるようにしてみましょう。

14時を過ぎたらコーヒーを減らす

カフェインは、交感神経を刺激し覚醒を促してしまいます。
カフェインの半減期は4~6時間程度とされています。
14時を過ぎたらコーヒーの量を減らすと良いかと思います。
夜にコーヒーを飲むのはもちろん良くはありませんので夜は控えるようにしましょう。

寝る前の激しい運動は控える

遅い時間帯での激しい運動は睡眠を妨げてしまうとされているので控えた方が良いかと思います。
ですが、最近では必ずしもそうとも言えないと言う結果もいくつも出ているようです。
午後や夜にトレーニングを行う人は少なくとも寝る4時間前までに終わらせるようにすると良いかと思います。
トレーニング後は、しっかりとクールダウンを行うことに大事です。
身体がリラックスして眠りやすくなるはずです。

寝る前のPC、スマホなどを見ない

夜にPCやスマホなどの見る場合は、ナイトモードにした方が良いでしょう。
LEDが使われているモニター画面の使用は、寝る1~2時間前までに終わらせるようにしたいものです。
いつまでも明るい光を見ていると脳が覚醒してしまいます。
部屋も暗めにするとより良いでしょう。

睡眠時間は6~8時間は確保しよう

人によって必要な睡眠時間は違いますが、6~8時間程度は毎日確保できるようにスケジュールを立てましょう。
寝る時間になったからと言って無理に寝る必要もありません。
眠くなるまで起きていても良いですが、起きる時間は毎日同じくらいの時間にしましょう。
睡眠が足りていない時などは、必要に応じて昼寝を上手く活用するようにします。

これらを意識することで生活リズムが整ってくるので睡眠の質を高くしてくれます。
睡眠不足を解消することにも繋がるはずです。
睡眠はとても重要な行為になりますので毎日しっかりと時間を確保して取るようにしましょう。