免疫|細菌やウィルスから身体を守る免疫機能について
免疫細胞
私たちは、日々様々な細菌やウィルスなどの病原体に接しています。
それでも体調を崩さないのは身体に備わっている免疫機能のおかげです。
私たちの免疫機能を担っているのが免疫細胞です。
免疫細胞は骨髄で再生される白血球のことです。
白血球は大きく分けると単球、顆粒球、リンパ球に分けられます。
単球
・マクロファージ
異物が侵入すると食べて処理します。(貪食作用)
その情報を他の免疫細胞に伝えます。
・樹状細胞
異物を食べて処理する貪食作用はあまり強くありませんが、異物の情報を伝達する抗原提示能力に優れています。
顆粒球
白血球の約6割を占めます。
好中球、好酸球、好塩基球に分けられますが、顆粒球の9割以上が好中球です。
強い貪食作用を持ち異物処理をするとその死骸は膿となります。
リンパ球
・T細胞
ヘルパーT細胞は、リンパ球チームの司令塔で、マクロファージや樹状細胞から敵の侵入の知らせを受けると、それをB細胞へと伝えます。
その他、攻撃能力を持つキラーT細胞も存在します。
・B細胞
ヘルパーT細胞から指令を受けて抗原を撃退する為の抗体を作り出します。
一部のB細胞は抗原の特徴を記憶しておくことができます。
抗体は免疫の働きによって作られる
抗体は。体内に抗原が侵入すると免疫の働きにより作られるものです。
抗原に結合をして排除するように働きかけます。
抗原とは、細菌やウィルスなどの病原体、アレルギーを引き起こす花粉や卵など身体に免疫反応を起こす物質のことです。
抗体は、免疫グロブリンというタンパク質によって作られています。
小さなL鎖と大きなH鎖の各二本で構成されています。
抗体の特徴としては、形が変わらない定常部に対して形が変化する可変部があることです。
可変部は、侵入してきた抗原に合わせて結合できるよう形を変化させます。
抗体の役割は、中和作用とオプソニン化です。
抗体がウィルスや細菌に結合して毒性を失わせるのが中和作用です。
オプソニン化とは、抗原を認識しやすくしてマクロファージや顆粒球の貪食作用を促すことです。
抗体には種類があり5種類に分けられています。
lgM
細菌やウィルスに感染した際に最初に作られる抗体です。
感染から3~7日ほどで出現して2~3週間ほどで消失します。
5つの抗体で五量体という形を成しています。
IgG
血中に最も多い抗体です。
感染から1~2週間ほどで出現します。
体内に侵入した細菌やウィルスに結合をして免疫細胞の働きを助けます。
細菌やウィルスを無毒化する作用があります。
胎盤を通過することができるので母体から胎児に受け渡されます。
IgA
腸管や気道などの粘膜に存在し局所での細菌やウィルス感染の予防に役立ちます。
粘膜上では、二量体の形をしています。
初乳にも含まれています。
IgD
体内に存在する量は少なく、その精確な機能はよく分かっていません。
IgE
抗体の中で体内に存在する量が最も少ないです。
肥満細胞に結合をして喘息や花粉症などのアレルギー反応に大きく関与しています。
IgMとIgGの値を確認することで過去に感染したのか、現在感染しているのかを知ることができます。
抗体ができるまで
抗体を作り出しているのは免疫細胞のB細胞になります。
B細胞による病原体にマッチした抗体の生産には、数日から数週間という時間がかかります。
ですが、一度抗体が作られるとその情報はメモリーB細胞に記憶されて攻撃体制が維持されます。
一度目の侵入
抗原⇒樹状細胞やマクロファージやなど、抗原を取り込み情報を提示する⇒ヘルパーT細胞⇒B細胞を活性化⇒抗体産生細胞
二度目の侵入
抗原⇒メモリーB細胞⇒抗体産生細胞
抗体産生細胞
ヘルパーT細胞によりB細胞が増殖・分化し抗体産生細胞となって抗体を産生します。
メモリーB細胞
B細胞の一部はメモリーB細胞に分化します。
メモリーB細胞は抗原の再侵入に備える役割を持ち記憶していた抗原の再刺激を受けると極めて短い期間で抗体産生細胞へと分化して多量の抗体を作ります。
T細胞も一部がメモリーT細胞に分化し免疫記憶として残ります。
麻疹、水疱瘡、おたふく風邪などは一生記憶しておくことができるとされています。