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アルコールは筋力トレーニングの効果を低下させる|筋トレをする人はアルコール摂取に気を付けよう

アルコールが筋肉に与える影響

筋力トレーニングをしている人にとって、アルコールはどのような影響を与えるのでしょうか。
アルコールは筋肉に関係があるの?と思うかもしれませんが、以下のようなメカニズムで筋肉に悪影響を与える可能性があります。

・筋肉の分解を促進するホルモンであるコルチゾールの分泌を増やします。
コルチゾールは、ストレスホルモンとも言われストレスや疲労などで分泌されるホルモンです。

・筋肉の成長を促すホルモンであるテストステロンの分泌を減らします。
テストステロンは、男性ホルモンの一種でタンパク質の合成を促進して筋肥大や性欲などに関わります。
テストステロンが減少すると筋肉の合成が抑制されので筋力トレーニングの効果も低下します。

・筋肉の合成を制御する酵素であるmTOR(エムトア)の活性化を阻害します。
mTORは、細胞内のタンパク質キナーゼという酵素の一種で、筋力トレーニングや栄養摂取などで活性化されます。
mTORが活性化するとタンパク質の合成が促進され、筋肥大が起こります。
反対にmTORが阻害されるとタンパク質の合成が抑制されてしまいます。

以上のように、アルコールは筋肉に対して複数の悪影響を及ぼす可能性があります。
しかし、これらの影響はアルコールの量や頻度によっても異なります。
適度な飲酒であれば、ストレス解消などの効果は期待できるかと思います。

急性アルコール筋症とは?

アルコールを多量に飲んでいる人は、筋力が弱いのが一般的です。
急性アルコール筋症とは過度な飲酒によって筋肉が損傷する病気です。
この病気は、アルコールが筋肉のエネルギー代謝を妨げることで起こります。
筋肉のエネルギー源であるグリコーゲンが不足すると、筋肉は分解されて乳酸や尿酸などの有害物質を生成します。
これらの物質は血液中に溜まり、腎臓に負担をかけます。

また、筋肉の分解物は尿細管を詰まらせて腎不全を引き起こすこともあります。
急性アルコール筋症の症状は、筋肉痛、腫れ、弱さ、暗赤色の尿などです。
重症の場合は、ショックや昏睡に陥ることもあります。

急性アルコール筋症の診断は、血液検査や尿検査で筋肉の分解物や有害物質の濃度を測定することで行います。
治療は、点滴や輸血で水分や電解質の補給を行い腎機能を回復させることが重要です。

急性アルコール筋症は、予防可能な病気です。
適度な飲酒や食事の摂取、運動などで筋肉の健康を保つことが大切です。
飲酒後に筋肉痛や尿色の変化などがあれば、早めに医師に相談しましょう。

アルコールと筋肉の関係を考える上で大切なこと

ランジトレーニング

アルコールと筋肉の関係を考える上で大切なことは、「お酒の量」「お酒を飲むタイミング」です。
これらを意識して飲酒することで、アルコールによる筋肉への悪影響を最小限に抑えることができます。

お酒の量は、体重1kgあたり0.5g以下のアルコール摂取であれば、筋肉への悪影響は小さいとされています。
例えば、体重60kgの人であれば、30g以下のアルコール摂取であればそれほど問題はないようです。
これは、約2本のビールや約3合の日本酒に相当します。
しかし、これはあくまでも目安で、個人差や体調などによってもちろん異なります。
すぐ顔が赤くなる人は、アルコールに対して弱いので一般的な目安よりも少ない量が目安となります。

女性は、男性よりもアセトアルデヒドの分解能力が低く、血中アルコール濃度が上昇しやすいことが報告されています。
アルコールの分解速度は、肝臓の大きさや筋肉量、性別、年齢、栄養摂取状態などによって個人差が大きく、4~5倍程度の差があるとされています。

また、飲み過ぎると他にも肝臓や胃などの消化器官に負担をかけることになります。
なので、トレーニングをしている人は、適度な量で飲むことが大切です。

また、お酒を飲むタイミングも筋肉に影響します。
特にトレーニング後はアルコールを控えることが重要です。
トレーニング後は、筋肉がダメージを受けて回復や成長を促す為にタンパク質を必要とします。
しかし、アルコールを飲むとタンパク質の合成が阻害されたり、タンパク質が分解されたりする可能性がああります。

そして、アルコールは睡眠の質を低下させることもありますが、睡眠中は成長ホルモンが分泌されて筋肉が回復や成長する重要な時間です。
なので、トレーニング後はアルコールを飲まずにタンパク質を摂取して質の良い睡眠をとることが重要です。

アルコールは筋肉に悪影響を与える可能性がありますが、適度な飲酒であればそれほど大きな問題はないかと思います。
問題は、飲み過ぎてしまうことです。
お酒の種類や量やタイミングを意識して飲むことで、トレーニングとお酒を両立させることができます。

ですが、トレーニングの効果を最大限に引き出したい人は、極力アルコールを控えることが望ましいです。
アルコールは、飲まないことに越したことはありません。