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身体を動かしている筋肉について知ろう!

私たちは普段意識をすることはなく、身体を自由に動かすことができます。
これは全身に筋肉があるからです。
加齢や病気などで筋肉が衰えたり異常が起こったりすると何気ない日常の動作が困難になることもあります。
その結果、活動範囲が狭くなってしまったり、寝たきりの原因になったりしてしまい生活の質が低下してしまいます。
生活の質を維持し健康に生活を送る為には筋肉がとても重要となります。
そもそも筋肉は、どのような構造をしているのでしょうか。
筋肉について少し知っておきましょう。

筋肉の種類、横紋筋、平滑筋

筋肉は大きく分けで横紋筋と平滑筋に分けることができます。
横紋筋はアクチンとミオシンというひも状のタンパク質が交互に規則正しく並んでいる様子が縞模様のように見えることからこの名前がつきました。
横紋筋は、身体を動かす骨格筋と心臓の心筋に分けられます。
筋肉と言えば一般的にはこの骨格筋のことを言います。

横紋筋

骨格筋

骨格筋は、組織上は縞模様のある横紋筋になります。
随意筋ですので自分の意思で動かすことができます。

骨格筋は、筋束と呼ばれる束が寄り集まって構成されています。
筋束は、筋繊維と呼ばれる細い繊維が集まって束になったものになります。
筋繊維は筋細胞とも呼ばれ1本が細胞1つに該当します。

例えば、長さが約50cmある太ももの筋肉の筋繊維も1つの細胞になります。
なぜ筋繊維という細胞が他の一般的な細胞と比較して長いのかというと筋細胞はもとになる数百個の筋芽細胞が一つに融合してできた細胞だからです。
なので1本の筋繊維の中にはたくさんの細胞核が存在していることから多核細胞ということになります。
さらに筋繊維の中には筋原線維という繊維が詰まっていて、この筋原線維が収縮と弛緩を繰り返すことで運動が可能になります。

筋原線維は、太い繊維と細い繊維の2種類が規則正しく交互に並んだ構造をしています。
太い繊維は主にミオシン、細い繊維は主にアクチンというタンパク質でできています。
筋繊維に接合した神経線維から筋肉を収縮させる信号が来ると太い繊維であるミオシン繊維が細い繊維であるアクチン繊維を手繰り寄せて2つの繊維がスライドします。
その結果、筋原線維が全体的に短くなって筋肉が収縮します。

筋肉が収縮する際のエネルギーは、ATP(アデノシン三リン酸)になります。
ATPは、糖質、脂質、タンパク質を利用して作られます。
また、筋肉は大きく分けると遅筋繊維と速筋線に分けることができます。

筋肉

遅筋繊維(赤筋)

遅筋繊維は血液中のヘモグロビンから酸素を受け取って筋組織に運ぶ働きを持つミオグロビンやエネルギーを作り出すミトコンドリアが多くあります。
酸素を利用して血液中のブドウ糖や遊離脂肪酸から効率よくエネルギーを作り出すことができます。
遅筋繊維は、持久力に優れた筋肉になります。
遅筋繊維を構成するミオグロビンは赤い色素タンパク質を多く含むので赤く見えるので赤筋とも呼ばれます。

速筋繊維(白筋)

速筋繊維は、筋肉に蓄えられたグリコーゲンをエネルギー源として瞬時に大きな力を発揮することができます。
短時間でエネルギーが切れてしまうので、長い時間の運動には適していません。
瞬発力に優れていますが、持久力がない筋肉になります。
速筋繊維はミオグロビンを含む量が少なく白っぽく見えるので白筋とも呼ばれます。

心筋

心筋は、心臓にしか存在しない筋肉です。
骨格筋同様、組織上は縞模様のある横紋筋に分類されますが、自律神経によってコントロールされているので、自分の意思とは関係なく収縮、弛緩を繰り返す不随筋になります。
休むことなく動き続けるので、全身の筋肉の中で最も丈夫な筋肉になります。
特に心筋の中でも全身に血液を送り出している左心室周囲の心筋は、大きな力を必要とするので厚くなっています。
また、エネルギー生産を担うミトコンドリアの数も骨格筋に比べてはるかに多い特徴があります。

平滑筋

平滑筋は、胃や食道、腸、血管などの壁を作る、また膀胱や子宮などの袋状の内臓の壁を作っている筋肉で内臓や血管の運動に携わっています。
骨格筋よりも疲れにくく、ゆっくりとした持続的な収縮を行うのが特徴です。
自律神経やホルモンによってコントロールされていて、自分の意思で動かすことはできません。
平滑筋繊維は、円柱状で真ん中が太く、両端が細くなる紡錘形で、真ん中に核がある単核細胞です。
細胞の内部にアクチンとミオシンがあり、横紋筋のように規則正しく並んでいないので、2つの繊維がスライドすることがなく自発性に活動電位を発生し収縮しています。

このように筋肉は、その役割に応じて身体を動かす為に日々働いています。

筋肉は加齢に関係なく使わないと急速に衰える

筋肉は加齢によっても衰えていきますが、使わないでいると年齢に関係なく急速に衰えていきます。
若くても筋肉を使っていないと衰えていくのです。

例えば、ケガや病気で長期間寝たきりの状態が続くと筋肉の萎縮や骨量の低下が顕著に起こります。
ある研究では、筋肉を動かさないと1週間で10~15%の筋力が低下すると報告されています。
このような状態を廃用症候群と言います。

筋力低下は、必ずしも寝たきり状態でしか起こらないわけでもありません。
身体を動かさないだけでも筋肉は衰えていきます。
1週間程度運動をしなかった場合、体力を取り戻す為にはその2~3倍以上の時間がかかるとされています。
筋肉は年齢に関係なく鍛えることができますので、歳だからということはありません。
定期的に短い時間でも筋肉を動かすことがとても大切になります。

筋肉痛について

ランジトレーニング

筋肉痛とは、運動をして起こる筋肉の痛みのことです。
一般的には、運動後の数時間から翌日~翌々日というように遅れて起こる遅発性筋痛が筋肉痛と呼ばれています。
原因としては、普段使わない筋肉を使い過ぎたり、慣れていない運動を行ったりした時に起りやすいです。
詳しい筋肉痛のメカニズムはまだ解明されていませんが、運動によって傷ついた筋繊維を修復しようとする時に起る痛みであるという説が有力になっています。
同じ筋肉を使い過ぎたり、普段使わない筋肉を使ったりすると筋繊維の周りの組織に微細な傷ができます。
運動によって損傷した筋繊維を修復する為に、白血球を中心とした血液成分が集まってきます。
この時炎症が起きてヒスタミンやプロスタグランジンなどの刺激物質が産生されて痛みとして感じます。

また、筋肉痛が遅れてやってくるのは、筋繊維そのものには痛みを感じる神経がなく、炎症が広がって痛みを引き起こす刺激物質が筋膜に届いてから痛みを感じるので時間差があると考えられています。
俗に歳を取ると筋肉痛が遅くなると言われることがありますが、これに関しては証明されていないようで関係ないとされています。

筋肉痛は、筋肉を伸ばす運動がなりやすいです。
例えば、階段を下りる時や荷物を下ろす時、スクワットであればしゃがむ動作の時などです。
筋肉が引き伸ばされながら行う運動をエキセントリック運動と言ったりしますが、この運動は筋肉へのダメージが大きく筋肉痛が起こりやすい運動になります。

エキセントリック運動は、筋肉への刺激も強いので筋力アップや筋肥大にも有効になります。
よくトレーニングをする時にゆっくりと下げるようにと言われますが、これは筋肉へ強い刺激を与える為でもあります。