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降圧薬は本当に必要なのか、薬について考えてみよう|血圧、コレステロール、血糖値

血圧を下げる薬はほぼ意味なし

血圧を下げる薬の試験では、血圧を下げれば心筋梗塞や脳卒中の確率を下げることが証明されています。
ここで確認しておきたいことが「確立を下げる」の意味です。
研究した期間に病気にならなかったとしてもさらに長い目で見ればどうしても病気になります。
病気にならない方がもちろん良いのですが、ガンや脳卒中、心筋梗塞は自然に起る老化現象とも言えます。
歳を重ねれば誰しも罹ってしまう病気なのです。
その意味で降圧薬の服用は病気を先送りにするだけになります。

アメリカの学会が提供するASCVD Risk Estimatorというサイトがあります。
血圧や年齢、喫煙歴などを入力すると10年以内に脳卒中や心筋梗塞になる確率を教えてくれます。
ただこの計算は、主に白人のデータを基に作られています。
アジア人のどのくらいが当てはまるか分かりませんが、ここで出た確率を下げるのが降圧薬の役割と言えます。

高血圧の基準は、1959年にWHOの報告書で正常血圧と高血圧の人間に明確な境界線はないとしながらも160/95mmHgとしています。
その後、血圧を下げる利尿薬が登場し70年代から80年代に降圧薬を使うようになりました。
薬ができたから使うようになっていきました。
血圧を下げると果たしてどんな効果があるかエビデンスがない状態で降圧薬が広まったのです。

その後、93年にアメリカが高血圧の基準を140/90mmHgにしました。
理由は、臨床データを基に脳卒中や心筋梗塞を防げると考えたからです。

では、血圧を下げるとどのくらい防ぐことができるのでしょうか。

降圧薬の研究では、血圧を下げなかった場合、1年あたり心筋梗塞や脳卒中になる人が3.2%いました。
血圧を下げるとこれが2.6%に減りました。
その差は0.6%です。

つまり、99.4%の人は血圧を下げても下げなくても結果は変らなかったと言うことです。
この数字をどう捉えるかは、個人によるかと思います。

血圧と脳卒中や心筋梗塞の関係性について似たデータがもうひとつあります。
脳卒中や心筋梗塞のリスクが高い人から低い人を4段階にグループ分けをし、それぞれのグループで病気をどれくらい減らせたのか調査した論文があります。

その結果、もっともリスクが低いグループでは血圧を下げないと6%の人が病気になり、下げても4.6%の人が病気になりました。
血圧を下げると病気になる確率が1.4%減りました。
反対に言えば、残りの98.6%の人が血圧が高いままだろうが、下げようが変わらなかったことになります。

降圧薬を服用したら死ぬまで飲み続けないといけないと思っている人も多いようです。
もちろん長期間薬を服用すれば、血圧が低い状態を維持できることでしょう。
医師からすれば、重い病気や死亡リスクを考えて飲み続けないといけないというような言い方になるのではないでしょうか。

しかし、医師が何と言おうが最終的に服用するかどうかは患者本人の考えです。
服用をやめるのも自由なのです。
やめれば薬代と病院に行く時間、もしかしたら薬の副作用と何よりも自分は病気だから管理されていないといけないという思い込みから解放されるかもしれません。
ここで考えてもらいたいことは健康寿命と寿命です。
寝たきりや介護が必要な状況にならないで日常生活を送れる期間を健康寿命と言います。
これを延ばしたいと考えている人は多いのではないでしょうか。

しかし、健康寿命が延びれば普通はその分、寿命も延びます。
健康寿命だけ延ばしたいと思うかもしれませんが、それは幻想と言えるかもしれません。
寝たきりや要介護になることは、ほぼ避けることができないと考えるべきかもしれません。

降圧薬を服用する場合、そうした前提に立って先送りにするかどうかを検討するといいのではないでしょうか。

コレステロール値を下げる薬には命に関わる副作用もある

コレステロールも脳卒中や心筋梗塞に関連します。
薬を飲めば、コレステロールの数値が下がって心筋梗塞や脳卒中のリスクは軽減されます。
しかし、これも降圧薬と同じで薬を飲んでも飲まなくても短期的には大多数の人の運命は変わりません。
長期的には、運命は先送りしただけになります。
利益が小さい薬は害を厳しく見るべきです。
例えば、コレステロール値を下げるスタチンという薬は副作用が少ないですが、稀に横紋筋融解症という副作用があります。

横紋筋は、身体を動かす筋肉で筋肉が破壊されてしまいます。
壊された筋肉からこぼれだした物質が血液に乗って腎臓を傷めて最悪命に関わってしまうこともあります。
非常に稀な副作用ではありますが、横紋筋融解症を恐れてスタチンの服用を避ける人もいます。
横紋筋融解症のリスクは、コレステロール値を下げることによる脳卒中や心筋梗塞のリスクの数十分の一に過ぎないので薬を飲んだほうがいいと医師は考えます。

しかし、心筋梗塞や脳卒中のリスクを大して軽減できるわけでもないのに副作用のリスクがあるなら薬に頼っても意味がないと考える人もいるかと思います。
それはそれで尊重すべき価値観です。

最終的に薬を服用するかどうかの決定権は、医師ではなく患者自身にあります。

血糖値を下げる薬で寿命が縮むこともある

糖尿病

血圧やコレステロールを下げるのは、脳卒中や心筋梗塞を予防することが目的です。
しかし、血糖値を下げても脳卒中や心筋梗塞が減るのかはっきりした数字がありません。
薬で血糖値を下げる目的は、合併症の予防になります。

糖尿病で怖いのが合併症です。
糖尿病になってしまうと網膜症で失明したり、腎機能が悪化して透析委なったりしてしまうからです。
血糖値が高ければ基本的に薬で下げていきます。
しかし、2000年代以降に血糖値を下げ過ぎると副作用によって寿命が縮めてしまう疑いが出てきました。
なので、現代では血糖値が下がり過ぎたら薬を減らすというのが糖尿病内科医の標準的な治療法になります。

ですが、血糖値を下げ過ぎたら副作用が増えることを考えていないのか、血糖値は低ければ低いほどいいと思っているのか、そんな医師もいるようです。
薬を服用する上で薬の毒性を知ることはとても大切です。
その薬にどのくらい効果があってどんな副作用があるのか自分自身でも調べてみるといいでしょう。
とは言っても、一般の人が論文を探して読むのは難しいと思うので医師や薬剤師に聞いてみると良いかと思います。

ただそれ以上に大切なのが「自分自身がどうしたいのか」です。

とにかく長生きをしたいのか、それとも寿命が少しくらい短くなっても好きなことをして生きていきたいのか、薬を服用する前によく考えておくべきことかと思います。

健康とは、肉体的な健康だけでなく、精神的・社会的な健康も含まれます。
限りある人生なので自分自身が悔いの残らないように選択をしていけるようにしましょう。

参考雑誌⇒PRESIDENT 健康診断のウラ側