脳トレは認知症の予防にならない!マルチタスクが効果的|オメガ3、オメガ9、緑黄色野菜
自己完結型の脳トレは認知症予防に意味なし
認知症は予防できるのか、できないのか、この問題は長く議論がされています。
認知症は予防できると言いきることはもちろんできませんが、予防が可能な認知症もあります。
そもそも認知症は状態を示す総称になります。
原因は大きく分けるとアルツハイマー病、レビー小体型病、脳血管障害の3つあります。
これらの疾患が原因で認知機能低下が起こって生活に支障が出ている状態を認知症と呼んでいます。
これらの中で予防ができるのがアルツハイマー病と脳血管障害です。
ですが、レビー小体病は原因も不明で予防法も見つかっていません。
認知症の予防として広く知られているのが脳トレかと思います。
脳トレでは、算数のドリルのような計算問題やクロスワード・パズル、ナンプレなどを黙々とやって脳を活性化してくれます。
しかし、これらの脳トレは認知症予防に意味がないことが分かっています。
認知症とは、突き詰めて言うと脳の前頭葉の働きに関する病気です。
この部分を活性化させるには、他者とのやり取りを含んだマルチタスクが重要になります。
目の前の単純な課題を一人でこなしていくだけの自己完結型の脳トレでは、残念ながら前頭葉の効果的な刺激になっていないのです。
一方で将棋や囲碁、麻雀などでは対戦相手がいて駆け引きが行われ、会話も活発に交わされます。
これらがマルチタスクになり前頭葉の刺激になってアルツハイマー病などの予防に繋がります。
認知症は、他者とのコミュニケーションがとても重要と言えます。
禁酒も認知症に意味なし
アルコール自体は、身体に良くないので健康を考えるなら飲まないほうが良いかとは思います。
禁酒をすれば脳にも良いように思えますが、禁酒をしても認知症の予防には繋がりません。
反対に適量であれば飲んだほうが認知症の予防に繋がるかもしれません。
2008年にアルコールに認知症の予防に効果がるという調査結果が報告されているようです。
少量のアルコール摂取は、血流を促し脳血管障害のリスクを減らしてくれると考えられています。
では、どのくらいの飲酒が適量なのでしょうか。
個人差があるので一概には言えませんが、目安として純粋なアルコールで1日10g程度とされています。
350mlのビールで換算すると7分目ほどになります。
もちろん飲み過ぎは逆に認知症を招きます。
純粋なアルコールで1日20gを超えるとリスクが跳ね上がります。
アルコールの摂り過ぎでビタミンB1が過剰に消費され欠乏してしまうと記憶障害を主体とする認知症のリスクが高くなります。
よく「物忘れが気になる人のために」というような謳い文句のサプリメントがあるかと思いますが。これらも効果はないと思われます。
記憶を司る重要な器官は脳の中心部にある海馬です。
ここに直接作用する物質、薬品は残念ながら発見されていません。
もしあったとしたらサプリメントではなく、医薬品になっているのではないでしょうか。
確かなエビデンスから言えることは、オメガ3脂肪酸やEPA、ビタミンEなどは抗酸化作用があります。
抗酸化作用のあるサプリメントであれば、細胞の酸化を抑えて血管の老化を抑制しアルツハイマー病の原因物質であるアミロイドβを作りにくくする効果があるかと思います。
ただし、直接記憶力を改善する効果はありません。
オメガ3、オメガ9も摂り過ぎNG、おススメは緑黄色野菜
認知症の症状、特に記憶そのものに直接作用する物質はありませんが、その原因となる疾患を予防する物質はあります。
よく知られているのが地中海式食事法の中心的な存在であるオリーブオイルです。
オリーブオイルには、オメガ9脂肪酸が多く含まれていて動脈硬化の予防、抗酸化作用もあります。
ですが、摂り過ぎはいけません。
いくら身体に良いと言われても油ですので、摂り過ぎてしまうと脂質異常症や糖尿病などのリスクも高まってしまうからです。
このような疾患は、認知症のリスクも高めてしまいます。
オメガ3脂肪酸やポリフェノールを多く含むナッツ類についても同様です。
ビタミンが豊富な果物なら良いと思うかもしれませんが、これも摂り過ぎはNGです。
果物には、果糖が多く含まれているので摂り過ぎは糖尿病などのリスクを高めてしまいます。
積極的に摂りたいのは、βカロテンが多く含まれている緑黄色野菜です。
βカロテンには、抗酸化作用があるので血管や細胞の老化を抑制してくれます。
アルツハイマー病の原因であるアミロイドβの産生を抑えてくれます。
また、緑黄色野菜には食物繊維も豊富に含まれているので腸内環境を整えてくれます。
脳腸相関と言って脳と腸はホルモンや自律神経を介してお互いに影響をし合っています。
腸の健康は脳の健康にも関係しているとされています。
緑黄色野菜を積極的に食べるようにすると良いでしょう。
また、サバやイワシ、サンマなどに多く含まれているEPAやDHAもアルツハイマー病や脳血管疾患を予防に良いとされています。
ただし、焼いたり煮たりすると効果が半減してしまいます。
なるべく素材に近い、刺身で食べると良いです。
運動も認知症予防に効果的
運動は、認知症予防にも効果があります。
特に有酸素運動が効果的とされているようです。
運動は、血流を促し細胞を活性化してくれます。
適度な有酸素運動は、認知症の予防に大きなプラスになることが様々な研究結果が示しています。
運動強度を示すものとしてMETs(メッツ)が用いられています。
この数値が3~4METs程度が良い運動とされていて、平地を早歩きで15分程度歩くと良いのではないでしょうか。
運動もやり過ぎは良くなく、やり過ぎてしまうと活性酸素が多く作られてしまい血管を傷つけてしまうことも考えられます。
認知症の原因とされる因子の4割は、何かしらの方法で予防できると言われていますので、参考にしてみてはいかがでしょうか。
参考雑誌⇒プレジデント2024年12/13号 間違いだらけの健康常識