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熱中症は暑さによって生じる病気の総称|運動中は無理をしない

体温調節と熱中症

熱中症は、暑い環境によって起こります。
昔からある病気で紀元前334年にアレキサンドロス大王が東方遠征した時に熱中症に悩まされていたと言われています。
他にも明治時代以降は、炭鉱や製鉄所で働いている人の熱中症が問題となっていました。

熱中症は、体温調節と密接な関係があります。
人の身体は、代謝によって体内で発生する熱と身体の表面から逃げていく熱がバランスを取っています。
体表面からの熱の放散は、体表面の血流を増加させることと汗をかくことです。
私たちの身体の深部体温が37℃程度になるように調節されています。
運動をすると体内で大量の熱が発生しますが、暑い環境では熱放散の効率が低下してしまうので体温調節が難しくなります。
このような状態になると様々な調節機能が上手く働かなくなってしまいます。
これが熱中症です。

熱中症は、暑さによって起こる病気の総称になります。
熱中症には、熱失神、熱痙攣、熱疲労、熱射病などがあります。

熱失神
暑い環境にいると体表面から熱を放散させる為に皮膚血流を増加させます。
それによって血液を皮膚に取られてしまうので頭に血が回らなくなりめまいや失神などを起こしてしまいます。

熱痙攣
汗には水分だけでなく塩分も含まれています。
大量に汗をかいて塩分を補給しないでいると塩分が不足してしまいます。
塩分は、筋肉の収縮に関わっているので筋肉の痙攣が起こってしまいます。

熱疲労
暑い中で運動をすると大量に汗をかきますが、水分の補給が不十分だと脱水になります。
脱水になると血液の循環が悪くなって脱力感、倦怠感、頭痛、めまい、吐き気などの症状が起こります。

熱射病
深部体温が40℃以上、脳機能異常、意識障害をきたし命に関わる状態です。
脳機能がダメージを受けるので体温調節ができなくなり、運動をやめても高体温が続いてしまいます。脳だけでなく肝臓、腎臓、肺、心臓などの多臓器障害を併発することもあります。
ここまで進行してしまうと治療をしても死亡率が高くなってしまいます。
救命できるかどうかは、いかに早く体温を下げることができるかにかかっています。

熱中症予防は無理をしないのが大切

水を飲む女性

熱中症対策が難しいのは、同じ環境条件でも運動の仕方、個人差、その日の体調など様々な要因あるからです。
1980年代に学校管理下での熱中症死亡事故が増えたことから、日本体育協会が91年に熱中症予防研究班を立ち上げ熱中症予防運動指針を作りました。

熱中症の予防の仕方は、昔から分かっていて簡単に言えば「暑い中無理はしない」「喉が渇いたら水を飲む」ということです。
ですが、どういう環境の時にどの程度まで運動をしていいのか、どのくらい休憩を取らなければいけないのか、という目安を示したのがこの指針になります。

体力のない人、肥満の人、暑さに慣れていない人などは熱中症になりやすいので、運動を軽減したり、別メニューにしたりなどの配慮が必要になります。

また、同じ人でもその日の体調によっても変わるので、体調が悪いと体温調節機能が低下し熱中症になりやすくなります。
疲労、睡眠不足、発熱、風邪、下痢など体調が悪い時は無理をしないようにしましょう。
大切なのは、具合が悪い場合は早めに休むことです。

運動中にどれくらいの水分を取れば良いのかは環境条件、運動強度、体格、個人差によって変わってきます。
喉の渇きに応じて水分を取るようにしましょう。
目安としては、運動前後で体重減少が2%以内に収まるようにすると良いとされています。
熱中症は梅雨明けなど気温が急に上昇する時に多く発生しますが、これは身体が暑さになれていないからです。
なので最初は、運動強度や運動時間を抑えて1~2時間かけて徐々に負荷を上げるようにしていきましょう。

熱中症は肥満者がなりやすい

公園を走る女性

スポーツによる熱中症死亡事故は、気温30℃以下でも湿度が高いと発生していること、運動強度が高いと短時間でも起こり得ること、運動種目に関わらず持久走やダッシュの繰り返しなどで多く発生していること、肥満者に多いことが特徴としてあります。
肥満の人が30分程度のランニングで死亡した例もあるので、肥満気味の人は特に注意が必要です。
無理をしないことを常に心がけましょう。

スポーツ活動中の熱中症予防5カ条
・暑い時、無理な運動は事故のもと
・急な暑さに要注意
・失われると水と塩分を取り戻そう
・薄着スタイルでさわやかに
・体調不良は事故のもと