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水分の重要性、脱水症の種類、1日に必要な水分量は?

水分の働き

水分は私たちの生命活動に不可欠なものです。
スポーツをしている人の中には、脱水症状の人、もしくは脱水症状になった経験のある人も多いのではないでしょうか。
頭がボーっとして集中できなくなった、部活中にグラウンドで動けなくなった、病院に運ばれて点滴をしたなど。

脱水症になると他の栄養素が不足した場合に比べて、健康状態の悪化やパフォーマンス低下がより早く顕著に身体にあらわれていきます。
そして、より重篤な状態を招いてしまいます。

「健康の維持やスポーツパフォーマンスの向上には水分が重要だ」と言うことを季節問わず忘れないようにしましょう。

水分は体内では、体温調節、栄養素の運搬、関節の潤滑作用、代謝産物の除去、消化、吸収、免疫機能などに関わっています。

体温調節
汗をかいて体温を下げる

栄養素の運搬
血液が栄養素や酸素を組織に運ぶ

関節の潤滑作用
関節の痛みや曲げづらさを軽減する

消化
唾液、胃液、排便など消化を正常に行う

吸収
腸内から血液への栄養素の吸収を正常に行う

免疫機能
血液、リンパ液として白血球を輸送する

水分が不足してしまうとこれらの機能が全て滞ってしまいます。
なので他の栄養素が不足した場合と比べて健康状態の悪化やスポーツパフォーマンスの低下が顕著に出てきますし、重篤な状態を招いてしまうこともあります。

水分は、私たちにとってとても重要なものなのです。

水分が不足して起こる脱水症の原因と種類

夏バテ女性

水分が不足すると脱水症になります。
脱水症とは、体内の水分のみならずナトリウムも足りない状態のことを言います。

脱水症は下記の3つに分けられています。

・水分だけが減る場合(高張性脱水)
水分の摂取量が不足し、ナトリウムよりも水分が多く失われている状態

・水分とナトリウムの両方が減る場合(等張性脱水)
大量の汗をかいた時、ナトリウムも水分も多く失われている

・水分とナトリウムの両方が減った時に水だけを補強した場合(低張性脱水)
大量に汗をかいた後、水だけを飲んだ時、水分よりもナトリウムが多く失われている

夏に起こる脱水症のほとんどは、等張性脱水になります。
汗をたくさんかいたことが原因です。
この時、水だけ飲んでもナトリウムが足りずに体液が薄まってしまいます。
これを調整する為に水分が排出されて再び脱水が起こることを低張性脱水と言います。

汗をたくさんかいた時は、水分だけでなくスポーツドリンクなどでナトリウムも一緒に補給するようにするといいでしょう。

脱水症の症状

脱水症になると失った水分量に応じて次のような症状が出てきます。

体重に対する水分損失率

1%⇒大量の発汗、のどの渇き

2%⇒強い乾き、めまい、吐き気

3%⇒汗が出なくなる

4%⇒全身脱力感、動きの鈍り

6%⇒手足の震え、ふらつき、頭痛

8%⇒幻覚、呼吸困難

水分の損失が体重の2%を超えると、ぼんやりするなどの意識障害が出てきてスポーツパフォーマンスが著しく低下します。
3%で汗が出なくなるのは、体温調節以外の機能を保持する為に汗による水分の損失を止める為と考えられています。

運動後に水分を摂ったら汗が急に出て来たと言う経験をしたことはないでしょうか。
これは損失率が3%以上になり汗が止まったところに水分が補給されて汗をかくことができるようになった為です。
運動に夢中になってしまうと水分補給を忘れがちになります。

損失が体重の2~3%のうちに補給することができれば重篤な状態にならずに済むことが多いです。
それ以上の損失は重篤な状態になってしまうので水分は意識して摂取することが大事です。

1日に必要な水分量

水を飲む女性

では、1日どのくらい水分を摂ればいいのでしょうか。

普通に生活をしているだけでも1日に2500mlの水分が出入りしているとされています。
入る水分は、食事1000ml、飲料1200ml、代謝水300mlになります。
出る水分は、尿や便で1600ml、呼気や汗が900mlになります。

激しい運動をしたり、たくさん汗をかいたりしていなくても1日に1200ml程度は水やお茶などの飲料から水分を摂るようにすると良いでしょう。

食事からの水分も多く、スープや野菜、ご飯も重要な水分補給源になります。
ですので、食事を食べなかった場合はエネルギーだけでなく、水分も不足している状態になるので注意が必要です。

では、汗をたくさんかいている運動中は、どのくらい水分を摂ればいいのでしょうか。

運動中には、1日に必要な水分にプラスしてさらに、運動中に汗で失った水分量と同じ量が必要になります。
スポーツの現場では、体重と飲料水から発汗量や水分の損失率を算出して水分の補給が十分にできているのかを常に確認すると良いでしょう。
損失率が2%以内に収まっているかどうかが重要になります。

運動中にどのくらい水分を摂ればいいのかをしっかりと知っておけば、運動中の脱水症予防やパフォーマンスの低下防止にとても有効になります。

また、必要な水分摂取量は気温や温度、運動強度や体調によって同じ人でも大きく変わります。
一度だけではなく季節が変わった、運動強度が上がったなどのタイミングで確認をすると良いでしょう。

子供や高齢者は脱水症になりやすい

子供と高齢者は脱水症になりやすいです。

子供は、体温調節機能や腎臓での水分の代謝機能が未熟だからです。
また、伸長が低いので体表面積が少なく放熱しにくく、基礎代謝が高いので多量の汗をかくので水分不足になりやすいのです。

高齢者は、暑さとのどの渇きに鈍くなり、食事量も減るので脱水症になりやすくなります。
飲むとトイレに行く回数が増える、むせるなどの理由で水分摂取を避ける傾向もあります。
また、高齢者は激しく動くことがないので急激に脱水症になるのではなく、少しずつ脱水が進み、突然症状が出ることもあります。

高齢の人は、意識して水分を補給するように心掛けることが重要になります。

脱水症と熱中症

脱水症が引き金になって、熱中症が起こります。
熱中症とは、高温多湿な環境が原因で体温調節機能が上手くいかなくなり、体内に熱がこもった状態のことです。

体温上昇⇒発汗⇒脱水症⇒発汗ストップ⇒熱中症

熱中症は重篤になると死に至ることもありますが、水分をしっかりと摂取すれば予防ができます。
糖質やタンパク質は不足しても直ぐに影響が出ることはありません。
ですが、水分が不足して起こる脱水症は1時間で最悪の結果を招くこともあります。

普段から水分補給をして身体に水分を満たしておくことが重要になります。
だからと言って水分も必要以上に飲み過ぎてしまうと良くありませんので、適量を摂取することが重要です。