双極性障害(躁うつ病)とは?症状、診断、最新の治療と日常生活で欠かせない多角的サポート
💡 双極性障害(躁うつ病)の基礎知識
双極性障害(そうきょくせいしょうがい)は、かつて「躁うつ病」と呼ばれていた気分障害の一種です。
この病気は、極端な躁状態と深刻なうつ状態という、両極端な気分の波を交互に繰り返すことが最大の特徴です。
気分の波は、仕事、学業、人間関係、そして日常生活全般に大きな影響を及ぼす可能性があります。
適切な理解と治療、そして周囲からのサポートが、症状の安定と社会生活の維持に不可欠です。
📌 双極性障害の主な症状
| 状態 | 特徴的な症状 |
| 躁状態 | 過度な活動性、高揚感、怒りやすさ、睡眠欲求の低下、多弁、衝動的な行動(浪費など) |
| うつ状態 | 強い抑うつ感、意欲・興味の著しい低下、倦怠感、睡眠障害(不眠または過眠)、食欲不振、自責感、希死念慮 |
双極性障害には、症状の程度によって双極I型障害(より重い躁状態を伴う)と双極II型障害(軽躁状態とうつ状態を繰り返す)に分類されます。
🩺 双極性障害の診断と治療の基本
双極性障害の治療は、症状をコントロールし、再発を防ぎ、安定した生活を取り戻すことを目指して、長期的に進められます。
1. 正しい診断の重要性
診断は、精神科医による詳細な問診と症状の経過の評価に基づいて行われます。
国際的な診断基準(ICD分類やDSM)に照らし合わせ、単なるうつ病と区別することが重要です。
⚠️ 注意点:双極性障害をうつ病と誤診し、抗うつ薬のみを投与すると、かえって躁状態を誘発したり、病状を悪化させたりするリスクがあるため、専門医による正確な診断が不可欠です。
2. 治療の核となる「薬物療法」
薬物療法は、双極性障害の治療の基本であり、特に再発予防のために重要です。
自己判断での服薬中断は、再発や病状悪化のリスクを高めるため、医師の指示に従い、継続することが大切です。
💊 主な治療薬
- 気分安定薬(ムードスタビライザー)
躁状態とうつ状態の両方の治療と予防に用いられます。- 炭酸リチウム
長年使用されている第一選択薬の一つ。 - 抗てんかん薬
バルプロ酸、カルバマゼピン、ラモトリギンなど。
- 炭酸リチウム
- 非定型抗精神病薬
躁状態の治療や、気分安定薬と併用してうつ状態の治療・予防にも用いられます。(例:オランザピン、アリピプラゾールなど)
3. 薬物療法以外の治療と介入
薬物療法に加え、精神科医や専門スタッフによる以下の心理社会的介入も有効性が認められています。
- 心理教育
患者さんとご家族が病気について正しく理解し、治療に積極的に関わるための教育。 - 認知行動療法(CBT)
気分の波に対処するためのスキルや、ストレス管理の方法を習得。 - 生活リズムの調整
規則正しい睡眠や食事をサポートし、気分の波のトリガーとなる要因を減らす。 - 電気けいれん療法(ECT)
重度のうつ状態や躁状態など、緊急性の高い場合に選択されることがあります。
🫂 双極性障害を持つ人を支える多角的なサポート
双極性障害を管理し、社会の中で充実した生活を送るためには、医療的な治療だけでなく、日常生活における周囲からの多面的なサポートが不可欠です。
| サポートの柱 | 具体的な内容とポイント |
| 1. 理解と受容 | 症状による行動を「病気の一部」として捉えることが第一歩です。 偏見や誤解を避け、患者さんの努力や意志の問題ではないことを理解しましょう。 |
| 2. コミュニケーション | 責めることなく、オープンで安全な対話の場を設けます。 特にうつ状態では、傾聴と共感が大きな支えとなります。 |
| 3. 生活リズムの維持 | 規則正しい睡眠・食事・運動は再発予防の鍵です。 崩れそうな時に気づき、サポートする役割が重要です。 |
| 4. 危機管理体制 | 自傷行為や自殺のリスクが高まる時期(特にうつ状態)があります。 危険な兆候を早期に察知し、すぐに医療機関へ繋げる準備をしておきましょう。 |
| 5. 社会的資源の活用 | 自助グループ、家族の会、地域の福祉制度などを積極的に活用し、患者さんだけでなく、サポートする側の孤立を防ぐことも重要です。 |
まとめ|長期的な視点と協力体制
双極性障害は、適切な治療と継続的なサポートがあれば、症状を安定させ、健康で満足のいく生活を送ることが可能な病気です。
患者さん自身が病気を理解し、治療を続けること。そして、ご家族や周囲が病気の特性を理解し、協力的なサポート体制を築くことが、長期的な安定には欠かせません。
双極性障害に関するさらに詳しい情報やサポートが必要な場合は、まずは専門の精神科医療機関や相談窓口に問い合わせることをお勧めします。










