トレーニング・フィットネス

【絶対NG!】血液ドーピングの真実 ― なぜダメ?何がヤバい?スポーツの未来の為に知っておくべきこと

結論

まず、結論からお伝えします。
血液ドーピングは、アスリートの健康を壊し、スポーツの価値を根底から覆す、絶対に許されない不正行為です。
一時的な勝利や記録の為に、自身の身体やスポーツそのものを危険にさらすこの行為です。
私たちは断固としてドーピングに「NO」を突きつけなければなりません。
クリーンで公正なスポーツの未来を守る為に、そして何よりもアスリート自身を守る為に、この問題について深く理解することが、今こそ求められています。

…と、いきなり強い言葉で始めてしまいましたが、「血液ドーピングって、そんなにヤバいの?」「具体的に何がどうダメなの?」と疑問に思った方もいらっしゃるかもしれません。

血液ドーピング、あまり聞きなれない言葉かもしれません。
そんな血液ドーピングの「なんで?」「どうして?」を、できるだけ分かりやすく、説明をさせて頂きます。

「血液ドーピング」って、結局どういうこと?

すごく簡単に言うと、「血をイジって、無理やりパワーアップする方法」です。

私たちの身体の中では、血液中の「赤血球」が酸素を全身に運んでいます。
マラソン選手が息を切らしながらも走り続けられるのは、この赤血球が筋肉に一生懸命酸素を届けているからです。

血液ドーピングは、この赤血球の数を通常ではありえないレベルまで増やして、酸素を運ぶ能力を飛躍的に高める行為です。
そうすることで、普通よりも長く、そして強く動き続けられるようになります。

でも、これって自然なトレーニングで得られる力では決してありません。
だからこそ、世界アンチ・ドーピング機構(WADA)という組織が、「それはズルだし、危ないから絶対ダメ!」と厳しく禁止しているのです。

あの手この手…血液ドーピングの巧妙な手口とは?

「血をイジる」と言っても、いくつかやり方があって主なものは下記のような感じです。

  1. 自分自身の血を使う「自己血輸血」
    • これは、あらかじめ自分の血を採っておいて、大事な試合の前に自分に戻す方法です。
      自分の血だからバレにくいのでは?と思うかもしれませんが、最近の検査はそんなに甘くありません。
      巧妙な手口も、科学の目が見逃さないようになってきています。
  2. 他人の血を使う「他家血輸血」
    • これは、自分以外の、血液型が同じ人の血を輸血する方法です。
      効果は自己血輸血と似ていますが、他人の血液なので、B型肝炎やC型肝炎、HIV(エイズウイルス)などの怖い感染症にかかるリスクが高まります。
      命がけのドーピングとも言えます。
  3. クスリの力で赤血球を増やす「EPO製剤」
    • EPO(エリスロポエチン)というのは、もともと腎臓で作られて、赤血球を作るのを応援するホルモンです。
      このEPOを注射したり、同じような働きをする薬を使ったりして、無理やり赤血球を増やそうとすします。
      本来は貧血の治療などに使われる薬です。

なぜ危ない橋を渡ってしまう?ドーピングに潜む「魔の誘惑」

白衣を着ている男性困る

アスリートたちが、なぜこんなにも危険で、倫理的にも問題のある血液ドーピングに手を出してしまうのでしょうか。
その背景には、やはり「勝ちたい」「もっと強くなりたい」という強い思いがあるからです。

  • 持久力が、格段にアップする(かもしれない)
    特にマラソンや自転車レース、クロスカントリースキーのような長い時間動き続ける競技では、「もうダメだ…」と限界が来るのを遅らせてくれる、なんていう甘い誘惑があるのかもしれません。
  • キツい高地トレーニングの「ズル」版
    標高の高いところでトレーニングすると、身体が酸素を取り込みやすくする為に自然と赤血球が増えてきます。
    血液ドーピングは、これと似たような効果を、手っ取り早く得ようとする行為とも言えます。

ドーピングに手を出してしまう気持ちも分からなくもないですが、本当にそれで得た勝利に価値はあるのでしょうか?胸を張って喜べるのでしょうか?

「ちょっと強くなるだけ」では済まされない!本当に怖い副作用と健康リスク

血液ドーピングの最も恐ろしい点は、その代償があまりにも大きいことです。
まるで時限爆弾を抱えているようなものかもしれません。

  • 血液ドロドロで、血管が詰まる!
    赤血球が増えすぎると、血液が濃くなってドロドロになります。
    そうすると、血管が詰まりやすくなって、心筋梗塞や脳梗塞といった、命に関わる病気を引き起こす危険性が跳ね上がります。
    特に、汗をたくさんかくスポーツの最中や後は、もっと危ないです。
  • 見知らぬ病気をもらうかも…
    他人の血をもらう場合は、どんな病原菌が入ってくるかわかりません。
    輸血による感染症のリスクは、決してゼロではないです。
  • 身体が自分自身を攻撃し始める?
    輸血や薬の影響で、体内の免疫システムがおかしくなってしまうこともあります。
  • EPOの副作用もヤバい!
    EPOだって、使い方を間違えれば高血圧になったり、ひどい風邪みたいな症状が出たり、もっと重い病気になることもあります。
  • 最悪のケースでは…
    ドーピングが原因で突然死してしまったアスリートもいます。

「ちょっとくらい…」という軽い気持ちが、取り返しのつかない事態を招くかもしれない。そのことを、私たちは決して忘れてはいけません。

「バレなきゃいい」は通用しない!進化するドーピング検査

「うまくやればバレないんじゃないの?」なんて思っている人がいたら、それは大きな間違いです。
ドーピングを見つける技術も、ものすごいスピードで進化しています。

  • 血を見ればわかる!
    血液検査で、赤血球の数がおかしくないか、ヘモグロビンの量が異常じゃないか、などを細かくチェックします。
    自分の血を使ったドーピングでも、血液バッグの成分が血に残っていたり、保存された血液の影響が見つかったりして、バレることがあります。
  • 長期的なデータで監視!「アスリート・バイオロジカル・パスポート」
    これは、一回だけの検査じゃなくて、アスリートの血液や尿のデータを記録し続けて、「あれ?この選手の数値、いつもと違うぞ?」と変化を見つけ出すシステムです。
    アスリート一人ひとりの「健康カルテ」みたいなもので、ごまかしは利きにくくなっています。
  • クスリそのものも見つけちゃう!
    EPOみたいな薬も、尿や血液から直接検出できるようになっています。

ドーピング検査は、試合の時だけじゃなく、普段の練習期間にも、いつ行われるかわからない「抜き打ち」が基本です。
一度でも「クロ」と判定されれば、試合に出られなくなったり、取ったメダルを取り上げられたりするだけじゃなく、アスリートとしての人生も、社会的な信用も、全部失ってしまいます。

過去の悲劇とスポーツ界に刻まれた深い傷

悩むイメージ

血液ドーピングは、これまで何度もスポーツ界を揺るがす大きなスキャンダルを引き起こしてきました。
有名な自転車ロードレースの選手が、長年にわたって組織的にドーピングをしていたことが発覚した事件は、世界中に衝撃を与えました。

こういう事件が起きるたびに、悲しい気持ちになります。

  • 「正々堂々」が泣いている
    ドーピングは、一生懸命努力している他の選手たちを裏切る行為です。
    「フェアプレー」というスポーツの一番大事な心が、踏みにじられてしまいます。
  • アスリートの身体が危ない!
    目先の勝利の為に、自分の身体をボロボロにしてしまうこと自体、本末転倒です。
  • スポーツが信じられなくなる
    「どうせドーピングしてるんでしょ?」なんて思われたら、純粋にスポーツを楽しめなくなってしまいます。
    子供たちが夢見るスポーツの世界が、汚されてしまうのは本当に悲しいことです。

血液ドーピングは、「ダメ、絶対!」 そのワケをもう一度。

法律で禁止されているからダメ、というだけじゃありません。
血液ドーピングは、人として、アスリートとして、絶対にやってはいけないことです。

  • ずるい!
    他の選手が汗水たらして頑張っているのに、自分だけ楽して勝とうなんて、そんなの許されるわけがありません。
  • 自分を裏切る行為
    ドーピングで手に入れた勝利や記録なんて、本物ではありません。
    それは、自分自身の努力や可能性を否定することになりませんか?
  • スポーツの価値を壊す
    スポーツは、私たちに感動や勇気を与えてくれる素晴らしいものです。
    その価値を、目先の欲のために汚してしまうなんて、絶対にあってはならないことです。

もう一度、大切なこと。そして、私たちができること。

冒頭でもお伝えした通り、血液ドーピングは、アスリートとスポーツそのものを破壊する行為です。
その手口は巧妙化し、一見すると魅力的な効果を謳うかもしれませんが、その裏には計り知れないリスクと、取り返しのつかない代償が待っています。

この記事を通じて、血液ドーピングの恐ろしさ、そしてそれがなぜ絶対に許されないのか、少しでも深くご理解頂けたなら幸いです。

クリーンで公正なスポーツの未来を築く為には、アスリート自身が高い倫理観を持つことはもちろん、私たち一人ひとりがドーピング問題に関心を持ち、「NO」という声を上げ続けることが不可欠です。
未来の子供たちが、心からスポーツを楽しみ、夢を追いかけられる世界を守りましょう。