「努力は報われる」は幻想か?遺伝と能力がもたらす残酷な真実
現代社会において、私たちは「努力すれば成功できる」という能力主義(メリットクラシー)を信じて疑いません。
しかし、行動遺伝学や国際的な統計データは、私たちが直視を避けてきた「能力の冷徹な現実」を突きつけています。
人間に備わる本能:幼少期から始まる「有能さ」の選別
人間は、無意識のうちに相手の能力を見極め、選別する本能を持っています。
これは後天的に学ぶものではなく、生存戦略としてDNAに刻まれたものです。
- 3歳児でも「有能な大人」を見抜く
アメリカの保育園での実験では、わずか3歳の幼児であっても、過去に正しい情報をくれた(有能な)保育士を信頼し、間違った情報を出した保育士を避ける傾向が確認されました。 - 生存本能としての選別
弱者である子どもにとって「誰を頼るか」は死活問題です。
そのため、相手の能力を瞬時に見極める能力が、進化の過程で備わったと考えられています。
先進国を襲う「スキル不足」の衝撃的な実態
「教育さえ受ければ、誰でも等しく能力が伸びる」という神話は、いま崩壊しつつあります。
国際成人力調査(PIAAC)の結果は、先進国が直面するスキルの欠如を露わにしています。
- 成人の約半数が「小学校レベル」の学力
先進国の成人の約半分は、単純な文章しか読めない、あるいは小学校3〜4年生程度の算数能力しか持ち合わせていないという衝撃的なデータがあります。 - 事務職に就けない現実
一般的な事務職に必要な「中級以上」のスキルを持つ人は、高卒で26%、大卒ですら31%程度に留まります。 - 日本における読解力の欠如
日本も例外ではありません。日本人の約3分の1は、日本語が読めない(文章の意図を正しく理解できない)レベルにあると指摘されています。
「子育て」や「環境」の影響は驚くほど限定的
個人の能力や性格の形成において、親の教育や家庭環境の影響は、私たちが期待するほど大きくありません。
行動遺伝学者エリック・タークハイマーが提唱した「三原則」が、その残酷な真実を物語っています。
行動遺伝学の3原則
- ヒトの行動特性はすべて遺伝的である。
- 同じ家族で育てられた影響(共有環境)は、遺伝子の影響より小さい。
- 複雑なヒトの行動特性のばらつきのかなりの部分は、遺伝や家族では説明できない。
つまり、親がどれほど熱心に教育を施しても、子どもの能力向上への寄与度は、「遺伝」や「非共有環境(個人の友人関係や偶然の出来事)」に比べて極めて小さいのです。
まとめ|知能の格差が「社会の分断」を加速させる
現代の知識社会では、知能の格差がそのままスキルの格差となり、学歴の分断や職業のミスマッチへと直結しています。
知能のばらつきが「遺伝」や「制御不能な環境」に大きく依存している以上、この格差は個人の努力だけで越えられるものではありません。
「能力的な壁」が構造的な格差を生み出しているという現実に、私たちはどう向き合うべきなのでしょうか。
参考書籍⇒無理ゲー社会
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