エリクソンによる【人格発達の8段階】生涯を通じて自己を形成する心理社会的理論
エリクソンの人格発達論とは?
エリク・エリクソン(Erik Erikson)の人格発達理論は、人間の生涯を通じてのアイデンティティ形成と社会との関わりを重視した、心理学で最も広く認知されている理論の一つです。
フロイトの精神分析を基盤としながらも、個人の発達を生物学的要因だけでなく、社会的・文化的要素との相互作用として捉え直した点に大きな特徴があります。
エリクソンは、個人が社会的な役割を学び経験を積むことで自我を発達させ、人生で直面する8つの発達段階と、そこで生じる心理社会的危機を乗り越えることが成長につながると提唱しました。
人生を8つの段階で捉える「心理社会的危機」
エリクソンが提唱した8つの段階は、個人が各ライフステージで直面する主要な課題と、その解決によって獲得する「自我の強さ」(徳性)を示しています。
これらの危機をどう解決するかが、その後の人生の質に影響を与えます。
| 発達段階 | 時期(目安) | 心理社会的危機 | 危機を乗り越えて得られる徳性 |
| 1. 乳児期 | 0〜1歳半 | 基本的信頼 対 不信 | 希望 (Hope) |
| 2. 幼児前期 | 1歳半〜3歳 | 自律性 対 恥と疑惑 | 意志 (Will) |
| 3. 遊戯期 | 3〜5歳 | 主導性 対 罪悪感 | 目的 (Purpose) |
| 4. 学童期 | 5〜12歳 | 勤勉性 対 劣等感 | 有能感 (Competence) |
| 5. 青年期 | 12〜18歳 | アイデンティティ 対 役割混乱 | 忠誠心 (Fidelity) |
| 6. 成人初期 | 18〜40歳 | 親密性 対 孤立 | 愛 (Love) |
| 7. 成熟期 | 40〜65歳 | 生産性 対 停滞 | 世話・貢献 (Care) |
| 8. 老年期 | 65歳以上 | 完結性 対 絶望 | 英知 (Wisdom) |
各段階の危機が後の人生に与える影響
各段階の「危機」は、その後の発達に重要な影響を与えます。例えば、
- 乳児期に世話をする人との関係を通じて基本的信頼感を確立できれば、後の人間関係における安心感の基盤となります。
- 青年期のアイデンティティの課題は、「自分は何者か」を確立する最も重要な時期であり、この課題を解決できなければ、役割の混乱が生じやすくなります。
エリクソン理論の重要性と応用分野
エリクソンの理論は、個人の発達が単なる生物学的な成長ではなく、社会との相互作用に深く根ざしていることを明確に示しました。
これにより、私たちは人間の生涯にわたる成長をより広い視野で理解できます。
この理論は、教育、心理療法、人材開発、保護者支援など多岐にわたる分野で応用されており、個人が直面する課題を乗り越え、成長する過程を支援するための重要な枠組み(フレームワーク)と洞察を提供してくれます。
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