メンタルヘルス

スキーマから自分を理解する|なぜ私たちは「回避」してしまうのか?

人間関係で「言いたいことが言えない」「つい人に合わせてしまう」といった悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。

これらの非主張的な態度の裏側には、幼少期に形成された心のパターン、すなわち非適応的スキーマが関わっています。
そして、このスキーマによる心の痛みを避けようとする防衛策こそが、今回ご紹介する「回避モード」です。

回避モードとは?:心の防衛システム

回避モード(Coping Mode – Avoidance)は、自分の核となるスキーマ(心の傷や信念)に直面し、そこから生じる苦痛や不安を感じないようにするために、行動や感情をシャットアウトしたり、距離を置いたりする心の状態を指します。

これは、かつて幼少期に生き残るために必要だった心理的な防衛方法が、大人になっても非適応的な形で残ってしまったものです。

特に主張が苦手な人、一見クールで感情を表に出さない振る舞いをする人の中に強く見られます。

「心の痛み」から身を守る3つの回避パターン

回避モードは、その具体的な対処行動によって以下の3つのパターンに分類されます。

① 従順・服従モード(Surrender Mode)自分の意見や感情を抑え、相手の要求に一方的に従うことで、衝突や見捨てられることへの恐怖を避けるパターンです。

行動の例
相手の顔色を常にうかがい、望まない行為でも「好かれるため」に受け入れる。拒絶を恐れるあまり、人にコントロールされる関係を自ら作り出してしまう。

② 遮断・防衛モード(Avoidant/Detached Protector Mode)
感情や思考を遮断し、他者との心理的な関わりを避けることで、傷つくリスクを最小限に抑えようとします。

行動の例
感情をストップさせ、なるべく人との間に距離を置く。自分のつらい思いや助けを求めることを苦手とし、あえて人嫌いな態度をとって孤立を選ぶ。

③ 遮断・自己鎮静モード(Self-Soother/Self-Stimulator Mode)
苦痛な感情を麻痺させるために、特定の行動や物質に依存し、一時的な快楽や高揚感で気をそらそうとするパターンです。

行動の例
飲酒、過食、ギャンブル、セックスなど、心身を高揚させる行動に依存する。
また、家に引きこもってゲームに没頭したり、仕事中毒になることもこれに含まれます(親密な人間関係を避けるための回避行動として機能するため)。

回避モードは連鎖する:親から子へ

興味深いことに、この回避モードは、親との関係性の中で無意識に「獲得」されてしまうケースも少なくありません。

例えば、母親(あるいは主要な養育者)が、自分の問題を抱えたときに感情を表に出さず「回避」することで心を守っていた場合、子どももその対処法を自然と学び、同様の回避モードが獲得されてしまうことがあります。

📌 自分の行動を理解することから変化が始まる

「回避モード」は、本来あなたを傷つきから守るために生まれた「頑張りすぎた心の防衛システム」です。

自分の非主張的な態度や、特定の依存的な行動がどの回避モードに当たるのかを理解することは、自分自身への気づきと、より健康的な対処法を見つけるための大きな一歩となります。

承知いたしました。上記のブログ記事の最後に、内容を簡潔にまとめた「まとめ」セクションを追加します。

まとめ

項目ポイント
回避モードの正体幼少期にできた非適応的スキーマによる心の痛みを避けるための心の防衛システム
誰に出やすいか主張が苦手な人、人に合わせる傾向がある人、クールに見られがちな人。
3つのパターン1. 従順・服従(拒絶を恐れ人に合わせる)、
2. 遮断・防衛(感情や関わりを絶つ)、
3. 遮断・自己鎮静(依存行為で感情を麻痺させる)。
重要なこと回避行動は過去の傷つきからあなたを守るために機能していたことを理解し、どのパターンが自分に当てはまるかを知ること。