健康

膝の痛みには運動で筋肉を鍛えることが重要|関節への負担を減らす

膝の軟骨消耗で膝が痛くなる

中高年になってくると多くの人が膝の痛みを感じるようになります。
「階段の上り下りが膝にこたえるので辛くなった」と感じる人も多いのではないでしょうか。
膝が痛いとなるべく脚を動かさないで安静にしようと思う人が多いですが、これは実は大きな間違いになります。
運動をしなければ、その時の膝の痛みを感じないので良いように思えますが、膝の関節にとっては逆効果になってしまい膝の痛みを悪化させてしまうこともあるからです。

運動をして脚を強化すれば、膝の痛みの改善が期待できます。
膝の痛みの原因は様々ありますが、中高年で膝の痛みの多くは変形性膝関節症です。
これは、膝の関節が変形してしまい痛みが生じてきます。
病気が進行すると高齢女性によく見られる、いわゆるO脚変形になる場合もあります。

厚生労働省によると変形性膝関節症の患者数は、潜在的は患者も含めると国内で約3000万人と推定されています。
50歳以上の患者では、女性の患者が男性の患者の1.5~2倍もいるのが特徴です。

変形性膝関節症は、関節軟骨がすり減って痛みが出てきます。
関節軟骨がすり減ってしまうと骨と骨が直接ぶつかってしまい、とげ状の骨棘ができて関節包を圧迫したり削れた軟骨の破片が骨膜を刺激したりして膝が痛みます。
若い頃に膝を酷使するようなスポーツをしていた人は、膝軟骨の消耗が早くなります。
軟骨は、消耗品とも言えるので一度すり減ってしまうと簡単に再生しません。
軟骨には血管が通っていないので再生に必要な栄養の補給が難しいのです。
加齢と共に軟骨が減るのは、老化現象とも言えるので避けられないと考えたほうが良いでしょう。

しかし、軟骨がほとんどなくても筋肉を鍛えることで問題なく歩けるようにもなります。

膝の痛みには筋肉を鍛えることが有効

高齢者ウォーキング

膝の痛みには、筋肉を鍛えることが有効です。
女性の場合、60代で60%、70代で70%、80代で80%と年齢に比例して膝の軟骨が減っている人が多かったという調査結果があります。
女性は、男性よりも筋肉量が少ないのが要因と考えられます。
筋肉は関節を保護し安定させてくれますので、膝の関節を守ってくれます。

高齢で軟骨がほとんどないのに膝の痛みを感じないという人もいます。
このような人は、日ごろから適度に運動をして脚の筋肉が発達している場合が多いです。
脚の筋肉によって体重を支え、膝関節への負担を和らげているのです。
運動をして筋肉を鍛えれば、膝関節への負担が少なくなり痛みも起こりにくくなります。

関節への負担を減らすには、肥満にならないようにすることも重要です。
体重が増えれば、その分負担も増えるので適正体重を維持するように努めましょう。

膝の痛みに運動が良いと言っても、実際に痛みがあると悪化してしまうのではないかと思う人もいると思います。
もちろん膝の痛みを我慢して行うと悪化させてしまうこともあるので注意は必要です。
痛みが出る運動ではなく、痛みが出ない運動、痛みが出ない範囲で行える運動をしましょう。

膝の痛みを感じることがなく脚を強化する世界的に認められている運動療法があります。
変形性膝関節症の診療ガイドラインにも運動療法として掲載されています。
それは、ベッドなどに仰向けになったり横向きなったりして脚を伸ばしたまま上げ下げをする方法です。
脚を伸ばしたまま行うので、これらの運動では痛みを感じることはありません。

また、膝周辺の筋肉を鍛える方法としては椅子に座った状態での膝の曲げ伸ばしをする運動があります。
あまりにも膝が痛い場合は、負荷も軽いのでまずはこれらの運動をしてみましょう。
歩いたりするのが辛くない場合は、無理のない範囲でウォーキングをしてみると良いです。

水中ウォーキングもおススメです。
水中では関節への負担が少なく、水の抵抗もかかるので無理なく筋肉を鍛えることができます。

筋肉を鍛えるならウォーキングなどの有酸素運動よりも、筋肉に強い負荷をかける筋力トレーニングが良いです。
スクワットが無理なくできるのであれば、スクワットをするようにしましょう。

適度な運動を継続していれば、膝の痛みが緩和されてくるかと思います。
もし、膝に腫れなど炎症が起こっている場合は運動はやめて冷やすようにして、運動をしてもなかなか改善しない場合は医療機関で一度見てみると良いかと思います。

食事にも気を付けよう

箸で食べている女性

運動の効果を期待するには、運動だけでなく食事も大事です。
食事は栄養バランスの良い食事が大前提になります。
炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルの五大栄養素を過不足なく摂取するようにしましょう。
筋肉の材料になるタンパク質は、特に意識をすると良いかと思います。
肉や魚、卵、乳製品、大豆などに良質なタンパク質が多く含まれていますので、毎食何かしら食べるようにすると良いです。

膝の痛みに良いとされているコンドロイチンやグルコサミンなどのサプリメントもありますが、膝に有効な信頼できるエビデンスは今のところないようなので明らかになっていないようです。
そもそもサプリメントは、医薬品ではないので効果はないと思ったほうが良いかとは思います。
もし、サプリメントなどを使いたいのであれば、医薬品のコンドロイチンのほうが良いのではないでしょうか。

ですが、サプリメントなどに頼るのではなく、運動療法と食事を実践することが先決です。
運動をして筋肉を鍛えない限り、関節への負担は減らないので痛みの改善には繋がらないからです。
膝の痛みでお悩みで何とかしたいと思っているのであれば、運動をしてみてはいかがでしょうか。

参考雑誌⇒プレジデント2024年12/13号 間違いだらけの健康常識