健康

市販薬6種類の選び方について|風邪薬、頭痛薬、胃薬、整腸剤、咳止め、目薬

医薬品の種類

医薬品には、大きく処方箋である医療用医薬品と市販薬(OTC医薬品)があります。
医療用医薬品は病院を受診して医師に処方箋を発行してもらい、薬剤師が調剤する薬になります。
それに対して市販薬は、薬局やドラッグストアで患者自身が処方箋なしで購入することができる薬になります。

医療用医薬品は、効果が高いですが副作用に注意が必要です。
市販薬は医療用医薬品と比べて成分量が少なく、効果は緩やかで副作用は少なくなります。
同じ成分でも患者が自己管理の下で使うことを前提とした市販薬は、医療用医薬品と比べて含有量が2分の1から3分の1程度になっているのが一般的です。
多くの人が勘違いをしているかもしれませんが、大前提として薬は毒です。
なので、正しく選ぶことが大切になります。

手軽に買うことができる市販薬は効き目が強い順に分けられています。
要指導医薬品と第一類医薬品は薬剤師しか売ることができません。
それ以外の第二類医薬品、第三類医薬品は、登録販売者がいれば買うことができます。
しかし、薬剤師がいるのであれば相談して購入したほうが良いかとは思います。

総合風邪薬は注意が必要

市販薬の多くの人が購入するものとして総合感冒薬、いわゆる風邪薬があります。
よく使われる薬になるので常に常備している人も多いかもしれません。
風邪薬は、特に注意が必要な市販薬になります。
風邪薬と一口に言っても一つの薬の中には、少なくとも6~7種類、多いと10種類ほどの成分が含まれています。
医療用医薬品と市販薬の違いに単剤か配合剤か、があります。

医療用医薬品は、一つの薬の中に有効成分が1種類しか含まれていない単剤が基本です。
ですので、医師が出す薬は早く効くと感じるのです。

市販薬は、一つの薬の中に複数の有効成分が含まれている配合剤がほとんどです。
風邪薬なら、咳に効く成分や鼻水に効く成分、のどの痛みに効く成分などが少ない含有量で複数含まれています。

つまり、主な症状が咳だけという場合なら鼻水や熱に効く成分は不要になります。
複数の成分が含まれているということは、それだけ飲み合わせや相互作用などのリスクも増えます。
不要な薬を飲むことは胃への負担から胃潰瘍などのリスクにも繋がります。

風邪薬は総合感冒薬ではなく、自分の症状に合った成分が多く含まれているものを選ぶようにしましょう。
具体的には、くしゃみや鼻水が主な症状であれば抗ヒスタミン成分が含まれていると効果的です。
のどの痛みや熱であれば、解熱・鎮痛作用があるイブプロフェンが多く含まれているものが良いです。

風邪薬と言ってもその効果は、様々なので安易な理由から選ばないようにしましょう。

頭痛薬、バファリンでは説明不足

頭を抑える女性

痛薬や解熱剤は、一般的に解熱鎮痛薬と呼ばれています。
熱を下げることと痛みを抑えることは似たような仕組みなので解熱と鎮痛は同じ意味と考えて問題ありません。

解熱鎮痛薬は頭痛や生理痛、歯の痛み、発熱などの症状を緩和する為に使われます。
代表的な成分としては、アセトアミノフェンやアスピリン、イブプロフェン、ロキソプロフェンなどがあります。
一般的にアセトアミノフェンは、比較的安全性が高く、胃腸への負担も少ないとされています。
なので子供や高齢者にもよく使われます。
ですが、長期間の使用や大量服用で肝機能障害を起こすこともあります。

ロキソプロフェンは、比較的効き目が強く高い鎮痛効果が期待できます。
これは、もともと医療用医薬品だったのが市販薬になったので高い効果が期待できます。

解熱鎮痛薬に限ったことではありませんが、市販薬は商品名と薬の成分が必ずしも一致しているわけではありません。
バファリンは代表的な解熱鎮痛薬ですが、古くからあるバファリンはアスピリンを主成分とした解熱鎮痛薬でした。
しかし、バファリンと名前がつくシリーズの解熱鎮痛薬は、子供用まで含めれば10種類もあり、そのうちアスピリンが含まれているのは2種類だけです。
このようなケースは他の薬でもよくあるので、ほしい薬があるときは空箱を持っていくと良いです。
バファリンが欲しいと言ってもどのバファリンなのか薬剤師には伝わらないのでほしい薬が手にはいらないこともあります。

胃薬、胃酸を抑える胃薬はリスクもある

胃の調子が悪い時の主な症状は「胃が痛い」「胸やけがする」「胃がもたれる」「胃がムカムカする」などがあります。
胃の痛みが激しい時は、胃潰瘍の可能性が考えられるので市販薬ではなく病院に行った方が良いでしょう。
また、便の色が真っ黒な時も胃や十二指腸から出血している可能性があるので病院を受診したほうが良いかとは思います。

一方で胃のむかつきや食欲不振、胃もたれなど何となく感じる胃の不快感には市販薬でも有効です。
胃薬には、胃酸の分泌を抑えるH2ブッカーや胃酸を中和する制酸薬、胃粘膜を保護する粘膜修復成分、消化を促す消化酵素、これらを含む総合胃腸薬など様々な胃薬があります。
消化酵素や粘膜を保護する成分が入っている薬はリスクを心配する必要はありませんが、胃酸の分泌を抑える胃薬は注意が必要です。
胃の痛みを抑えるのに強い効果がありますが、胃がんによる胃の痛みも一時的に抑えてしまうからです。
ですので、本人が気付かないうちに進行してしまい手遅れになってしまうかもしれないのです。

胃の痛みを感じた時は、他に飲んでいる薬の副作用の可能性も考えられます。
効き目が緩やかな市販の薬でも人によっては胃の粘膜を荒らしてしまいます。
胃の痛みを感じたら何か他に飲んでいる薬がないか考えて、それも併せて薬剤師に伝えると良いでしょう。

整腸剤、生活習慣の改善が優先

整腸剤は、下痢や便秘などの症状があるわけではないものの何となくお腹が緩かったりお腹が張ったりする時に飲む薬になります。
善玉菌を増やしてくれる作用があり腸内環境を整えてくれます。

一般的にビフィズス菌や酢酸を作り出す酢酸菌は大腸に多くいます。
乳酸菌は小腸に多く、栄養の分解・吸収を助ける糖化菌は小腸の上部に多くいます。
これらの菌は、それぞれ異なる働きをして日々腸内環境を整えています。
といっても整腸剤を飲むだけで腸内環境を完全に整えることは困難です。

整腸剤は、風邪薬や頭痛薬、胃薬に比べると効き目が緩やかですので、体調管理の補助的な使い方になるかと思います。
腸内環境の乱れは生活習慣が大きく影響を及ぼします。
整腸剤の効果を過信し過ぎないようにし、バランスの良い食事をすることが何よりも大事です。
まずは、バランスの良い食事をしましょう。

咳止め、風邪以外の痰が絡む咳は市販薬で治らない

咳をする女性

咳は、気道にたまった異物や痰を体外に排出する為に出る身体の防衛反応になります。
ですので咳はむやみに止めるものではありません。
抑えてしまうと異物の排出も抑えてしまうので身体にとっては良くありません。
ですが、咳は大きくエネルギーを消費するので長期間、咳が続くと体力を消耗してしまいます。
また、咳によって睡眠が妨げられたり心臓に悪影響を及ぼすこともあるので、このような場合は咳止めを使うと良いかと思います。

咳には、空咳と痰が絡む湿った深い咳があります。
空咳を止めるには、リン酸コデインに代表される中枢神経鎮咳薬が効果的です。
これは、脳の咳中枢に働きかけて咳を止めます。
麻酔由来の成分が含まれ横隔膜の痙攣を抑える働きがあります。
医療用医薬品では、下痢止めとして使われることもあるので便秘になりやすいという副作用があります。

ゴホゴホという湿った咳は、気道の粘膜が炎症を起こすことで痰を伴うのが特徴です。
この場合は、咳を止めるよりは痰の排出を促したり気管支を広げたりすることが効果的です。
痰が絡む咳には、去痰成分であるカルボシステインやブロムヘキシン塩酸塩などがあります。
気管支を広げる成分では、dl-メチルエフェドリン塩酸塩などがあります。

気を付けないといけないのは、これらの市販薬で対応が可能なのは風邪による咳だけです。
痰が絡む咳の原因は、風邪以外にも急性気管支炎や喘息、肺炎、肺結核、慢性閉塞性肺疾患などがあります。
これらが原因の場合、市販薬では対応ができません。
咳が長期に続く場合は、病院に行くといいでしょう。

目薬は1ヶ月以内で捨てよう

目の異常の症状としては「目のかゆみ」「充血」「目の疲れ」「かすみ」「目の乾き」「目やに」などがあります。
これらの症状のうち、アレルギーによる目のかゆみや充血には、クロルフェニラミンマレイン酸塩などの抗ヒスタミン成分が有効です。
目の疲れやかすみには、ビタミン類が配合されている目薬が良いです。
目の乾きには、涙と似たような成分の人工涙液や角膜保護成分などのコンドロイチン硫酸エステルナトリウムやヒアルロン酸ナトリウムなどの成分が良いです。

目やには、目に炎症が起きた時に出やすくなります。
細菌やウイルスに感染した時に免疫反応として目やにが出ます。
目やにや結膜炎、ものもらいには、スルファメトキサゾールという抗菌成分が使われているものが良いかと思います。

目薬は、1滴差せば十分です。
2滴と差しても目はそれを吸収できずに涙と一緒に流れてしまいます。

そして、もっとも注意したいのが使用期限です。
一度開封した目薬は2週間、長くても1ヶ月以内に使い切りましょう。
たとえまつげやまぶたなどに触れていなくてもです。
開封して空気に触れた瞬間から雑菌の繁殖が始まるからです。
雑菌だらけの目薬を使ってしまうと結膜炎などの感染症を引き起こすことに繋がってしまいます。
これは、防腐剤が入っていても同じです。

開封した目薬は、長くても1ヶ月以内に使い切るようにしましょう。
それ以上経ってしまったら中身が残っていても捨てるようにして使わないようにしましょう。

参考雑誌⇒プレジデント2024年12/13号 間違いだらけの健康常識