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トランス脂肪酸が健康を害す|加工油脂、植物油脂、マーガリン、ショートニング、ファットスプレッド、世界で広がる脱トランス脂肪酸

細胞に害を及ぼすトランス脂肪酸

トランス脂肪酸は加工食品に多く含まれていて、液状の植物油を固形状にする過程で発生します。
原材料に加工油脂、植物油脂、マーガリン、ショートニング、ファットスプレッドなど表示されていたらトランス脂肪酸が含まれています。

トランス脂肪酸と関連が報告されている主な病気は、ガン、糖尿病、不妊症、心臓病、子宮内膜症、鬱、アルツハイマー病、ADHDなどがあり、非常に危険な物質とされています。
細胞や核、ミトコンドリアなどの生体膜を構成する主な主成分は油(脂肪酸)です。
生体膜にトランス脂肪酸が取り込まれると膜の構造や機能を狂わせて、細胞が持つ本来の働きをことごとく阻害してしまいます。
これが全身の細胞で起ると身体がどうなるのか、特に6割油で構成されている脳への影響は計り知れません。

トランス脂肪酸の摂取で実際に様々な悪影響が指摘されています。
世界各国では、硬化油の使用の規制や禁止、トランス脂肪酸が含有量の義務化が進んでいます。
アメリカのFDA食品医薬品局は、トランス脂肪酸摂取量の削減で年に2万件の心臓発作と7000人の死亡を減らせる可能性があると発表しています。
WHO(世界保健機関)も世界全体での完全排除を主張しています。

しかし、日本では規制されていません。
自主的に対策を講じている民間企業もありますが、私たち消費者には判断材料すらないのが現状です。
ですので、自分自身でトランス脂肪酸を含む恐れのある高リスク食品を避けることが重要です。
特に妊娠中は、大人よりもはるかに有害物質の悪影響を受けやすい胎児に重大な弊害を及ぼしますので、妊婦はトランス脂肪酸を摂らないようにすると良いでしょう。

トランス脂肪酸は身近にある

食品売り場

マーガリン
トランス脂肪酸を含む代表的な食品がマーガリンです。
もしかしたら植物性でヘルシーというイメージがあるかもしれませんが、マーガリンはバターよりも身体に悪いと言えます。
バターよりもマーガリンのほうが塗りやすく安価なので、マーガリンを使っている人は多いのではないでしょうか。
一時に比べてトランス脂肪酸の含有量は低減傾向にあるようですが、警戒するに越したことはないと思います。

パン
市販されている袋入りのパンには、必ずと言っていいほどマーガリンかショートニング、植物油脂などトランス脂肪酸の高リスク油脂が使われています。
包装されていないパンの場合、どんな油脂が使われているかは分かりませんが、パンを頻繁に食べている人は注意が必要かと思います。

マヨネーズ
マヨネーズを手放せない人も多いかもしれません。
中には何でもかんでもマヨネーズをかける人もいるかと思います。
マヨネーズはトランス脂肪酸の高リスク食品です。
原料にこだわった製品でもトランス脂肪酸の含有量が高い場合がありますので注意が必要です。

スイーツ
サクサク、トロトロしたスイーツには注意が必要です。
スイーツ類の原料には、トランス脂肪酸を含む恐れのある加工油脂が使われていることがほとんどです。
クッキーやパイのサクサクとした歯触りもショートニングなどの加工油脂による可能性が高いです。
シュークリームやエクレアなどのクリームを半固形状にする為に使われているファットスプレッドもトランス脂肪酸が多く含まれています。

コーヒーミルク
コーヒーは身体に良い飲み物ですが、一緒についてくるポーション型のミルクが問題です。
ポーション型のミルクは、実は乳製品ではありません。
ほとんどがトランス脂肪酸を含む恐れのある植物油脂です。
このような乳製品の偽物は、市販のアイスやチョコレートにも使われてたりもしますので注意が必要です。

世界では脱トランス脂肪酸

統計データイメージ

世界で脱トランス脂肪酸が広がっています。
国際機関が生活習慣病の予防の為に開催した専門家会合は、食品から摂る脂質の目標を2003年に公表しました。
トランス脂肪酸の1日の摂取量を総エネルギー摂取量の1%に相当する量よりも少なくするよう勧告しています。
その後、1%未満という数字が世界各国のトランス脂肪酸対策の様々な場面で基準や指標として用いられるようになりました。

しかし、WHOは、1%未満でも不十分と判断しゼロがベストと主張するようになりました。
シンガポール、フィリピン、台湾、香港、中国、韓国、米国、カナダが食品中のトランス脂肪酸濃度の表示を義務付けしています。
EUでは、2019年4月24日に規制を正式に発表し2021年4月2日より開始しています。
消費者向けに食品を販売する場合、当該食品中のトランス脂肪酸は脂質100gあたり2gを超えないもののみが流通可能になっています。

米国では、加工食品中のトランス脂肪酸の含有量の表示を義務付けています。
2015年6月17日に部分水素添加油脂の食品への使用規制を公表し、この規制を2018年6月18日から開始しています。
ニューヨーク市、カリフォルニア州はこのほかに独自の規制を設けているようです。
カナダでは、2018年9月17日から部分水素添加油脂の食品への使用を禁止しています。

では、日本ではどうなっているのでしょうか。

食品安全委員会が2012年に食品に含まれるトランス脂肪酸の健康影響評価の結果を公表しました。
日本人の大多数がエネルギー比1%未満であり、また健康への影響を評価できるレベルを下回っていることから、通常の食生活では健康への影響が小さいと考えられると結論付けました。
ですので、現時点では表示義務も規制もされていません。
ですが、男女の多世代で1%超が一定数見られることが研究で発覚しているようです。

近年では、その割合がさらに増えてきているのではないでしょうか。
加工食品を普段からよく食べている人は、注意が必要でしょう。
加工油脂、植物油脂、マーガリン、ショートニング、ファットスプレッドなど表示されていたらトランス脂肪酸が多く含まれているので、これらが表示されているか確認をしてみると良いかと思います。