筋肥大に有意な効果はない?事前疲労法(プレエグゾーション)、ドロップセット法
トレーニングのバリエーション
レジスタンストレーニングでは、1セット10回×3セットが一般的なやり方です。
これは基本的なやり方でありセット法と言われる方法になります。
それ以外にもトレーニングのバリエーションは無数に存在します。
代表的なのは、スーパーセット法、コンパウンドセット法、トライセット法、ジャイアントセット法、サーキット法などがあります。
スーパーセット法は、主働筋と拮抗筋を交互に行うやり方です。
コンパウンドセット法は、主働筋に対して異なる2種類のトレーニングを行うやり方です。
トライセット法は、主働筋に対して異なる3種類のトレーニングを行うやり方です。
ジャイアントセット法は、主働筋に対して異なるトレーニングを4~7種類を行うやり方です。
サーキット法は、異なるトレーニングを循環式に行うやり方です。
他にもプレエグゾーションやドロップセット法、フォーストレップ法などのバリエーションがいくつもあります。
これらの方法は、筋肥大をより効果的にする為のトレーニング法としてボディビルダーによって考案されたものです。
効果的にトレーニングを行う為に行われていますが、エビデンスで見るとこれらの方法が筋肥大や筋力向上に効果的というわけではないようです。
プレエグゾーションは筋肥大に効果的?
プレエグゾーションとは、事前疲労法のことで単関節エクササイズ後に関係する部位の多関節エクササイズを組み合わせて行うトレーニング法になります。
例えば、膝伸展のレッグエクステンションの後にレッグプレスを行うなどです。
筋肥大を目指すボディビルダーなどに広く用いられている方法でもあります。
では、この方法を行うことで筋肥大をより効果的に行うことができるのでしょうか。
近年発表された事前疲労法に関するレビューによると筋力、筋肥大、体組成の改善に関して事前疲労法が従来のレジスタンストレーニングと比較して有益であるというエビデンスはないと結論づけられているようです。
一方でインクラインダンベルフライ、フロントレイズ、ライイングトライセプスエクステンションを行った後に高強度(95%1RM)のベンチプレス中の大胸筋、三角筋前部、上腕三頭筋の筋活動を筋電図によって調べた研究では、大胸筋と三角筋前部では、事前疲労法の効果は認められませんでしたが、上腕三頭筋のみ筋活動量が増加したことが報告されています。
このことから事前疲労法の効果は部位や選択するトレーニングによって変わってくる可能性があるのかもしれません。
ドロップセット法は筋肥大に効果的?
ドロップセット法とは、限界までレップを行ったら負荷を減らして直ぐに限界まで行う方法です。
この方法もボディビルダーの間で広く用いられています。
ドロップセット法と従来のセット法の筋肥大に対する効果を比較したシステマティックレビューとメタ分析の結果、ドロップセット法はセット法より筋肥大に有意ではないことが示されています。
しかし、ドロップセット法は、セット法より短い時間で行うことができることがメリットであることが示されています。
スーパーセット法、ドロップセット法などは、トレーニング量を維持しながらトレーニング時間を半分くらいにすることができます。
筋肥大や筋力向上を目的としたトレーニングで、ドロップセット法や事前疲労法が優れているとは現時点では言えませんが、トレーニング時間を大幅に減らしてトレーニング量を多くできるので短時間でトレーニング量を多くしたい場合などに利用すると良いかと思います。
近年では、エビデンスが重視される風潮があるように感じますがエビデンスは全てではありません。
小さな研究報告の積み重ねで信頼のあるエビデンスができあがりますし、現時点で正しいとされているエビデンスが覆ることは普通にあります。
トレーニングに関して言えば個人個人で遺伝子が異なるので反応が異なります。
エビデンスは参考程度にして、自分の身体の反応を見て自分に合った方法を見つけていくと良いのではないでしょうか。