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特定の糖類を制限するFODMAPダイエット|過敏性腸症候群などを避ける食事法

FODMAPダイエットとは?

FODMAPダイエットとは、特定の糖類を制限する食事のことでアメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリアなどで人気のダイエット法になります。
FODMAPとは、発酵オリゴ糖、二糖、単糖、ポリオールの英語の頭文字をとったものです。
これらは、消化吸収が難しく、発酵を起こしやすい小さな炭水化物になります。
一部の果物、野菜、豆類、穀物、乳製品などに含まれています。

FODMAPダイエットとは、これらを制限するもので、過敏性腸症候群などの消化器系の問題を持っている人たちの症状を軽減することを目的としたダイエット法になります。
過敏性腸症候群の人は、腹痛、膨満感、ガス溜まり、便秘、下痢などが慢性的に起こりやすい状態なので、それらを起こしやすい食べ物を制限するということになります。

FODMAPは、分解と吸収が難しいので未消化のまま腸に到達することがあります。
慢性的な消化器の問題がある人にとってはここからが問題です。
未消化のFODMAPは小腸に水を引き寄せてしまうので、下痢に繋がってしまいます。
そして、大腸まで到達すると腸内細菌に食べられて発酵していきガスを発生させます。
これは、消化器に問題を抱えていない人では問題はありません。

しかし、アメリカ人の10%程度がこれによって日常生活に支障をきたすほどの腹痛を感じていると言われているようです。
FODMAPダイエットは、完全に禁止する食品があるわけではありませんので、どの食品をどの程度摂取して良いのか、悩んでしまう人が多くいるかと思います。
このようなダイエット法を行う際には、必ず栄養士や医師に相談をするようにしましょう。

FODMAPダイエットのメリットは?

書類を開いている女性

このダイエット法は、2005年にオーストラリアで過敏性腸症候群を持つ人の為に開発されました。
過敏性腸症候群を抱えて生活をしている人たちは、FODMAPを排除すれば解決すると思うかもしれません。
しかし、そうしてしまうと栄養不足になってしまう可能性があるので現実的ではないのです。

また、過敏性腸症候群だからと言って全てのFODMAPを禁止にする必要はありません。

例えば、果糖の消化に問題がある場合、リンゴや梨を食べると症状が出やすいかもしれませんが、オリゴ糖を含む煮豆や乳糖を含む牛乳を飲むのは問題がないかもしれません。
同じ食品でも食べる量や調理の仕方、品種によってもFODMAPの含有量が変わります。
イタリア料理によく使われるプラムトマトは、他の品種のトマトよりも含有量が少ないです。
熟したバナナは若いバナナよりもFODMAPが多く含まれています。

では、どのFODMAPが良いのか、悪いのかを見極めるにはどうすればいいのでしょうか。

FODMAPの見極め方

まず、個人の判断で行うのは危険なので、専門家と一緒に行うことが前提となります。
一般的に3つのフェーズで見極めていくようです。

フェーズ1、排除
2~6週間、全ての高FODMAP食を一時的に排除します。
食品の選び方は非常に複雑で制限も強いので必ず専門家の指示に従うようにしましょう。
この期間で過敏性腸症候群の症状が改善した場合は、FODMAPが原因で症状が出ていた可能性が高いと言えます。
このフェーズでは、食事の制限が厳しいので、身体に良い腸内細菌まで減少してしまう可能性があります。
もし、ここで改善したとしても次のフェーズ2と3も行うことが推奨されています。

フェーズ2、再導入
2~3ヶ月間でFODMAPの耐性テストをしていきます。
通常、3日ごとに量を増やしていきながら1種類ずつ再導入を行っていきます。
食べても症状が出にくい食品と症状が出やすい食品を特定していきます。
ここでは、食事の記録を必ずしていきます。
追加していく食品の順番は定められていません。

ですが、患者自身が問題が起こりにくいと感じている食品からスタートをして、問題が起こるであろうと自覚している食品は最後に試します。

フェーズ3、パーソナライズ
耐性のあるFODMAPの特定ができたら最終フェーズに入ります。
ここでは、必要に応じて症状が緩和する食品を選んで摂取していきます。

フェーズ3まで行けば過敏性腸症候群がなくなるというわけではありません。
FODMAP食品が過敏性腸症候群の症状を悪化させる可能性がありますが、食品自体がその症状を生み出しているわけではないからです。

FODMAPダイエットはあくまで食事管理の方法の一つです。
消化器系の疾患に対する治療法ではありません。
過敏性腸症候群などの治療には、長期的な筋弛緩剤や下剤、下痢剤、抗うつ薬などの服用、または心理療法などが必要になります。

FODMAPダイエットにおいて良い食品と避ける食品の一例

タブレットを見る女性

果物
OK:ブドウ、キウイ、オレンジ、パイナップル、ラズベリー、イチゴ

NG:リンゴ、熟したバナナ、ブラックベリー、いちじく、グレープフルーツ、梨、桃、プラム、スイカ、ドライフルーツ

野菜
OK:パプリカ、ニンジン、インゲン、生姜、レタス、ジャガイモ、ホウレン草、トマト

NG:アスパラガス、キャベツ、カリフラワー、枝豆、ニンニク、キノコ、玉ねぎ

乳製品と卵
OK:ラクトースフリーの乳製品(ラクトースフリーの牛乳、カッテージチーズ、サワークリーム、ヨーグルト)、バター、卵、ハードチーズ(チェダー、ラクレット、ミモレット、パルメザン)

NG:牛乳、クリームチーズ、リコッタチーズ、サワークリーム、ヨーグルト

焼き菓子
OK:グルテンフリーのパン、100%サワードブレッド、玄米トルティーヤ

NG:小麦、ライ麦パン、ベーグル、マフィン、小麦トルティーヤ

飲み物
OK:アーモンドミルク、コーヒー、エスプレッソ、お茶

NG:フルーツジュース、オーツミルク、ソイミルク

肉と魚介類
OK:新鮮な鶏肉、牛肉、ラム肉、魚介類、代替肉

NG:デリミート(ハム、ラサミ、ローストビーフなどの保存料の多い肉類)、大豆粉などで体積を増量した肉製品

穀物、ナッツ、オイル、豆類
OK:オーツ麦、キヌア、米、ひよこ豆、マヨネーズ、採種油、ココナッツオイル、オリーブオイル、ピーナッツ、ピーナッツバター、ピーカンナッツ、クルミ

NG:
缶詰めの豆、大麦、クスクス、小麦パスタ、小麦粉、ニョッキ、カシューナッツ、ピスタチオ、ハチミツ、アガベシロップ

FODMAPダイエットは必要なのか

考える女性

過敏性腸症候群の診断には、ローマ基準という判断基準が用いられます。
他の消化器系の疾患が除外される場合に一定期間にわたって特定の症状が継続することを基に診断されます。

例えば、3ヶ月以上にわたり週1回以上の腹痛や腹部の不快感があり、便の形状の変化や排便時の痛み、排便回数の変化などの症状を見ることになります。
手掛かりの一つとしては、豆や玉ねぎ、にんにく、小麦などを摂取した後にガスが溜まっている感覚がる、膨満感がある、下痢をするなどです。
または、プロテインパウダー(甘みをつけられたもの)を摂取した後にガス溜まりを感じる場合です。
通常は、食品摂取後2~8時間後に症状が出ることが多いです。
慢性的に過敏性腸症候群のような症状がある場合は、胃腸の専門医に相談をしてみると良いかと思います。

FODMAPダイエットは日本では認知度が低いかと思いますが、過敏性腸症候群や消化器系の不調に悩んでいる人たちの中では注目をされ始めているようです。
伝統的な日本食は、元々低FODMAP食品が多く含まれているので日本人の食生活に取り入れやすいです。

しかし、日本特有の味噌や醤油などの発酵食品のFODMAPに関する情報はまだ調査が豊富ではありません。
今後の研究に期待されます。