健康情報館

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糖尿病の真犯人は脂質

インスリン抵抗性は脂肪細胞の貯蔵が限界になると生じる、脂肪の貯蔵力で血糖値は決まる!?

脂肪細胞が満杯になるとインスリンが働けない

私たちが摂取したエネルギーが余ったら体脂肪として蓄えられていきます。
糖質、脂質、タンパク質の三大栄養素は、どれも体脂肪になります。
インスリン抵抗性はタンパク質、糖質、脂質の三大栄養素のどれでも生じる

脂肪を貯蔵できるのは、皮下や腸を固定する腸間膜と言う膜、筋肉細胞の間にある脂肪細胞です。
お腹をぽっこりさせ典型的な肥満体型を招く内臓脂肪は、主に腸間膜に蓄積した脂肪のことを言います。
それぞれの脂肪の大きさは、標準的な大人の場合、直径70~90μgとされています。
貯蔵する脂肪が増えると膨らんできますが、それでも直径で1.3倍程度(体積で2倍程度)が限界とされています。

脂肪細胞は脂肪を貯蔵できる空きスペースがある時は、アディポネクチンと言うホルモンを出し脂肪を合成して貯蔵するように促します。

アディポネクチンは、貯蔵の空きスペースを知らせる情報発信をしています。
一般的にアディポネクチンは、内臓脂肪が増えると分泌量が減っていきます。

つまり、皮下脂肪に蓄えられないほど脂肪が溢れ、内臓の貯蔵庫まで使わざるをえなくなると、脂肪の貯蔵庫は限界近くになりますが、貯蔵庫の空きスペースの情報の発信を控えることになります。
すると今度は、別のいくつかのホルモンが身体に脂肪が満杯状態であることを知らせるようになります。

例えば、レプチンと言うホルモンは脳に働きかけ食欲を抑えようとします。
ブドウ糖を細胞に取り込み脂肪の合成を促進するのはインスリンです。
脂肪細胞が満杯でアディポネクチンが出ていない状態だとインスリンは本来の働きをすることができなくなってしまいます。
その結果、インスリン抵抗性を生じてしまい糖尿病の発症に繋がってしまいます。

頭を抱えて落ち込む女性

脂肪細胞の数はあまり増えない

もし脂肪細胞が増えていけば、空きスペースが増えるので再び脂肪の合成が促進されて貯蔵をすることができるはずです。
肥満がどんどん進むかもしれませんが、インスリン抵抗性は生じないかもしれません。

実際に試験管内で脂肪細胞を培養すると、元の細胞から子細胞ができたり、分裂が起きて数が増えたりすることが確認されています。
しかし、これはあくまでも試験管内でのことで、体内ではこの分裂に限界があるようです。
もしくは分裂速度が遅いので、脂肪細胞はむやみに増殖することができるわけではありません。

脂肪細胞を貯蔵庫に例える総貯蔵量を増やしたければ、倉庫の数を増やせばいいですが、それが難しいのであれば倉庫自体を大きくしないといけません。
ですが、元の直径の1.3倍程度にしか脂肪細胞は広がらないとすると、どうしてもインスリン抵抗性が生じてしまいます。
一般的に肥満は、糖尿病のリスクの一つとされているのがこの為なのです。

脂肪を脂肪細胞と言う貯蔵庫にたくさん溜め込んでいるので、インスリン抵抗性が起きやすい状態になっています。

BMI28以下では糖尿病の発症リスクにならない

お七周りを測る女性

日本人では必ずしもこの一般論が当てはまるとは限りません。
茨城県民を大規模に追跡した研究があります。

この研究では、6万人以上の県民を5.5年にわたって調べたところ、7.2%の人が糖尿病を発症しました。
そこで参加者のBMIを25未満、25~30未満、BMI30以上の3つに分け糖尿病発症率が高いかを調べました。

日本肥満学会では、BMI18.5~25未満を普通体重、25以上を肥満としています。
肥満が糖尿病のリスクとするなら、BMI25以上の発症率が高いことになります。
ところが、男性ではBMIと糖尿病の発症率には有意な差がなく関係がありませんでした。
女性では、肥満とされるBMI25~30未満は、BMI25未満との有意な差はありませんでしたが、BMI30以上になると発症率が明らかに高くなりました。
しかし、日本人女性のうちBMI30以上の人がどれだけいるのでしょうか。

日本の成人女性の平均身長は約155cmです。
この身長なら体重が73kg以上でBMI30以上になりますが、これは全体の0.3%未満の人しか当てはまりません
体重が61kgあればBMIは25を超え日本肥満学会の基準では肥満と言うレッテルを張られてしまいます、
この程度の肥満でしたらたくさんいるのではないでしょうか。

国民健康・栄養調査では、成人女性の5人に1人とかなりの割合で肥満とされているようです。
ところが世界保健機関WHOをはじめ、米国や英国をはじめとするヨーロッパ各国では、BMi30以上を肥満としていて日本の基準とは異なります。

健康診断などで肥満と判定されると気にする人も多いかと思いますが、それだけで糖尿病のリスクが高くなったと考える必要はないでしょう。
肥満と糖尿病の発症リスクは、明らかな関係があるとは言えません。
これは反対にやせていても糖尿病を発症するリスクがあると言うことでもあります。

脂肪の貯蔵を増やすには中身を減らすしかない

引き締まった女性の身体

インスリン抵抗性は、脂肪細胞にどのくらいの脂肪が溜められるのかが重要と考えられます。

インスリンが血液中のブドウ糖を脂肪に変えて取り込もうとしても脂肪細胞に空きスペースがないと働きようがありません。

脂肪細胞は、胎児期や乳幼児期に分裂をして増えますが、思春期以降は増えてもわずかです。

脂肪細胞は、脂肪を蓄積するにつれて肥大して大きくなっていきますが、それにも限界があります。

脂肪細胞の容量を大きくすることができないとすれば、インスリン抵抗性が生じないようにするには師部細胞の空きスペースを作るしかありません。
脂肪の貯蔵量を増やすには、中身を減らすしかないと言えます。

参考書籍⇒糖尿病は、体にいいはずの油が原因だった