糖尿病急増は世界的研究結果の解釈ミス「動物性=悪」「植物性=善」が浸透
大規模な研究結果の大きな過ち
日本では、昔と比べて糖質摂取量は減っているのに糖尿病が急激に増えています。
それに伴い脂質の摂取量が増えています。
その裏で日本人の植物油脂の摂取量も増えています。
⇒糖尿病の原因は脂質かもしれない、特定保健指導で糖尿病は悪化
農林水産省「食糧需給表」で示されている一人当たりの油脂供給量を手掛かりにしてみると、植物油脂の摂取は1960年代から増え始めて半世紀に渡って増加の一途を辿っています。
この背景には、コレステロール仮説があるのでしょう。
当時、日本を含む7カ国が共同で取り組んだ研究があります。
それによって「コレステロール値が高いと動脈硬化の原因となり、心臓病のリスクが高くなる」と結論付けられました。
ですが、大規模に行われたこの研究には致命的なミスがありました。
一部の国では、家族性高コレステロール血症の患者も対象になっていたのです。
この病気は、親から特別な遺伝子を受け継いで心臓病の発症率が高くなってしまいます。
それにも関わらずそれが配慮されなかったので結論を間違ってしまったのです。
そして、現在ではこの結論に合わない多くの国・地域の研究結果が無視されたことも暴露されています。
しかし、当時この結論は世界中の医療を席巻しました。
それどころかWHOをはじめ多くの医学会・医師・研究者は、未だにこの結論を信仰し医療のよりどころにしています。
科学的根拠が乏しいにも関わらず正しいとしていると言うことです。
信仰によって医療をしているのでは、たまったものではありません。
統計が出ているわけではありませんが、相当数の犠牲者が出ているのではないでしょうか。
間違った解釈「動物性=悪」「植物性=善」が国民に浸透
この研究は「悪玉コレステロール値を下げるには、コレステロールが多い食品と動物性脂肪の摂取を減らし、植物性脂質、リノール酸の多い油を増やすと良い」と言う二つの誤りを発表しました。
これに国民が巻き込まれました。
食事・栄養指導をする立場にある人たちから「卵は1日1個まで」「肉は脂身より赤身」「バターよりマーガリン」「野菜はサラダか炒め物」と繰り返し聞かされた結果、日本食が大きく変わり植物性油脂の摂取量が増えました。それに伴い糖尿病が増えたと言えるのです。
臨床栄養学会の人たちは、未だに油は大さじ1杯の指導をやめようとしません。
植物油脂は、リノール酸(不飽和脂肪酸)と呼ばれる脂肪酸が多いのでもてはやされましたが、動物性脂肪は、飽和脂肪酸が多いので嫌われました。
実際に栄養士として食事指導をしている方のお話によると、リノール酸を増やして飽和脂肪酸を減らすと言う指導をされているようです。
この食事指導を長期に渡って守るとむしろ心臓病やがん死亡率が高かくなってしまいます。
脂質栄養の新しい知識が行き渡っていないようですが、国の栄養指導が脂質栄養に関して完全に間違っているからでしょう。
カノーラ油の摂取が多いカナダは糖尿病発症率が高い
久山町、そして全国での糖尿病の急増と植物油脂の摂取増との関係は明らかと言えます。
では海外の状況はどうなのでしょうか。
カナダにおける摂取栄養素の年次変化を調べた研究によると飽和脂肪酸の摂取量はほとんど増えていませんが、不飽和脂肪酸が著しく増えています。
これは1960年代以降の日本と同じく、動物性脂肪の摂取量を減らして植物油脂の摂取量を増やしたのではないかと推測することができます。
カナダは、日本でも店頭の売り場を占めているカノーラ油のお膝元です。
従来、菜種油は毒性が強いので食用にできなく灯火に使われていました。
1978年にカナダ、欧州の研究者たちが有害物質を大幅に減らした新品種の開発に成功しました。
国名にちなんでカノーラと言う品種名がつけられました。
日本では、商品名にキャノーラとつけて出回っている商品が多くあります。
農林水産省が発表している統計によると、カナダでは菜種と菜種油の輸出が全農産物輸出の20%を占めているようです。
カナダでの国内消費が多いことも推測することができます。
事実、植物油脂/動物性脂肪の摂取比0.80と世界で見ても高水準です。
日本では、さらに高く1.1になっています。
「植物油を増やそう」の奨励・実行が徹底され動物性脂肪より植物油脂を多く摂ってきた結果かと思います。
カナダでは特にカノーラ油に水素を添加し多く摂取しているのでトランス脂肪酸の摂取量が多いことが知られています。
また、イギリスでは植物油脂の実情はつかめていないのですが、植物油脂/動物性脂肪の摂取比は0.56しかありません。
動物性脂肪の摂取が多くなっています。
植物油脂/動物性脂肪の摂取比は、脂質栄養学で言うP/Sをあてはめました。
P/S比とは、植物油脂に多い不飽和脂肪酸のなかでも多価不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸の比率です。
かつてリノール酸を増やすとコレステロール値が下げられると言う説が広まった時代には、多く摂る方が良いとされていました。
ですが、今ではそれは誤りであると言うことが分かり、さらにはリノール酸が糖尿病をはじめとする健康被害をもたらすことが分かっています。
日本脂質栄養学会では、摂取量をなるべく低くするように勧めています。
動物性=悪、植物性=善と言うわけでは決してないのです。
参考書籍⇒糖尿病は、体にいいはずの油が原因だった