糖尿病の原因は脂質かもしれない、特定保健指導で糖尿病は悪化

常温で油は液体、脂は固体

今では糖尿病は国民病となっていますが、日本において糖質摂取量は、昔と比べて減っています。
この事実があるので糖尿病患者が急増した原因を糖質の摂取が増加したからと言うのは無理があるのではないでしょうか。

糖質の摂取量は減っているのに糖尿病は急増している

1960年~2010年の50年間に脂質の摂取量が増加したと言う事実があります。
戦後が残っていた1950年代には、ほとんど変動がなかった脂質の摂取量が1960年頃を境に増えています。
糖尿病は、それよりも約10年遅れて1970年頃から増加し始め1980年頃から急激に増えていきました。

脂質とは、水に溶けない物質の総称です。
いくつかの物質がありますが、主に油脂と捉えて問題はないかと思います。
一般にサラダ油のように常温で液体の脂質を油、バターや肉の脂質のような常温で固体の脂質を脂と呼んでいます。
この二つを合わせて油脂になります。

油脂には、動物性と植物性があります。
大豆油、オリーブオイルなど常温で液体の油は植物性が多いです。
バターや肉の脂肪、ラードのように常温で固体の脂は動物性が多いです。
しかし、最近ではパーム油、ココナッツオイルのように植物性の脂も広く使われるようになっています。
そして、魚油は動物性ですが油です。

糖尿病が多い久山町では植物性脂質の摂取が多い

揚げ物を食べている女性

町ぐるみで健康増進に取り組んだにも関わらず、糖尿病者が全国平均を超え増えてしまった福岡県・久山町では栄養摂取の状況は全国平均と比べてどうだったのでしょうか。

1988年の久山町で60歳以上の人の栄養摂取状況を調べて、その人たちが10年後の1998年70歳以上になった時に摂取量がどのように変わったかを調べた研究があります。

また、全国平均では同じ年齢集団について厚生労働省「国民栄養調査」2000年版があります。
そして、久山町70歳以上1998年のデータと全国70歳以上の2000年のデータを比較してみると脂質摂取の差があります。
どちらも脂質全体の摂取状況と動物性脂質の摂取状況しか記されていません。
なので全体から動物性を差し引いて植物性脂質を算出します。
この種の栄養調査は国の分類に従うので動物性脂質には魚油も含まれています。

生物上の分類では、魚も貝も動物に入るので正しいと言えますが、脂質栄養学では不適切な分類になります。
バターやラードのような動物性脂質と魚油とでは、脂肪酸の構成が異なり栄養効果も全く違います。
とは言ってもこの分類のおかげで植物性脂質の摂取状況を簡単に推測することができます。

久山町での栄養摂取と全国平均との違いを整理してみましょう。
()内は、全国平均に対する1998~2000年における久山町の比です。

久山町が全国平均より少なかったもの
総エネルギー(0.90)
脂質エネルギー%(0.96)
タンパク質エネルギー%(0.85)うち動物性タンパク質の割合(0.75)

久山町が全国平均より多かったもの
脂質エネルギー%(1.17)うち植物性脂質の割合(1.36)

大きな違いとして久山町では、脂質エネルギー、特に植物性脂質の摂取量が全国平均に比べて大幅に多いことが指摘できます。
このことは、同じグループによる別の論文に記載されているデータからも確認することができます。
このことから久山町で糖尿病が全国平均よりも多くなった原因は、植物性脂質の摂取量が多かったと関連付けることができるのではないでしょうか。

摂取脂質の動物性と植物性の割合は、全国平均ではほぼ1:1ですが、久山町では1:2になっていると言うことです。
糖尿病の真犯人は、糖質ではなくて植物性脂質なのかもしれないのです。

糖尿病学会や国の特定保健指導で糖尿病が悪化

メディカル

積極的な生活習慣指導をした結果、むしろ糖尿病が増えたのは久山町だけでも実はありません。

2008年4月から健康保険や国民健康保険などの公的医療保険に加入している人を対象に、いわゆる生活習慣病のリスクを調べる特定健康診査(メタボ健診)が行われるようになりました。
この健診を受けた人は、食事や運動などの生活習慣について特定保健指導を受けられるようになっています。
加入している保険者から通知を受け取ったり実際に健診・指導を受けたりしたことがある人も多いのではないでしょうか。

そして、制度開始直後の2008年~2011年にこの特定保健指導を受けた人と受けなかった人を4年間追跡した研究が発表されています。(特定保健指導の効果、日本公衆衛生雑誌2015)

特定保健指導受講者と非受講者を比較すると受講によって1年後のHbA1c値、また1~3年後の肥満に関わる指標(BMI、腹囲)は改善されたのですが、4年後のHbA1c値は悪化していました。
受講者は非受講者よりも2.49倍もHbA1c値が悪化したのです。

現場で指導をしていたのは、管理栄養士や保健師の方たちですが、その指導内容は国(厚生労働省)の指針になります。
国が先導する保健指導が明らかに誤っているので、糖尿病指標の一つであるHbA1c値が上がってしまったと言うことではないでしょうか。

なぜ国の健康指導がこんな結果になってしまったのでしょうか。
医学の教科書や主要な学会による糖尿病予防ガイドラインは、基本的に脂質をエネルギー源としか扱っていません。
どんな脂質を摂るかなどについては言及されていないようです。

このことからも糖尿病を悪化させたのは脂質ではないかと考えることができます。

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