糖尿病はリノール酸によって発症リスク上昇、インスリン抵抗性が生じる

リノール酸は身体が積極的に溜め込もうとする

私たちが摂取する植物油脂の大半がリノール酸を多く含んだものです。
紅花油、グレープシード油、ヒマワリ油、綿実油、コーン油、大豆油、ゴマ油、米油など、これらの油では、それぞれを構成する脂肪酸の中でもっとも多いのがリノール酸です。
2種類以上の植物油脂を調合して作られるサラダ油も同じです。

リノール酸は、柔らかさではオレイン酸とαリノレン酸の間で、αリノレン酸よりも熱・エネルギーとして消えにくいかもしれませんが、オレイン酸よりも蓄積される度合いが少ないのではないかと推測されています。
ところが、この脂肪酸は身体にとって必須脂肪酸であり、リノール酸がないと成長や生殖を営むことができなくなってしまいます。
なので身体はこの必須脂肪酸であるリノール酸を体内に蓄積しようとする機構が働き溜め込もうとするようです。

リノール酸が多い紅花油をラットに24日間与えた研究があります。
この研究では、糖質が摂取エネルギーの約7割のエサ脂質は約1割を与えた高糖質食ラットと脂質が約6割のエサ糖質は約2割を与えた高脂肪食ラットで、蓄積脂肪量や糖尿病指標がどう変化したのか調べています。
タンパク質は、どちらも約2割、脂質源として紅花油が使われました。
するとどちらも体重に差はなかったのですが、脂肪の量(内臓は除く)は高脂肪食ラットの方が多くなりました。

そして、空腹時のインスリン値と血糖値に差はでませんでした。
ですが、インスリンとブドウ糖の量を一定に保つ条件、クランプ時には、高糖質食ラットの方が糖の注入量が多かったのです。

つまり、糖質を多く摂っているラットよりもリノール酸を多く摂っている高脂肪食ラットの方が糖の処理がスムーズにできないことが分かったのです。

ラットでの研究が人間にすぐ当てはまるわけではありませんが、この研究結果からリノール酸の摂取量が多いとインスリン抵抗性が生じると言えるのかもしれません。

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リノール酸を摂っていると糖尿病が改善されない

食用油

日本では、紅花油24日間与えた研究と同様、エネルギーの約6割を脂質とするエサを糖尿病モデルのラットに19週間与え、糖尿病指標に及ぼす影響を調べた研究があります。
次の油脂をエサに使用して、それぞれの油脂が糖尿病にどれだけの影響を与えるのかを見ました。

・リノール酸が多いもの
大豆油、紅花油

・飽和脂肪酸が多いもの
パーム油、ラード

・オレイン酸が多いもの
カノーラ油

・オメガ3群が多いもの
シソ油、エゴマ油、魚油

結果を統計的に解析したところ、リノール酸の摂取量と血糖値の間には、正の相関関係があることが分かりました。
つまり、リノール酸の摂取量が多いと血糖値も高くなると言うことです。
例えば、糖負荷30分後の血糖値では、紅花油群が最も高かったのです。

この実験も先ほどの実験もリノール酸と糖尿病と関係があるどころか、リノール酸は糖尿病に好ましくない脂肪酸だと言うことを明らかにしていると言えます。

一般的なイメージとして、高リノール酸植物油と言えば、健康に良いイメージがあるかと思いますが、むしろその逆でありとても危険なものと言えそうです。

食事療法や血糖降下剤で血糖値をコントロールしているとしても、食事でリノール酸の多い植物油を摂っていると糖尿病は一向に改善に向かわないのかもしれません。
このことからリノール酸は、なるべく控えた方が良いと考えることができます。

リノール酸の摂取量が多いと子供が肥満になりやすい

オイル

リノール酸を多く摂取している母親から生まれてくる子供は、肥満になりやすい傾向があります。
肥満とは、身体に過度な脂肪が蓄積している状態のことで、脂肪細胞の数×蓄積脂肪量の大小によって測れると言えます。

脂肪細胞内の蓄積脂肪が多く、脂肪細胞が肥大していても数が少ないと脂肪を多く蓄積させることはできません。
反対に細胞内の蓄積脂肪は少なくても、それをため込む細胞の数が多ければ肥満に近づいていると言うことになります。

リノール酸は代謝の過程でγリノレン酸を経てアラキドン酸と言う脂肪酸に変化しますが、そのアラキドン酸が数種類のホルモン様物質に変化します。
その一つであるプロスタグランジンI2は、脂肪細胞の受容体に結合し分裂を促します。
その為、母親がリノール酸を多く摂り胎児期にこの物質が多く作られる状況にあると、子供の脂肪細胞の数が増えていくことになります。

脂肪細胞の数は、胎児期や乳幼児期に盛んに分裂をした後、成熟期にはほとんど増えることはありません。
本人の生活習慣の影響を受けない代わりに、むしろリノール酸摂取の状況が大きく関係していると言えます。

マウスを使った実験では、リノール酸の多いコーン油を15%含むエサ、うち5%をシソ油・エゴマ油(リノール酸が少なく、αリノレン酸が多い)に置き換えたエサ、そして7%の油脂しか含まない標準食を与え、子供の体重と内臓脂肪量が比較されました。
するとコーン油を食べた親の子供が最も体重が多く、内臓脂肪量も多かったのです。

そして、成長に従って摂取エネルギーが過剰になると脂肪が溜まり、脂肪細胞のサイズがだんだんと大きくなっていきます。
身体は脂肪を何とかして溜め込もうとするようですが、それにも限界があるので一定の大きさにはならないようです。
これがインスリン抵抗性を生じさせる重要な因子の一つになります。

体格指数であるBMIが25以上を肥満としている日本では、肥満は糖尿病の発症リスクにはなりません。
脂肪細胞の数が増えれば、世界基準BMIである30に到達して糖尿病の発症リスクが高まります。

ですが、これらはマウスでの実験です。
人間でこのような詳細な実験をすることはできませんが、一般的には人間もマウスも基本的な身体の反応に大差はないと考えられています。
マウスで起こったことは、人間にも同じように起る可能性は高いと考えらえます。

糖尿病者はリノール酸を代謝させる酵素が活性化

化学変化イメージ

脂肪細胞で脂肪が蓄積される際、あるいは脂肪が血液中を運ばれる際、リン脂質と言う膜に囲まれています。
リン脂質は、細胞の外側を覆う細胞膜だけでなく、細胞内の小器官を囲むあらゆる膜の主成分です。
リン脂質がどんな脂肪酸で構成されているのかで糖尿病発症率が高くなるのか調べた研究があります。

この研究では、血漿リン脂質にリノール酸が多いと糖尿病発症率が下がるのに対して、リノール酸が代謝してできるジホモγリノレン酸が多いと発症リスクが高まることが分かりました。

リノール酸を多く摂取したことが一因で糖尿病が発症したとしても、血液中のリン脂質の中ではこの脂肪酸のレベルが低いのが糖尿病者の特徴です。
そして、リノール酸から作られるジホモγリノレン酸のレベルが高いのです。

と言うことは糖尿病者では、リノール酸からジホモγリノレン酸に変化させる酵素が活性化していると考えることができます。

体内では、リノール酸はγリノレン酸⇒ジホモγリノレン酸⇒アラキドン酸と変化をします。
ところが、リン脂質でのアラキドン酸のレベルは、糖尿病者も決して高くはありません。

糖尿病者では、リノール酸⇒ジホモγリノレン酸の変化をもたらす酵素の活性は高くても、その先のジホモγリノレン酸⇒アラキドン酸に変化させる酵素はあまり働いていないことになります。
実際にそのような数値も測定をされています。

では、なぜ血液中のジホモγリノレン酸が多いと糖尿病のリスクが高まるのでしょうか。

まだ、詳しくは分かっていませんがこの脂肪酸のレベルが糖尿病の指標となりうることを知っておくべきかと思います。
脂肪酸の中では蓄積しやすい飽和脂肪酸やオレイン酸の他にリノール酸の摂取過剰が糖尿病を発症させる犯人と言えます。

糖尿病のリスクを減らすには、リノール酸を多く含む植物油脂は極力減らした方が良いでしょう。
動脈硬化性の心臓病や脳卒中もリノール酸の過剰摂取が危険因子になっています。
ただし、植物油脂の危険性はリノール酸が多いか少ないかだけでは説明がつくわけでもありません
植物油脂に含まれる脂肪酸以外の微量成分が糖尿病を発症させている可能性もあります。

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