万能なトレーニングは生理学的に見ても存在しない!特異性の原則を理解しよう
1つのトレーニングでは1つの効果しかない
トレーニングの教科書には、昔から特異性の原則と言うものが書いてあります。
特異性の原則とは、あるトレーニングをした場合、そのトレーニングに対しての効果しか出ないと言うことです。
トレーニングの刺激には、特異性があると言う原則になります。
筋持久力を高めるトレーニングをすれば筋持久力は高まりますが、筋力やパワーは高まりません。
反対に筋力やパワーのトレーニングをすれば、筋持久力の向上は期待しない方が良いと言うことです。
トレーニング効果は、トレーニングの内容に強く依存をするのです。
ですが、こうした特異性の原則の打破を期待する声は、いつの時代にもあります。
筋力もパワーもついて、筋持久力もつく、そんな万能なトレーニングが存在するのではないのか。
しかし、こうした万能なトレーニングは、生理学的に見ても考えにくいことです。
例えば、スプリント能力と全身持久力と言うのは、両極端な能力になります。
オリンピックのスプリンターが、マラソンでトップの成績を出すことはできません。
逆に、マラソンランナーが100mを全力で走っても一般の人よりも速いかもしれませんが、トップレベルには遠く及びません。
全身の生理機能を全てトップレベルに持っていくことは非常に困難なのです。
スプリント能力と全身持久力は、トレードオフの関係と言っても良いでしょう。
⇒1つのトレーニングで期待していいのは1つの効果だけ、目的・目標を具体的に設定しよう
万能なトレーニングは存在しない
生理学的に見てもこの世に万能なトレーニングは存在しません。
ですので特異性の原則を理解することは非常に重要です。
最近では、新しいトレーニング法や筋力トレーニングのやり方が考案されると、直ぐにマスコミにもてはやされて、その他のトレーニングは無駄だと言うようなムードになってしまうことがよくあります。
そして、なぜかそれが特殊なトレーニングになれば、なるほどその傾向が強くなり、マスコミがこれだけやっていればOKと言うように宣伝するケースも少なくありません。
多くの人は、マスコミに弱く簡単にマスコミに流されてしまうのです。
コアトレーニングは、その典型と言えるでしょう。
これは注意しないといけない問題です。
人間は、これさえやればOKと言うのに弱いです。
あれもこれもやらないといけないとなってしまうより、1つのもので大丈夫と言われると安心してしまう心理は理解できます。
ですが、残念ながら万能なトレーニングは存在しません。
そのトレーニングに見合った効果しか出ないのです。
トレーニングの優先順位は、ありますがこの世に万能なトレーニング法などは存在しないと言うことをしっかりと理解をしておきましょう。
トレーニングの中には、一見いくつかの効果がありそうなものがあります。
例えば、筋力もつくけど筋持久力もそれなりにつくもの、あるいは筋持久力がつきながら、筋力もそれなりにつくもの。
具体的には、サーキットトレーニングで少し筋力へシフトすれば筋力がそれなりについて、筋持久力や全身持久力もそれなりに向上すると言う効果も期待できます。
やり方によっては、このような複合的な効果を得ることもできますが、実際に筋力への効果は専門的な筋力トレーニングに比べてかなり落ちてしまいます。
持久力においても専門的なトレーニングよりもかなり落ちてしまいます。
つまり、広い範囲での効果を得ようとするトレーニングは、個々の能力に対するトレーニング効果は低くなるのです。
目的に合ったトレーニングを選ぼう
この世に万能なトレーニングは存在しませんので、常に何に重点を置いてトレーニングをするかと言うことが重要となります。
この世には様々なトレーニング法が無数に存在すると言って良いでしょう。
では、一体何をすれば良いのでしょうか。
トレーニングの中で何が良くて何が悪いかと言うことはありません。
それよりもトレーニングを行う本人が、今の自分には何が必要か、どのトレーニングを行うべきか、それを考えることがとても重要です。
それぞれのトレーニングの特徴を知り、自分の目的との兼ね合いで的確にメニューを決めていくことがパフォーマンスを高めることに繋がります。
どんなトレーニングをすれば良いのか、まずは自分の競技に合っているかどうか、自分自身の長所を伸ばし、短所を補うものになっているかどうか、と言ったことを基準に考えれば良いと思います。
ただ、適切なメニューであるかどうかは、年代によっても変わってくるかと思います。
特に筋力トレーニングの場合、成長期が終わるまでは、あまり激しいものは避けるほうが無難でしょう。
これは身長が伸びないとかではなく、怪我のリスクが高くなってしまうからです。
筋力トレーニングで身長が伸びなくなると言うことはありません。
目的に合わないトレーニングをむやみに取り入れる必要はありません。
また、色々なトレーニングをあれこれと試す必要もないです。
あれこれやれば良いと言うわけではありません。
ただ、たくさんの知識を持っていれば色々なケースに対応をできるので、ある程度の勉強をしておいた方が結果的に良い効果を得られる可能性は高くなると言えます。
いくつかのトレーニングを行うにしても1つのトレーニングを一定期間はしっかりと続けることが大切です。
1つのトレーニングが中途半端に終わってしまうと、せっかくの努力が水の泡となってしまうからです。
新しいことを常に学ぶことは大切ですが、信念をもって継続することを重視してトレーニングを行っていきましょう。