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トレーニング・フィットネス

筋力が動作スピードを高める!力とスピードの関係、大きな加速度を与えるのは力

「力」「エネルギー」「パワー」とは?

エネルギーと力と言う単語は、世間では混同されているケースが多いかと思います。
例えば、背筋力計を思いきり引いている時、顔を真っ赤にしてブルブルと震えているとエネルギーを使っていると誤解されがちです。
これは力を出しているけどエネルギーを発揮していることとは異なります。

筋肉が発揮する力学的エネルギーとは、「ある力をどのくらいの距離にわたって作用させたか」と言うことになります。
物理用語では、これを「仕事」と呼びます。

仕事を求める式は、力(F)×距離(X)です。

物を持つ場合、ただ支えているだけでは仕事になりません。
質量×重力加速度と言う力を距離だけ持ち上げることで初めてその積であるエネルギーを筋肉は発揮した、あるいは消費したと言うことになります。

力には、目に見えないものも含まれています。
背筋力計のように筋肉が力を出していても物が動かないと言うことがあります。

一方で力学的エネルギーを発揮するには、外から見ても分かる動きをしていないといけません。
この理屈を踏まえておかないと、筋肉が収縮したり筋力トレーニングを行ったりした時にどのようにエネルギーを使うかと言うことを見誤ってしまいます。

筋肉が大きな力を出すと言うことと、大きなエネルギーを発揮すると言うことは、別の物として考える必要があります。

次に、パワーと言う言葉についてです。
パワーとは、自動車のエンジンの馬力と同じです。
一定の時間に筋肉が発揮する力学的エネルギーのことです。
一瞬で強い力を求められるスポーツでは、これが非常に重要になります。

パワーは、力×動いた距離を時間微分したもの、つまり時間当たりの距離です。
距離を時間微分したものは速度になります。

筋肉が一定の力を発揮している場合には、力×速度=パワーと言う計算になります。

力と加速度、大きな加速度を与えられる筋肉が必要

筋肉を鍛える男性

物を動かす時何が必要になるのでしょうか。

筋肉が動かそうとする負荷は、最初は止まっています。
全ての運動は速度ゼロからスタートすることになるので、ある一定の速度まで物を動かす時には、どうしても徐々に速度を高めていかなければいけません。
ここで登場するのはが、加速度です。

力(F)=質量(M)×加速度(a)、これはニュートン力学の第二法則にあたる式です。

質量が変わらないとすると、加速度×時間=速度なので加速度が大きければ大きいほど、ある一定の時間に物体に対して大きな速度を与えられることになります。
なので大きな速度が必要なスポーツパフォーマンスでは、大きな加速度が大事と言うことになります。

例えば、ボールを投げる場合、ボールが持つ質量に対してどれだけ大きな加速度を与えられるかが重要です。
しかも野球などの場合は、投げる範囲も制限されているので、数メートル走ってから投げると言うわけにはきません。
限られた動作の中で加速をつけないといけません。
また、ある限られた時間の中で加速をしていかないといけないスポーツもあることでしょう。

0コンマ何秒と言う一瞬の間に大きな加速度をかける為には、大きな加速度を与えられるだけの筋肉の能力が要求されます。

そして、力=質量×加速度と言う式から考えると、ある一定の質量に対して大きな加速度を与える為には加速度に比例した大きな力が必要になると言うことになります。

筋力(力)がスピードを生み出す

ダッシュ

スポーツの現場では、力とスピードは無関係と言われていた時代もありました。
筋力を鍛えることで力を大きくしてもスピードはつかないと考えられていたのです。
現代でもそれに近い思想を持っている指導者がいるかもしれません。

物理学的に考えれば、力とスピードが無関係と言うことはありえません。
力とスピードが無関係と言う表現は正しくないのです。

筋肉が与える力と物体の速度との間には厳密な関係があります。
スピードを出すにはその分、力が必要になります。
スポーツパフォーマンスを高めたいならこれは頭に入れておかないといけません。

どんなスポーツでも動きながら高いパフォーマンスを発揮することが求められます。
最終的には、動作のスピードが重要になってきます。

速く動ける選手は高い能力を発揮しやすいと言えますし、ジャンプ力も地面を離れる瞬間のスピードが重要な意味を持っています。

高く跳ぶ為に体重を軽くすると言う考えもあると思いますが、実は単純に高く跳べるかどうかを決定するのは離地速度になります。
体重は関係なく、太った人でもやせた人でも地面を離れるスピードが同じであればジャンプの高さも同じになります。
ジャンプ力も地面を離れる瞬間のスピードが重要な意味を持っています。

現場の指導者、アスリートの人たちはこの基本的な理論をしっかりと認識しておく必要があるでしょう。