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ヘルス&フィットネス~日々の健康・身体作りに役立つ知っておきたいこと~

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トレーニング・フィットネス

両側性トレーニングで左右の筋力バランスが整う、両側性のバイラテラルと一側性のユニラテラル

左側の筋力+右側の筋力=両側の筋力ではない

筋力トレーニングには、様々な種目があり色々な種類があります。
大きく分けると両手・両脚で同時に行うトレーニングと片手・片脚ずつ交互に行うトレーニングがあります。
両手・両脚で行うトレーニングをバイラテラルトレーニング、片手・片脚ずつ行うトレーニングをユニラテラルトレーニングと言います。
基本的な種目で言うとバーベルを使って行うトレーニングがバイラテラルです。
ダンベルの場合は、バイラテラルとユニラテラルの両方が可能になります。

トレーニングをする場合、これらの特徴をしっかりと理解して使い分けることが大切です。
まず知っておかないといけないのは、両側性の筋力発揮をする時は、片側ずつ筋力発揮をした時の足し算よりも合計が小さくなってしまうと言う生理学的な現象があります。

左側の筋力+右側の筋力=両側の筋力にはならないと言うことです。

これを専門的な言葉で言うと両側性欠損(バイラテラルディフィシット)と言います。

例えば、左右の手で握力を測定し、それぞれ30kgだったとします。
それなら両手で同時に握力を測定すると60kgと言う数値になるのではないかと思うはずです。
ですが、実際に左右同時で筋力を発揮するとそうはなりません。
実際には、左右の合計の90%程度の筋力になってしまいます。

つまり、左右それぞれが30kgを切る値になってしまうと言うことになります。
これは筋力だけでなく、パワーも同じことが言えます。

なぜこのようなことが起こるのでしょうか。

両側性欠損の原因は、はっきりと分かっていませんが、おそらく脳の中の問題だと考えられています。
両側を使って動作を行うことは、それだけ脳の広い領域を使わないといけないので、脳にとってある種の負担になっているのではないかと思われます。

もう一つの推論は、片側を欠損させた方が何かと身体に都合が良いのではないかと言うものです。
完全に左右対称と言う状態は身体としてあり得ません。

多くの人が左右対称の方が良いのではないかと思いがちかもしれませんが、心臓は身体の中心よりも左側にありますし肝臓は右側に寄っています。
身体の作りそのものが、対象ではなく元々非対称です。
両側同時に動作を行う時も、どうしても筋力の弱い方に強い負担がかかってしまいますので、自動的に弱い方に揃えるような筋力発揮の仕組みが備わっているのかもしれません。

バイラテラルとユニラテラルどちらがいいのか

ダンベルトレーニング

トレーニングをする場合、バイラテラルとユニラテラルのどちらが良いのでしょうか。

左右それぞれの筋肉を最大限に鍛えて強くすることが目的の場合、一方の筋肉をフルにトレーニングしもう一方の筋肉も同じようにトレーニングすれば良いのでしょうか。

上腕二頭筋を強くする場合、バイラテラルトレーニングのバーベルカールよりもユニラテラルトレーニングのダンベルカールを行った方が良いのでしょうか。

ユニラテラルトレーニングの方が1回の筋力発揮能力は高まるかもしれませんが、ここで問題となるのは左腕と右腕の筋力が微妙に違う場合です。
筋力が違うと言うことは、それぞれでダンベルカールを行うと左でできる回数と右でできる回数が違ってしまいます。
あるいは、左と右とで扱う重量すら変わってしまうケーズもあるでしょう。
そうなってしまうと結果的に左右の非対称がますます悪化してしまいます。
それを避けるには、やはり必然的に弱い方の筋力に支配されるバイラテラルトレーニングの方が望ましいと言えるのかもしれません。

また、種目にもよりますがユニラテラルトレーニングは、どうしても身体の片側にだけ重たい負荷がかかってしまうのでトレーニングを行っている箇所以外にストレスがかかってしまうと言うこともあります。

その結果、フォームそのものが非対称になってしまいそれが原因でどこかを痛めてしまうと言うことになってしまうかもしれません。

このことからもバイラテラルトレーニングの方が良いのかもしれません。

両側欠損はバイラテラルトレーニングで低減する

レッグエクステンション

両側性欠損は、バイラテラルトレーニングをすることによって低減することも可能のようです。

これについては、オーストラリアのグループがボートのトップ選手を使って実験を行っています。
ボートの選手は両足でプレートを押しながら両腕オールを引くと言う運動を日常的に行っています。

ボートは競技動作のパターンそのものがバイラテラルです。
そこで彼らに両脚と片脚でそれぞれレッグプレスをさせたところ、両脚で行った時にほとんど筋力が低下しませんでした。
両側欠損の度合いが非常に小さかったのです。

この実験から分かるようにバイラテラルの大きな特徴は、左右の不均衡を均一にすることだと言えそうです。

一方でランニングなどは左右の手足を交互に動かす為、運動のパターンとしてはユニラテラルな連続運動と言うことになります。

このように片方が強い力を出している時は、もう片方が違うパターンの力を出しているか、緩んでいると言うような運動を専門に行っている人は、両側同時に力を発揮する能力が落ちていき、両側性欠損が大きくなると言うことを考えることができます。

なので普段のトレーニングでは、まずバイラテラルトレーニングを重視して行うと良いかと思います。
特に左右の筋力のバランスが悪いと感じている人は、両側性のバイラテラルトレーニングを意識的に行った方が良いのかもしれません。

バイラテラルトレーニングを行うことで筋力のバランスが改善されていくと思います。