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トレーニング・フィットネス

長距離ランナーが筋力トレーニングをする目的とは?今やどんなスポーツでも筋トレは必須!

トップランナーは筋力トレーニングを取り入れている

今ではどんなスポーツでも筋力トレーニングを取り入れるのが常識になっています。

近年ではトップランナーがスクワットなどの筋力トレーニングを取り入れているケースが増えています。
一昔では、長距離選手に筋力トレーニングは無縁どころか逆効果になると思われていたのではないでしょうか。
では、長距離選手は具体的にどのような目的で筋力トレーニングを行っているのでしょうか。

長距離選手が行っている筋力トレーニングは、一般的な筋力トレーニングと少し違います。
一般的に筋力トレーニングと言うと筋肉や筋出力を大きくする為に高重量を扱ってトレーニングをします。
一方で長距離選手が行う筋力トレーニングは、自体重で行うものが多いです。
補強やコンディショニングの意味合いを含んでいると言えます。

とにかく走り込め!と言われていた野球界に筋力トレーニングが浸透してきたのと同じで陸上長距離界においても筋力トレーニングという言葉にハードルが低くなってきているのは、とても良い傾向です。

トップランナーでは、高重量の筋力トレーニング導入しているケースもあります。
腹筋や背筋などの体幹トレーニングとは別にバーベルを使ったスクワットを行う選手もいます。

一般の男性がバーベルスクワット40kgをしても特別スゴイとはなかなか思わないかもしれませんが、長距離選手は余分なものを排除した身体です。
体重が50kg台なので実際に重い負荷をかけていることになります。

しかし、オリンピックのマラソンも箱根駅伝を見ても、選手の体格はとても細いです。
長い距離を走り続けるのに大き過ぎる筋肉は重りになり、パフォーマンスを低下させてしまう要因になると考えられます。

つまり、長距離ランナーにとって筋肉は必要だけど、あり過ぎてしまうと邪魔なものになります。
ウェイトトレーニングについても今は、試行錯誤の状況にあると言えるでしょう。

では、長距離選手が筋力トレーニングを行う目的はどのようなことが考えられるのでしょうか。

筋力トレーニングで筋出力向上、怪我予防

ランジトレーニング

長距離選手が筋力トレーニングを行う目的は主に二つあります。

まず一つ目が筋肉の出力を高めることです。
現在のマラソン界は、高速化が進んでいます。
より速く走るには身体を動かすエンジンの性能を高めないといけません。
エンジンとは筋肉のことです。
エンジンが大きければ出せる力も大きくなります。
筋肉も大きいほど筋力が大きくなります。
ですが、筋肉が増え過ぎてしまうと長距離ではマイナスになってしまうので、筋量が増え過ぎは避けたいのが実情です。
なのでパフォーマンスに支障がない程度にエンジンを大きくすることがポイントになるでしょう。

二つ目の筋力トレーニングをする目的は、怪我をしない身体を作ることです。
走る動作では、脚の力発揮と引き換えに地面から大きな衝撃を受けます。
走る速度が速くなればなるほど身体が地面から受ける衝撃も大きくなります。
車ならタイヤやサスペンションに当たる部分が、身体では骨や筋肉、人体や腱になります。
走るメニュー以外でこれらを強化することができれば、衝撃から身体を守ることができます。
また、怪我や不調が少なく身体が丈夫であれば、走る量を増やすことも可能になります。

陸上競技の世界では、これまで反復することで体力をつけるのが主流でしたが、同じ動作を繰り返してしまうと同じ部位ばかりに負担がかかるので怪我のリスクが高まってしまいます。

推進力を高めるには、大きな力で地面を蹴ることにより床反力を受ける必要がありますが、そうすると大殿筋やハムストリングス、下腿三頭筋などに負担がかかり、練習量が増えれば怪我のリスクが生まれます。

走ること以外、例えば、ランジやスクワットなどを取り入れることでスピードの向上のメニューに耐えられる身体を作っておくことができます。

長距離の筋力トレーニングは20RMから

バーベルスクワットをする女性

速く走れるようになる為には、筋力トレーニングが効果があります。
ただし実際に筋肉をつけたとして走ってみたら身体が重い、ガス欠になってしまうことがやはり心配になると思います。
これをどのように調整していくかは、選手の競技レベルや年齢、個性によっても変わってくるかと思います。

中高生くらいまでは、筋力トレーニングに励むよりも走る練習をして身体を作り上げていく方が良いかもしれません。

大学や成人のアスリートであれば、筋力トレーニングを取り入れていく方が良いかと思いますが、一朝一夕で筋肉がつくわけでもありません。
たくさん筋力トレーニングをしたらムキムキになってしまうイメージを持っている人もいるかもしれませんが、筋肉はそんなに簡単につきません。
筋肉をつけるには、ある程度の時間とトレーニング総量をこなさないといけませんので、早い時期から筋力トレーニングを取り入れると良いかと思います。

そのことを考慮すると長い目で筋力トレーニングの継続と効果の検証を考える必要があります。
では、実際のトレーニングプログラムはどうすればいいのでしょうか。

身体のエンジンを大きくしたりフレームを頑丈にしたりすることが目的の場合、筋持久力を高めるような20RM程度から始めて、8~12RMへと進めていくと良いのではないでしょうか。

20RM程度で筋力トレーニングを行うのであれば、クロスカントリーや坂道を走ればいいと言う考えもあります。
アップダウンの激しいコースを走れば平地を走るよりも筋肉に負荷がかかりますので、筋肉に刺激を入れながら有酸素運動をすることができます。
特異性の原則を考えれば、高めたいパフォーマンスに負荷をかけることが最も効果的になるでしょう。

しかし、同じ動作の繰り返しはある特定の部位への負担増になるので怪我のリスクが高まってしまいます。
なので走る以外で鍛えられる筋力トレーニングを取り入れると良いと言うことになります。

ストライドの大きさやピッチの速さを改善するとなった時は、プライオメトリクスのようなものが適していると考えられます。
筋力を高めると言うよりも筋力をより上手に使って、エネルギー効率をよくしていくことが大切になります。
もしくは、高強度インターバルトレーニングも効果的でしょう。

短い休息を挟みながら高強度トレーニングを繰り返すのが高強度インターバルトレーニング、HIITです。
実際にこの効果を検証した研究のほとんどが持久的競技の選手を対象に走運動や自転車のペダリング運動を高強度で行うものです。

その一方で近年、高強度インターバルレジスタンストレーニング(HIIRT)が出てきました。
走ったり自転車を漕いだりするHIITに加えてレジスタンストレーニングも取り入れます。
全力で10回行って、インターバルを挟み、また全力で行いインターバルを挟んで、、というようにセットを組んでいきます。

高強度インターバルトレーニングは、筋肥大に加えて有酸素性のエネルギー代謝にも良い影響を与えてくれることが分かっています。

市民ランナーが筋力トレーニングを取り入れる場合は、街の地形を利用して筋肉への刺激を入れることでも効果は期待できます。
一般の人であれば、いかに継続させるかが最も重要なことになりますので、ランニングを楽しみながら筋肉にも効果が得られればより良いかと思います。