ボディビル黄金時代がリフティング文化の原型、昔は量のトレーニングが主流だった

ボディビルの黄金時代は量のトレーニングが主流だった

現代のリフティング文化を作ったのが黄金時代のボディビル界と言えます。
今、私たちがジムで当たり前のように行っているトレーニング、様々なベンチ台、マシンはかつてのボディビルの人たちによって作られたとも言えます。

黄金時代のボディビルの人たちは、今あるものと現在までに得た情報を最大限に活用して努力をしてきました。
とは言っても当時の情報の多くは確証があるわけでもなく、データや実験結果ももちろん不十分でした。
当時のボディビルダーが頼りにしていたのが、シュワちゃんで有名なアーノルド・シュワルツェネッガーやトム・プラッツ、ラリー・スコットと言ったスター選手のトレーニングです。
彼らは、様々なトレーニングを試してアレンジを続けて常に自分の身体で実験をしていたのです。
それが、最終的に新しいトレーニング理論になっていったと言うわけです。

今現在のボディビルダーは、当時の選手たちのように自分の身体を使って実験をすると言う人は少なくなっていると思います。
現代では、ネットの普及によりありとあらゆる情報を得ることができるので、わざわざ新しいことに挑戦して失敗を繰り返すことに時間を使うのは無駄だと思えてしまうのではないでしょうか。

トレーニングに励む多くの人は、あらゆる情報の中から効果が立証された方法を探し出して実践をしているかと思います。

2019年のインサイドボディビルディングに掲載された記事にこんなものがありました。

「マイク・メンツァーは、ヘビーデューティー・トレーニングシステムの熱烈な支持者であった。これは高重量を扱い短時間でセットを行うもので極めて強度が高く、対象筋群を少ない運動量で限界まで追い込むことができるやり方だ。ヘビーデューティーは、ドリアン・イェーツらも用い、多くのアスリートが量のトレーニングよりも高強度のやり方に走ったのだ。」

ヘビーデューティー・トレーニングは、当時何時間もジムでトレーニングを行っていたアーノルド・シュワルツェネッガーたちのやり方とは全く異なるトレーニング法です。
黄金時代と言われるボディビルダーたちは、やればやるほど効果が高くなると信じていて量のトレーニングを行っていました。
特に弱点部位にこれは採用されてなかなか発達しない部位を目覚めさせるやり方にもなります。
中には量を増やし過ぎて気分を悪くしてしまう人もいました。

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金髪のボディビルダーでブロンド・ボンバーと呼ばれたデイブ・ドレイパーは、色々なトレーニング法を試していました。
例えば、拮抗する筋肉同士を連続して行うスーパーセットと対象筋群の2種目をスーパーセットにするやり方を交互に繰り返すトレーニングに挑戦していました。

また、当時人気があった1日に2回のトレーニング、いわゆるダブルスプリットで複数の部位にかなりの量のトレーニングを繰り返すプログラムにも挑戦をすることもありました。
デイブは、細かく決めないでやるだけやると言う常軌を逸した量のトレーニングを行っていたのです。

その一方で数学の教師でもあったフランク・ゼーンは、美しくシンメトリーとプロポーションを極めたフィジークで注目を集めていました。
フランク・ゼーンのトレーニングは、緻密でボディビル界の科学者と呼ばれたりもしていました。
フランク・ゼーンはポージングのうまさでも定評があり、ボディビル界の最高峰であるミスターオリンピアで優勝を三回もしています。

フランク・ゼーンが好んで行っていたトレーニングは、全身に血管を走り巡らせるタイプのもので、年間を通してコンディションを維持することも目的の一つでした。
極端に体重を増減させずに適度なコンディションを常に保っていたので怪我やオーバートレーニングになることはほとんどなかったそうです。

今ではトレーニング中の静的なストレッチは、良くないと言われていますが、フランク・ゼーンはセット間には必ずストレッチをしていたそうです。
もしかしたらこれも怪我の予防に繋がった可能性もあるのかもしれません。

ボディビル界でオーバートレーニングはなかった?

ベンチプレスをする男性

ボディビルの黄金時代と言われる時代にオーバートレーニングはなかったと言うと驚く人も多いかと思います。
当時は、たくさんの人が何時間もジムでトレーニングをしていたのですが、オーバートレーニングに悩む人はほとんどいなかったそうです。

近年では、量のトレーニングはオーバートレーニングの原因になるので良くないとされています。
なのになぜ当時オーバートレーニングになる人が少なかったのでしょうか。
もちろん科学的なデータは一切ないので説明ができるわけではありません。
しかし、当時と今で大きく異なる点がありますので、その中に答えがあるのかもしれません。

当時ボディビルに熱中していた人は、ごく一部の人に限られていました。
要は小さなコミュニティでした。
コミュニティが小さいとその団結力は強く悩みを共有したり仲間に相談できたりする環境が整っていたと言えます。

小さいコミュニティだったのでトレーニングへの情熱も高まりやすかったのではないでしょうか。
常に高い志と強い意欲を持ちプラス思考だったことが考えられます。

そして、そのようなコミュニティなので中途半端な気持ちでトレーニングをしようと言う人にとっては近づきにくい雰囲気があったはずです。
少し覗いてみようと言う気持ちでは、とても中には入れない異様な世界だと思います。
ジムに行ってマッチョな人がいる場所になかなか入りにくいなと感じるのと同じです。

コミュニティの全ての人がコンテストを目指していたわけではないと思いますが、身体を変える為に必死にトレーニングに励んでいたことでしょう。

中にはトレーニング時間を確保する為に仕事を辞めてしまう人もいたほどなのです。
黄金時代のボディビル界は、そういう世界だったのです。
もしかしたら、この狂気じみたメンタリティーがオーバートレーニングを感じさせなかったのかもしれません。

多関節種目が主流の時代

近年のジムでは様々なマシンがあり器具で満ち溢れています。
昔と比べてはるかに恵まれています。

昔は十分な器具がなかったからこそ、スクワットやデッドリフト、ベンチプレス、バーベルロウ、オーバヘッドプレスなど多関節種目を集中的に行うことができました。

多関節種目は、最新で斬新なトレーニング器具と比べても筋力と筋量を増加させる効果は劣るものではないと言うことは数多くの研究で明らかになっています。

フリーウエイトとベンチ台さえあれば、色々な多関節種目を行うことができます。
プルアップやチンニングでも自体重で物足りなくなったら足首にダンベルを保持して行うこともできます。

プライオメトリクス運動も当時は盛んに行われていました。
プライオメトリクス自体は1920年代に発明されたトレーニング法ですが、このやり方が効果的だと言うことが分かるまで40年もの月日がかかっています。
効果を証明してくれたのがオリンピック選手たちです。

また、アメフトのダラスカウボーイズでヘッドコーチを務めていたトム・ランドリーも早い時期からチームにプライオメトリクスを指導して、選手たちの体幹部の強化などを積極的に図ったことで知られています。

今ではスポーツになったボディビル

バーベルスクワットをする女性

かつてボディビルは、カリフォルニアのベニスビーチ界隈に集約されていましたが、やがて凄まじい勢いで世界各地へ広がっていきました。
フィットネスクラブやジムもあちこちでオープンし始めました。

そして、サプリメント業界もそれに合わせて数多くのサプリメント商品が開発、商品化されていきました。
この20年間でジムに通う人も2千万人も増加したと言われています。

今では様々なボディビルコンテストは、規模に関わらずに毎年、何千にもなるそうです。
ボディビルは、スポーツにまで成長したとも言えます。

ボディビルは、見た目のカッコよさや健康を手に入れる為の手段として社会に定着していったわけです。
かつてボディビル界は薬物が蔓延しているのではないかと言う不安や恐怖が高まっていた時代もありました。
ですが、身体作りと健康作りの意識が一般社会にも根付いたこともあって少しずつ浄化されていきクリーンでナチュラルなやり方が主流になってきました。

ボディビルは決して薬物づけではないと言うことです。

現在、私たちが使えるツールはたくさんあります。
複数の種目を連続して行うサーキットトレーニングでは、フリーウエイトやロープ、バンドなどを使った種目だけで構成することもできますし、ジムに行けばマシンも使えます。
個別の筋肉を集中的にトレーニングしてもいいですし、1回のトレーニングで全身を鍛えてもいいです。

どのトレーニングが一番効果的なのかと思う人もいるかもしれません。
目的が異なれば、手段も変わるのでトレーニング法は変わります。
つまり、何が一番効果的なのか、と言う質問はあまり意味がないと言えます。

ただ目的が何であっても多関節種目は必須になるでしょう。
特にスクワットやデッドリフト、ベンチプレスはビッグ3と言われる基本的な種目になるので必ず行った方がいいでしょう。

基本的な種目にヒップスラストやランジ、プライオメトリクスなどを組み合わせれば、理想的な肉体作り、健康を維持していくことが可能になります。

様々な目的をカバーしてくれる多関節種目は、今も昔もその有用性は変わっていませんので必ず行うようにすると良いです。

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