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トレーニング・フィットネス

メカニカルストレスを高めるバリスティックトレーニング、重要なのは動作の質

バリスティックトレーニングはバーベルでも可能

筋肉を強くするには、メカニカルストレスを高めることを考えないといけません。
その方法としてバリスティックトレーニングがあります。

筋肉を強くする力学的刺激を高めるには?バリスティックトレーニングは瞬間的に大きな力を発揮する

バリスティックトレーニングの典型的な例としてはジャンプです。
単純にその場でジャンプをするだけでも立派なトレーニングとなります。

バーベルやダンベル、ケーブルマシンを利用してもバリスティックトレーニングをすることができます。
負荷を瞬間的に強く加速させるようにすれば、それはもうバリスティックトレーニングです。
分かりやすいのは、クリーンやスナッチです。

また、ベンチスロー、メディシンボールを使ったキャッチボールなどもバリスティックトレーニングと言えます。
このトレーニングのポイントは「負荷を持ち上げる」のではなくて「一気に加速させて直ぐに力を抜く」ことです。
そこを意識すれば、それはバリスティックトレーニングになります。
別の言い方だと「瞬発力トレーニング」「負荷を加速させるトレーニング」と言われることもあります。
これらは、言い方が違うだけでトレーニング自体は同じになります。

バリスティックトレーニングと似たトレーニングでプライオメトリックトレーニングと言うものもあります。

切り返しが含まれるとプライオメトリックトレーニング

バリスティックトレーニングと同じようなトレーニングにプライオメトリック(プライオメトリクス)トレーニングがあります。

バリスティックトレーニングとプライオメトリックトレーニングの区別は難しいと言えますが、プライオメトリックトレーニングにはバリスティックトレーニングの要素も入っている、と認識をしておくと良いでしょう。

例えば、ベンチスローなら負荷を強く加速させて瞬間的に力を発揮するだけでなく、上から落ちて来たシャフトを受け取る時にブレーキをかけながら筋肉を伸長させ、直ぐに切り返してもう一度投げると言う動作全体を指してプライオメトリックトレーニングと言います。

これはSSC(ストレッチショートニングサイクル、伸長短縮サイクル)と呼ばれる運動で、負荷を投げる短縮性動作(コンセントリック)の前に負荷を受け取る伸張性動作(エキセントリック)を行うことがポイントです。

メディシンボールを使ったキャッチボールも同じで、投げるだけならバリスティックトレーニングになるのですが、ボールを受け取って筋肉を伸長させてから投げ返すとプライオメトリックトレーニングになります。

ジャンプならしゃがんだ状態からジャンプすればバリスティックトレーニングですが、台の上から飛び降りた反動を使って飛び上がるような動作の場合ならプライオメトリックトレーニングになります。

バリスティックトレーニングもプライオメトリックトレーニングも、負荷強度は決して高くはありません。
しかし、瞬間的な力発揮はとても大きくなるので、メカニカルストレスは非常に強いトレーニングと言うことになります。

これらのトレーニングは、見た目では大きな負荷がかかっていなくても、大きな力を発揮しているのでトレーニングとしては危険とも言えます。
瞬間的に大きな力が加わることで筋肉を傷めたり腱を断裂したりなどの障害も起こりやすいトレーニングになります。
なので、これらのトレーニングをする場合は、まず基本的な筋力トレーニングがしっかりとできていることが大前提です。

単純に筋力があれば良いと言うわけではなく、関節の構造に合った動きをしているのかがとても重要になります。
関節の伸展・屈曲が安定して行われない方向に動作をしてしまうと怪我の原因になってしまうことが考えられます。
関節の構造に合った動作をしっかりとできるようにしましょう。

動作の質が大事、回数や重さではない

ダッシュ

バリスティックトレーニングやプライオメトリックトレーニングは、動作の仕方からも分かるように、単純に筋力を高めるよりも「筋力を実際の動作に結びつける」ことが目的と言えます。
重要なのは力の発揮の仕方なので、いい加減にやってしまっては効果ありません。

一般的な筋力トレーニングは、回数や重さを目安にして行いますが、重要なのはそこではありません。
バリスティックトレーニングやプライオメトリックトレーニングは、何回行ったか、何kgの負荷を持ったかではなくて、動作の質が重要です。

このトレーニングの難しいところは、発揮された力が目に見えにくいところです。

バーベルを担いでいれば、負荷の大きさが目で見ることができますが、自体重負荷でバリスティックトレーニングを行っている場合、瞬間的にどのくらいの力が発揮されたかを確認することができません。

トレーニングをしている本人でさえも自分の身体の中でどの程度の力が発揮されたのか感覚的にはほとんど分からないと思います。
床反力などを使って測定ができれば良いのですが、なかなかそうはいかず現実的には難しいでしょう。

ここで重要なのが指導者の眼力です。
適切な判断をしてくれる指導者の存在がとても重要であると言えます。

バリスティックトレーニングやプライオメトリックトレーニングは、とても難しいトレーニングであることを選手も指導者も認識をしておく必要があるかと思います。