筋肉の構造は役割によって違う、スピードの平行筋、力の羽状筋、マクロ視点

筋肉は役割によって個々で設計が異なる

筋肉は個々の役割によって設計が違います。
筋肉の役割は運動のエンジンですが、そのエンジンにも色々なタイプがあるのです。
筋繊維の並び方によってスピード型なのか、力型なのかがはっきりと分かれます。

速く動くことが求められる筋肉があれば、速く動かなくてもいいから強い力がじわりじわりと出た方がいい筋肉もあります。

筋繊維1本1本にも収縮速度が速いけど持久力のないタイプ(速筋繊維)、収縮速度は遅いけど持久力が高いタイプ(遅筋繊維)があります。
ですが、ここではそうしたミクロな性質ではなくて、マクロな視点で筋肉がどう構成されているかと言うことについてのお話です。
一口で言うとそれは筋繊維の並び方です。

筋繊維の並び方によってスピード型なのか、力型の筋肉なのかはっきりと分かれます。
筋繊維が平行に走っていて中央部分が太くなっている、よくマンガなどで見かけるような形の筋肉を平行筋と言います。
かつては紡錘状筋と言っていましたが、最近は欧米の用語を直訳して平行筋と呼ぶことが増えてきています。

平行筋は、文字通り筋繊維1本1本が筋肉の長軸に向かってほぼ平行に走っています。
これに対して鳥の羽のように筋繊維が少し傾いて斜めに走っている筋肉を羽状筋と言います。
平行か斜めか大きくこの二つに分けることができます。

羽状筋にはバリエーションがあり、羽のように左右にキレイに分かれているものと、羽を半分に切ったような形で片方だけに筋繊維が伸びているものもあります。(半羽状筋)
また、斜めに走っている筋繊維の角度も様々です。

平行筋はスピード、羽状筋は力

ダンベルトレーニング

平行筋は筋繊維がほぼ平行に走っているので、1本の筋繊維が縮む距離は筋肉全体が縮む距離と同じと言う特徴があります。
1秒間に筋繊維が30%短くなれば、筋肉全体も30%短くなります。

羽状筋の場合は、1本1本の筋繊維は平行筋と比べて短いので個々の筋繊維が収縮して短くなった距離は、筋肉の全長からするとわずかな距離になってしまいます。
筋繊維が1秒間に30%縮んでも全体としては10%ほどしか短くならないと言うことになります。

つまり、収縮速度は平行筋の3分の1になります。
筋繊維が出したスピードが筋肉全体のスピードに反映されないので羽状筋は速度と言う点では平行筋よりも不利と言うことになります。

一方で羽状筋が有利な点もあります。

羽状筋は個々の筋繊維が短い分、より多数の筋繊維が筋肉の中に詰まっていることになり短い筋肉が並列しているので、それぞれの筋繊維が生み出す力を足し算することができます。

羽状筋は、より強い力を発揮することができるようになります。

スピードは出ないけど、強い力を発揮することができるのが羽状筋の特徴です。
スピードはあるけど力が出ないのが平行筋の特徴になります。

身体の中で筋肉が要求される役割に応じて筋肉の構造自体が異なります。
では、羽状筋、平行筋はどこに多いのでしょうか。

伸筋は羽状筋、屈筋は平行筋が多い

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羽状筋の例として分かりやすいのは、カニの爪です。
食べる時に見ても1本1本の筋繊維が非常に短いのが分かると思います。
それが爪の根元にぎっしりと詰まっているのでカニが物を挟む力は極めて強くなります。
強い力がある割には、速いスピードでハサミを動かすことはできません。

これが羽状筋の特徴になります。

人間の場合は、手足(四肢)の伸筋には羽状筋、屈筋には平行筋が多いと言う傾向があります。

例えば、ふくらはぎの腓腹筋は典型的な羽状筋になります。
羽が両側に開くようにハートの形をしているのが外観からも分かります。

大腿四頭筋や上腕三頭筋も羽状筋になります。
それもかなりの角度が大きい羽状筋で大きな力を出す為に最適な構造をしています。

一方でいわゆる力こぶを作り出す上腕二頭筋は代表的な平行筋です。

太ももの裏側の筋肉であるハムストリングスは構造的には羽状筋ですが、羽の傾きが非常に小さく平行筋に近い羽状筋と言えます。

爪先を上げる筋肉である前脛骨筋も羽状角が狭い羽状筋になります。

人間の身体は、腕や脚を伸ばす為の筋肉は「力」に重点が置かれ、曲げる為の筋肉は「スピード」「動作の大きさ」に重点が置かれていると言う設計になっています。

また、人間の身体全体で見ると平行筋の数は少なく、羽状筋の方が圧倒的に多くなっています。
一般的なイメージだと平行筋が典型的な筋肉のように思いがちかもしれませんが、実は人間の身体の中では羽状筋の方が遥かに多く平行筋は少なくなっています。

このように私たちの筋肉は、個々の役割によって筋肉の構造自体が異なっています。

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