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トレーニング・フィットネス

「筋肉は大きな力を発揮しなくても太くなる」は今や常識!様々な要因が関係

筋肉が太くなるのは様々な要因が複雑に絡み合っている

現在では、タンパク質を合成する工場であるリボソームを活性化するmTORを中心とする反応系に注目が集まっています。

筋肉が大きく肥大するのは「筋繊維再生系」と「タンパク質代謝系」によって起こる

リボソームで何が起こっているかは分かりつつありますが、筋力トレーニングをしてから工場を刺激するまでの間に何があるのか、については詳しく分かっていません。
筋力トレーニングをしたり大きな力を出したりすると筋肉が太く強くなる、と言うのは非常に分かりやすい現象です。
しかしなぜそうなるのか、その解明が一番難しいのです。

筋力トレーニングの「何が」筋肉を太くするのかが分かっていない状態なのです。
それが分かれば、筋力トレーニングのやり方自体も劇的に変わってくる可能性があります。
その「何が」の正体が分かれば、それを一番強く刺激する方法を行うことで、筋肉が一番太くなるはずだからです。

完全に分かっていない状態ではありますが、「何が」の候補はいくつか考えられます。
それは「メカニカルストレス」「代謝環境」「ホルモン・成長因子」「筋繊維の損傷・再生」です。
これら5つの要因が複雑に絡み合って筋肉が太くなると考えられています。

現在では、これらの複合的な効果によって筋肉が太くなっていくと思われていますが、何がどのように働いているのかはまだ結論を出せる段階ではありません。

筋肉を太くさせるには、様々な要因が複雑に絡み合って起こり単一の刺激でも効果はあります。
ですが、おそらく一番良い方法は全ての要因が良好に刺激されることかと思います。

メカニカルストレスは100年以上前から行われていた

ダンベルトレーニング

メカニカルストレスとは、力学的な刺激のことです。
大きな力を発揮する古典的なトレーニング法であり、それで筋肉が太くなるのは当たり前と言えば当たり前のことだと思うでしょう。

強い力に対抗したり、それに耐えたりする為の身体の適応現象として筋肉は太くなってくると言うことです。
このことから高強度のトレーニングをすれば筋肉が太く強くなるだろう、と考えるのはごく自然なことでしょう。

これは100年以上前からあった発想であり、近代ボディビルの父と呼ばれるユージン・サンドウなどもこのようにして筋肉を作っていました。

そして、80%1RMの負荷で8回×3セットと言うような負荷強度の原則も作られてきたのです。

では、80%1RMで太くなるけど、60%1RMでは太くならないのか、と言う疑問が出てきます。
それに対して生理学的な説明が必要になりますが、それがサイズの原理です。

弱い力を発揮する時には、運動単位のサイズが小さい遅筋繊維しか使われず、大きな力を発揮する時に速筋繊維が使われると言うものです。
筋肉を太く大きくするには、速筋繊維を使わないといけない。
そして、ある程度以上の大きな筋力を発揮しないと速筋繊維は使われない。
だからこそ、重い負荷を使って大きな力を出さないと筋肉が太くならない、と言う説明が昔からされてきていました。
実際にベーシックな普通の筋力トレーニングの場合、速筋繊維を稼働させないと筋肉が太くならないと言うことは多くの実験で証明されています。

ですが、このメカニカルストレスの常識も今では変わってきています。

疲労困憊まで行えば軽い負荷でも速筋繊維が使われる

プランクトレーニング

筋肉を太くするのは、速筋繊維を使う必要があります。
その為の大きな力発揮なのですが、必ずしも80%1RMでなくても同じ条件を作ることができると言うことが分かっています。
典型的な例としては、加圧トレーニングやスロートレーニングです。

加圧トレーニングは、腕や脚にベルトを巻いて血流を制限した状態でトレーニングをすると筋肉は直ぐに疲労困憊になって、速筋繊維が早い段階で使われるようになります。

スロートレーニングは、筋肉の張力を維持しながらゆっくりと動きますが、これも同じことが起こっていると考えられます。

このようにやり方によって必ずしも80%と言う負荷を使わなくても筋肉を太くすることが可能だと言うことは、現在では新しい常識となっています。

また、力を出しながら筋肉が伸ばされるエキセントリックを利用する時も強い力を出さずに速筋繊維を使う一つの方法となります。

そして、軽い負荷でも筋肉が疲労困憊まで追い込まれるまで動作を繰り返せば、速筋繊維が使われやすくなると言うことも分かっています。
遅筋繊維が疲れてくると次に速筋繊維が使われるようになっていきます。

軽い負荷でも重い負荷でも全てのメカニカルストレスに言えることは、1回や2回の刺激では不十分だと言うことです。
ある一定時間、あるいは繰り返し力を発揮することが必要になります。
筋肉にたくさんのエネルギーを使わせないと筋肉が太くなるような刺激にはならないと言うことです。

これについては、代謝環境が関係しています。
代謝環境もメカニカルストレスと同様に筋肉を肥大させる為の重要な要因であると考えられます。

筋肉を太くするには、大きな力を発揮しなければいけないと言う以前の常識は今では変わってきているのです。
大きな力を発揮しなくても筋肉は太くすることができます。