メンタルトレーニングで高まるレジリエンス、選手に気付きを促そう

メンタルトレーニングでレジリエンスが高まる

メンタルヘルスのカギ「レジリエンス」周囲の環境が大事、回復、抵抗、再構成

メンタルトレーニングをすることでレジリエンスを高めることができます。
正確には、メンタルトレーニングによってレジリエンスの高まりを促すことができると言った方がいいかもしれません。

トレーニングと言うと「きつい」「根性」「我慢」などを思い浮かべるかもしれません。
もちろんこれらも時と場合によっては重要なことです。
ですが、メンタルトレーニングは「なりたい自分に向かって歩む」為のものです。
「セルフコントロールできるようになる」ことを目指していくのです。

では、メンタルトレーニングの具体的な方法としては、どのようなものがあるのでしょうか。

メンタルトレーニングには認知行動と言う心理療法を使っていく方法があります。
認知行動療法では、心の内面を外在化することから始めていきます。
外在化とは、その人が考えていることや感じていることなど内面の部分を話してもらったり書いてもらったりすることです。

例えば、試合の重要な場面を振り返って思い出してもらい外在化していきます。
「ミスについて考えないようにしようと思えば思うほどミスするイメージが浮かんだ」
「強気になれない自分に対する怒りが込み上げていた」など

自身の内面を外在化してもらうことによって色々なものが見えてきます。

メンタルとは何?

考える女性

「自分はメンタルが弱い」と言うことをよく聞いたりしますが、メンタルが弱いとは一体何なのでしょうか。
集中力がない?リラックスが難しい?気持ちの切り替えが苦手?
これが曖昧だとメンタルをトレーニングすることができません。

まずは、メンタルとは何なのかを明確にしていくことが必要でしょう。
個人個人でメンタルの課題は異なりますので一言でメンタルとはこれだとは言えません。
選手個人のメンタルの課題を語ってもらいます。

そして、その課題が出た具体的な場面について語ってもらいます。
ある日、ある時、ある場所で起きたことを外在化してもらうのです。
外在化しようとすると自分を客観視することができます。

例えば、先週の試合、9回ツーアウトで打席が回ってきた場面を取り上げるとします。
その時にどんなことが頭に浮かんだ?
「打てなかったら監督に怒られる、三振したら落ち込んで立ち直れないだろうな。」

気分はどうだった?
「緊張はあったけど、強気になれない自分にイライラしてた。」

他にどんなことがあった?
「とにかく、打てないイメージが頭に浮かんだ。監督が大声で叫んでいるのも気になってた。もっと相手投手に集中すべきなんだけど、、」

このようなやり取りをしながら外在化することで、選手のメンタルの状態が具体的に見えてきます。
この例では、三振したらどうしようと考えすぎてしまうことが課題のようです。

この場合は、ネガティブなイメージが意図せずに浮かんでくる考え方にフォーカスすることになります。
心の内を外在化したことによって本人が自分のメンタルの課題を客観的に捉えることができるようになります。

また、宿題も出していきます。
課題となった場面があったら次のメンタルトレーニングの時に報告をしてもらいます。

そうすると選手は、課題となる場面を経験した時「あの時と同じだ。今、自分は何を感じているんだろう。身体の状態はどうだろうか。」とだんだんその場面で自分を客観的に見れるようになります。

指導者は日常生活の会話で練習してみよう

相手の心の声を引き出すことは、簡単なことではありません。
JSPO公式スポーツ指導者講習会でも、うまく質問することは重要なテーマですが、どんなふうに問いかければ相手の心をうまく引き出すことができるのでしょうか。

ストレートにどんなことがあった?と言う問いにどんどん応えてくれる選手ももちろんいますが「そうですね。全然だめですね。」と口の重い選手もいます。
こうなってしまうと質問ばかりで行き詰まってしまいます。
そういう時「それって例えばこんなことかな?」と例をあげたり「緊張や不安ってよく言うけど、どっちが近い感覚?」など選択肢を呈示したりして選んでもらうなど掘り下げていく方法があります。

ですが、こうなると質問する側もスキルを上げなくてはなりません。
指導者は、スポーツ以外の日常場面でも練習をすると良いでしょう。

例えば、コンビニやカフェでの買い物など、まったく関係のない人と話をする機会で練習をするなどです。
選手の目を見て話せていないと思えば、店員さんの目をしっかりと見て注文をします。
相手の懐に飛び込んだコミュニケーションが取れていないと思えば「おはようございます。」と挨拶をしたり必要もないのに「今日はいい天気ですね。」とあえて元気に話しかけてみたりなどです。

実際に選手と向き合うスポーツの場面に備えて、そこから離れた失敗してもいい日常場面で試してみるのがいいでしょう。
店員さんには変な人と思われるかもしれませんが、これはとても大事なことでもあります。

解決策は個人個人で違う

書類を開いている女性

心の内を外在化して自分を客観視できるようになってきたら、選手に気づきが生まれてきます。

例えば「私はメンタルが弱いって言うのは失敗することばかり考えてしまうことだったんだ」と言う感じです。
すると「そう言えば1ヶ月前のあのシーンもよく似ていたけど、あそこでは上手くいった。と言うことはいつも失敗するわけでもないんだ」このように次第に色々なことに気付くようになっていきます。
そして、課題を解決する方法も見えてくることでしょう。

ここで大事なのは、解決策は人それぞれで違うと言うことです。
Aと言う方法を試してみる、上手くいかなければBと言う方法やCと言う方法を試してみる、するとCはちょっといい感じ、ただちょっとやり方を変えればもっとしっくりくるかもしれない。
このようにして実験を繰り返して、その人に適切な方法を探していきます。

「俺は天才だ」と言うような自信家もいますが「失敗するのは怖い」と言う選手もいます。
なので選手一人一人に合った方法を一緒に考え、寄り添うことが必要になります。

また、実際の現場では人との繋がりが大きなカギになるでしょう。
メンタルトレーニングでは、課題を解決する方法を選手自身で見つけ出せるようになることも大切です。
別の競技の指導者や選手にアドバイスを求める、好きな選手の本を読んだりテレビのドキュメンタリー番組を見たりしてヒントを探す、スポーツをやらない家族の言葉が解決の糸口になることもあります。

指導者には、いい解決策を提案することだけでなく、他の人にアドバイスを求めてみる姿勢も大事でしょう。
または、指導者自信が周りの人にアドバイスを求める姿勢をあえて選手に見せるのもいいのかもしれません

レジリエンスにおいて人との繋がりが大きなカギに繋がるのではないでしょうか。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。