筋膜マニピュレーションとは?筋膜の滑りが改善|痛みの原因は筋膜の滑走性にあり
筋膜は三重のウェットスーツ
東洋医学でいうツボは、歴史上の上に積み重ねられた多くの経験と淘汰の繰り返しによって作られた治療法と言えます。
筋膜マニピュレーションでは、イタリアの理学療法士で筋膜マニピュレーションの創始者であるルイージ・ステッコ氏によって発見、定義されました。
筋膜マニピュレーションの特徴としては、その有効性についての多くの科学的検証がされているということです。
東洋のツボと西洋のポイントは一致するものも多くあります。
筋膜は、全身の筋肉を覆っているウェットスーツのようなもので、2~3層の構造になっています。
筋膜内にはコラーゲン繊維が存在し、各筋膜によってその繊維の走る方向が異なっています。
そして、各筋膜が独立して互いに滑っています。
例えば、立つ、歩く、走るなどの動作をする時、筋膜はあらゆる方向に滑走してその動きを助けています。
スポーツの場面では、よりダイナミックに動くことで、筋膜はやがて疲弊し、機能低下を起こることが多くなります。
筋膜には、痛みのセンサーである感覚受容体が筋肉の10倍もあり、筋膜に不具合が出てしまうと痛みやしびれの原因になってしまいます。
これを解決してくれるのが筋膜マニピュレーションになります。
筋膜が滑りにくくなると痛みが出る
筋膜は、滑りにくくなるとそれが痛みやしびれが出てきます。
痛みを取り除くには、筋膜の滑りを良くしてあげることが大事です。
各筋膜の間には、ヒアルロン酸や水分を含んだ組織が存在しています。
少し分かりにくいので筋膜を下敷きに例えてみると、3枚に重ねた下敷きはスルスルと動くかと思います。
しかし、その間に糊を塗ったらどうでしょうか。
べたついて上手く滑走できなくなりますよね。
ヒアルロン酸を含んだ組織もこれと同じです。
水分が減少したりヒアルロン酸の粘度が上がったりすると筋膜が動きにくくなってしまうのです。
その原因が「不動」「炎症」「過用」です。
動かさないと筋膜間の組織の水分が減ったり、ヒアルロン酸の粘性が上がったります。
炎症が起きたり、使い過ぎたりしてもヒアルロン酸の粘性が上がって滑走性を失って硬くなってしまいます。
筋膜の滑走性を失わせない為には、適切に動かすことが重要となります。
痛む場所が原因とは限らない
筋膜マニピュレーションでは、痛む場所に原因があるとは限らないという考えがあります。
東洋のツボのように使うポイントは、協調中心(CC)と融合中心(CF)の二つです。
CCは、単関節運動に関わるポイントになります。
例えば、ふくらはぎは内外側の腓腹筋とヒラメ筋で構成されています。
これらがバランス良く収縮すればアキレス腱が適切に引かれて足関節が底屈していきます。
CFは、複雑な運動に関わるポイントになります。
複雑な動きでは、様々な筋肉が動きます。
その総合的な力を統合するのがCFです。
ここが滑走性を失ってしまうと協調的な動きが損なわれて離れた場所が痛むようになります。
筋膜マニピュレーションでは、全身に14本のラインが定義されています。
まずは、ポイントを探りその場所の改善を図ることで、痛みを取り除いていきます。
不具合の場所は押すと鋭い痛みが出る
痛みを感じる場所に原因があるとは限りません。
では、どうやってCCやCFを探っていけばいいのでしょうか。
全身のライン上にCCやCFは並んでいて、その位置は創始者によって定義されています。
その指標になるのが、痛みを感じる場所と同じライン上にあるポイントを押していくと硬くて鋭くとても強い痛みを感じる場所があります。
この場所が不具合の原因になっているとのことです。
ポイントを見つけたら圧をかけながら摩擦をしていきます。
さすることで温度が高くなりヒアルロン酸の粘度が低下します。
組織の局所温度が40度以上になると効果が大きくなるとされています。
また、圧をかけながら筋膜を動かしてあげることで水分を取り戻すこともできます。
押して痛みがなくなった時には、筋膜の滑走性は回復しています。
痛みやしびれの改善にも繋がっていきます。