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時間栄養学「いつ食べるか」という新しい視点|毎日体内時計を整えよう

時間栄養学とは?

時間栄養学は、栄養学の新しい分野になります。
栄養学は1970年代に栄養不足を改善する為に発展してきました。
当時は、栄養が不足していたので栄養素の欠乏が問題視されていたので、それを改善する目的でした。

しかし、高度経済成長期に入ると食生活が豊かになりました。
それによって今度は栄養素の過剰摂取が新たな問題になりました。
特に脂質や糖質の過剰摂取が肥満や心臓病、糖尿病などの生活習慣病を引き起こす原因として注目されて、過剰摂取を防ぐことに栄養学の焦点が変わっていきます。

栄養学は「何をどれだけ食べるか」という視点で栄養バランスや摂取量の調整に重点を置くことに発展してきました。
時間栄養学は、従来の「何をどれだけ食べるか」に新しく「いつ食べるか」を加えた学問になります。
食品や食品成分の働きで身体のリズムや睡眠を改善したり、食事の消化吸収、代謝のリズムを利用して栄養素の働きを向上させたり、病気の予防や回復を促したりすることなどが目的になる栄養学の一つになります。

身体の重要なシステムであるサーカディアンリズム(体内時計)

サーカディアンリズムとは体内時計のことです。
私たちの身体の中には体内時計があり、これが24時間周期で働く為の重要なシステムになります。

体内時計は、時計遺伝子によってコントロールされています。
体内には多くの時計遺伝子がありますが、その中で特に重要なのがBmal1(ビーマルワン)という遺伝子です。
Bmal1遺伝子は、身体のリズムを維持するのに欠かせないもので、特にエネルギー代謝に関わっています。
Bmal1は夜に活性化して、脂肪を蓄えやすくする働きがあります。
なので、夜遅くに食事をすると脂肪が増えて太りやすくなってしまいます。
反対に朝は、Bmal1の活動が低いのでエネルギーを消費しやすい時間帯と言えます。

体内時計や時計遺伝子は私たちの身体のリズムをコントロールしているので、これらの働きを知ることでトレーニングや食事のタイミングをより効果的に計画することができます。

体内時計がコントロールしている主な機能

・睡眠や覚醒のサイクル

・深部体温
夜は低く、朝は高くなる

・心拍数
肝臓のコレステロールの合成は夕方~夜にかけて活発になる

・血圧
朝に高くなるので脳梗塞や心筋梗塞が多い

・自律神経活動

・糖代謝
朝は血糖値が下がりやすく夜は下がりにくい

・脂質代謝
中性脂肪やコレステロール合成は夕方~夜にかけて活発になる

・血小板凝集能

・免疫機能

・細胞分裂

・ホルモンの分泌

毎日体内時計をリセットしよう

体内時計イメージ

体内時計は、中枢時計と末梢時計で調整されています。
中枢時計は脳内の視交叉上核、末梢時計は脳の他の部分、心臓、肝臓、消化器、腎臓や筋肉などの各組織にあり中枢時計に従って微調整を行いながら働きます。
実際の時間と体内時計、中枢時計と末梢時計のリズムが一致しているとメタボリックシンドロームや肥満、心筋梗塞になりにくく、身体の健康状態を保ちやすくなります。
ですが、中枢時計は正確にいうと24時間でなく、24.2時間周期になっていいます。
なので、少しずつズレていきます。

また、時差ボケが起きている時やシフト制の仕事などで昼夜が逆転している時などは、実際の時間と体内時計がズレた状態になっています。
実際の時間とズレた状態が長く続いてしまうと、臓器や組織の適切なリズムが狂ってしまい、体調不良を引き起してしまいます。
体内時計のズレを毎日リセットすることで体調不調を防ぐことができます。

では、どうやって体内時計をリセットすれば良いのでしょうか。

体内時計のリセットの仕方はとても簡単です。
朝起きて、朝日を浴びて目に光を入れることです。
光は、日光でなくても蛍光灯でもOKです。

末梢時計は、中枢時計による調整に加えて朝食を食べることでリセットさせることができます。
朝起きたらカーテンを開けて部屋を明るくして、朝食を食べれば良いのです。
この方法で時差ボケを調整することもできます。
末梢時計をリセットさせるには、糖質を含む朝食がおススメです。
糖質を摂ると分泌されるインスリンは、肝臓や脂肪細胞などの糖や脂質代謝に関わる組織の体内時計をリセットする働きがあります。

糖質を摂ったら血糖値が高くなってしまうのでは?と思うかもしれませんが、朝はインスリンの働きが良いです。
同じ量の糖質を夜食べるよりも血糖値を早く下げることができます。
朝食を食べることで肝臓が活発に動き出して代謝が上がり、糖や脂質をエネルギーとして利用しやすくなります。
その結果として脂肪肝や肥満になりにくい身体を作ることができます。

反対に夜の遅い時間にたくさん糖質を摂ってしまうと、インスリンの働きが悪いので血糖値が下がりにくく、体内時計も遅くなってしまいます。
どうしても夕食が遅くなってしまう場合は、夕方に主食である糖質を摂って帰宅してからおかずを食べるようにするなどすると良いかと思います。
それも難しい場合は、糖質の量を少なくしたりGI値の低い玄米や大麦にしたりしてみると良いしょう。

普段規則正しい生活をしていれば、1~2日の夜更かしや夜食をしても直ぐに戻すことができます。
これは、裏を返せば乱れた体内時計は直ぐには調整できないということでもあります。
まずは、規則正しい生活を心掛けて朝起きたら光を浴びて朝食を食べるようにしましょう。