老化防止として注目されるNMNとは?長寿遺伝子を活性化|運動で増やすこともできる
2015年に脚光を浴びたNMN
NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)は、2015年にテレビ番組で若返りの薬と紹介されて注目を浴びました。
2020年3月に厚生労働省が食薬区分上の食品に分類してからサプリメントの商品数が一気に増えました。
サプリメントが一気に増えて市場は過熱気味になっているようです。
NMNは、比較的安全性が高く様々な老化現象の抑制に有効と考えられています。
NMNを摂取すると体内でNADという補酵素に変わります。
このNADが長寿や健康の維持に関係するサーチュイン遺伝子を活性化してくれるとされています。
サーチュイン遺伝子は長寿遺伝子とも言われ、抗炎症作用、ゲノムの安定性改善、DNA損傷の修復、脂質代謝改善、糖代謝改善、ATP生成、尿素回路の調節などに関わっています。
高齢のマウスでの実験によると「太りにくくなる」「骨密度や免疫機能が高まる」「アルツハイマー型認知症から回復する」といった作用が確認されているようです。
安全性が高いと言えるのは、NMNがヒトの体内でビタミンB3の一種から自然に生成されている物質だからだそうです。
とは言っても摂り過ぎは肝機能障害になる可能性もあるようです。
これはサルでの実験で明らかになっています。
人間でも同じようになるかは分かりませんが、1日の目安としては250mg程度までなら問題ないとされているようです。
体内のNMNは加齢や病気などによって減っていきますので、サプリメントなどで適度に摂るのは老化対策として良いのかもしれません。
マウスでの結果がヒトでも起こるとは限らない
NMNが老化防止に効果が期待できるかもしれませんが、マウスでの実験結果がそのまま人間にも当てはまるとは限りません。
NMNの人間での有効性は、まだよく分からないといったところだと思います。
2021年にワシントン大学のグループが肥満を伴う糖尿病予備群の閉経後女性を対象とした研究結果を発表しています。
この報告によると10週間で糖尿病になりやすい状態のインスリン抵抗性を20%改善できたとのことです。
インスリン抵抗性は生活習慣病の要因で、寿命にも関係していると言えます。
このことからNMNの摂取で寿命を延ばすことができるかもしれません。
健康な人がNMNの摂取で本当に寿命が延びるのかどうかは今後明らかになってくるのではないでしょうか。
でも証明されるのは、何十年も先になるかと思います。
ヒトに毎日摂取して何年も追跡するような試験は手間も費用もかかるからです。
現在、サプリメントとして販売されているので健康な人の老化防止効果をしっかりと測る研究はしばらく出ないと言えます。
また、NMNは腸にも効果があるかもしれません。
マウスの実験になりますが、腸管でNADを増やすとやせるホルモンで話題になったGLP-1が増えたそうです。
腸は腎臓と同じで老化のカギを握っている臓器です。
腸の老化抑制が証明できたら老化防止効果の期待がさらに増えるかと思います。
規則正しい生活、運動でもNMNが増える
NMNは、食品だとアボカドやブロッコリーなどに含まれています。
しかし、250mg摂取するのにアボカドだと300個が必要だそうで、とても現実的ではありません。
食事で摂取するよりも体内のNMN生成を促すようにした方が良いです。
その為には、メリハリのある生活をするのが効果的です。
NMNは日中に増えて夜に減ります。
これはNMNを作る酵素であるNAMPTが体内時計で制御されているからです。
体内時計がしっかりと働くように食事を食べ、日中は身体を動かし、夜は寝るというような規則正しい生活をすることでNAMPTが増えてNMNも増やすことに繋がります。
また、軽い有酸素運動や筋力トレーニングも効果的です。
運動をすると血中のNAMPTが増えることが知られています。
適度に運動をすることは、NMNを増やしてくれると言えそうです。
サプリメントで摂取しても数時間経つと血中濃度は低下していくので、体内で継続的に作られるNMNの方が総量としては多くなるかと思います。
サプリメントはあくまで補助であり、メインは生活習慣になります。
規則正しい生活を送り、加齢によって減ってしまうNMNをサプリメントで適度に補うことが良いのではないでしょうか。
ただ現時点では、有効性は分かりませんので過度な効果を期待してサプリメントを摂取しないようにすると良いでしょう。