海馬は記憶を司る器官、アクティブに保ち機能低下を防ごう
海馬は記録の道しるべ
海馬と聞いてどのくらいの人がその働きについて説明をできるでしょうか。
中には初めて聞いたと言う人もいるかもしれません。
海馬とは脳の中心にある器官のことです。
記憶を司る機能を持っていることで知られています。
脳全体の大きさで比較をすると海馬は小さな部分になりますが、記憶する能力を担っている大変重要な部分になります。
では海馬は、どのようにして物事を記憶しているのでしょうか。
日常生活において「思い出深い場所の写真を見た時に匂いまで思い出す」と言うことを経験したことはありませんか。
実際には香りは発生していないのに鮮明に思い出してしまうことがあるのではないでしょうか。
この現象は、実は海馬が関係しているのです。
海馬はタツノオトシゴのような形をしています。
物の名前や出来事、またそれらに関する感覚受容器から得られる情報を保存したり、そしてそれらの記憶を呼び起こしたりする役割を担っています。
例えば、異性と初めて会った時に一目ぼれをしたとします。
その際、握手をした時の手の温かさや鼓動の速さを五感で感じると、その情報は海馬のニューロンを刺激し一時的に保存されます。
その後、数日以内にそのことを思い出す、つまりその異性を思い出すと海馬はその情報が大切なものと認識して脳の残りの部分に送り出します。
そうすると記憶の長期保存に結びつきます。
その情報がこれまでの人生で一番うれしい体験でも仮にトラウマになるような辛い経験でも本人にとって強烈であればあるほど、その記憶が保存される可能性が高くなります。
加齢によって記憶力は低下する
記憶と密接な関係にあるのが加齢です。
歳を重ねると物忘れが多くなった、人の名前や物事を思い出せない、などのよく聞くのではないでしょうか。
ほとんどの場合、これは加齢による自然現象になります。
加齢と言っても実は20代になると私たちは海馬を含む様々な器官の神経細胞が死滅しています。
脳に関しては徐々に縮小していっています。
60代になると頃には、名前を忘れることが多くなったり、家のカギをなくしたり、新しい言語を毎日勉強していても成果が出なくなったりするなどが頻繁に起こるようになってきます。
この記憶力の低下に伴って問題となることが多いのがアルツハイマー病です。
認知機能の低下=アルツハイマー病と思われがちかもしれませんが、実はそうではありません。
そのような情報が氾濫をしているので脳が変化していくことを怖いことのように感じる人が多いですが、必ずしも加齢だけで変化をするわけではありません。
認知機能の低下自体は、加齢に影響だけでなく慢性的なストレスやビタミン不足、甲状腺障害、うつ病などが関係している場合も多くあります。
しかもその症状の一つ一つは、自身の生活習慣で改善することができる可能性もあります。
もちろん、あまりにも症状が激しい場合や強い違和感がある場合は、医学的な検討も必要になると思います。
その場合は、一度医療機関で診てもらうと良いかと思います。
海馬をアクティブに保とう
では、海馬の機能低下を防ぐにはどうすればいいのでしょうか。
様々な考え方があるかと思いますが、何よりも海馬をアクティブにさせることが重要と言えます。
要は海馬を使えば使う程、機能低下を防ぐことができると言うことです。
例えば、よく本を読んだり、人と関わって社交的になったり、コミュニティを持ったりなどです。
頭脳ゲームをすることは海馬をアクティブにすることに役立ちます。
また、睡眠も重要です。
睡眠によって海馬が刺激されて日中に得た情報を長期保存することができるようになります。
毎日、十分な睡眠を取ることが重要です。
睡眠時間だけでなく睡眠の質を良くすることも重要です。
寝る直前までスマホやパソコンなどを見ていたり、明るい部屋にいたりすると睡眠の質が悪くなってしまいます。
スマホなどは見ないようにし部屋も少しずつ暗くしていくと良いです。
体内時計を正常に保つことも重要なので、規則正しい生活をすることを心掛けてみましょう。
加えてベリー類や赤ワインに含まれるレスベラトロールは、神経細胞の機能が退化することを防いでくれるとされています。
とは言っても赤ワインを飲み過ぎには注意が必要です。
1日にグラス2杯以上のワインを飲むとガンや高血圧、肝機能疾患のリスクを高まると言う研究もあります。
何事もほどほどにすることを忘れないようにしましょう。
加齢によって海馬の機能が衰えてくるのは、自然現象でもあるのである程度は仕方がないことです。
大切なのは、衰えることを受け止めて若い時と同じように考えて行動し社交的でいることです。
これを意識するだけで海馬の急激的な機能低下を防いでくれるはずです。