より良い睡眠を取る為に睡眠について考えてみよう
睡眠は重要な行為
睡眠は、私たちが毎日行うように設計されている自然なプロセスです。
なので私たちは自然と睡眠を大切にしていると思ってしまいますが、米国疾病予防管理センター(CDC)によると約7000万人のアメリカ人が慢性的な睡眠障害に苦しんでいて、成人の3分の1以上が推奨されている睡眠時間を取っていないことが分かっています。
あなたは適切に睡眠が取れているでしょうか。
アメリカのある大学の医学部で神経学・睡眠医学の博士によると「良い睡眠によりもたらされる健康は食事や運動と同様に健康的なライフスタイルに必要な要素の一部であると考えるべき」と言っています。
食事、運動、睡眠の3つが一体となって健康全般をサポートしています。
睡眠不足の人の多くは、不健康な食べ物を選んでいたり、お腹が空いていたり、疲れていたりして運動する気にすらならなかったりします。
睡眠は私たちにとても大切な時間であり、睡眠が乱れてしまうと様々な悪影響が身体に出てしまいます。
毎日十分な睡眠を確保することが大切なのです。
睡眠時間は個人によって異なる
では、睡眠時間は1日どのくらい取ればいいのでしょうか。
適切な睡眠時間は個人個人によってことなり一概に言えません。
特に年齢の異なる子供がいる家庭では、全員を同じ時間に眠らせ、同じ時間に起床させる家庭が多いかと思いますが、必ずしも全員が同じ時間の睡眠を取る必要はないと認識することが重要です。
例えば、3~4歳の子供は通常、より多くの睡眠が必要であるとされているので親も意識的に睡眠を取らせている年代ではありますが、だからと言ってそれ以外の子供には睡眠が重要ではない、というわけではありません。
子供の睡眠スケジュールは、部活動や宿題、家族の予定、学校へ遅刻しない為の起床時間などを考慮して、生活リズムに合わせて立てるようにしましょう。
また、昼寝は4~5歳で止めるようにしましょう。
4~5歳までの子供の昼寝は問題ありませんが、その年齢を超えると昼寝の度合いによって夜の睡眠に悪影響を与えてしまう可能性があります。
昼寝は、おやつと同じようなものと考えると良いかと思います。
おやつを食べ過ぎてしまうと食事が食べられなくなるように昼寝も夜の睡眠を減らすことに繋がりやすいです。
その一方で子供の昼寝を止めることによって自然と夜に早く寝ることになるので、その分早く目が覚めるかもしれません。
そして、若年層と高齢者とでは推奨される睡眠時間は異なります。
必要な睡眠時間は個人によって変わるので一概には言えませんが、一般的に1日6~8時間程度は取れるといいのではないでしょうか。
睡眠時の室温は16~26℃
睡眠時の室温は16~26℃にするといいでしょう。
室温は寒すぎない、熱すぎないようにします。
入眠時は、身体内部の温度が効率的に下がることによって眠気が促されます、
ですが、室温の温度が低すぎると手足の血管は収縮して皮膚から放熱せず体温は高くなってしまいます。
寝室の温度や湿度が高すぎても汗をかいて体温調節が上手くいかなくなり、放熱できずに身体内部の温度は高くなります。
湿度が高すぎても低すぎても効率的に身体内部の温度は下がっていきません。
寝つきが悪くなって、中途覚醒が増えて質の良い睡眠が得られなくなってしまいます。
カフェインは眠気を覚ますことで知られていますが、反対に糖質は眠気を誘う要素の1つです。
寝つきを良くする為にアルコールを摂取する人もいますが、アルコールは眠りを浅くしてしまいますので注意が必要です。
寝る前は、フルーツやクラッカーに少量のタンパク質を加えたような軽いスナック程度であれば食べても良いかと思います。
また、寝る前のルーティンとして温かいミルクを飲んでリラックスすると精神的に眠りにつきやすくなることが期待できます。
眠気を誘うメラトニン
メラトニンは睡眠・覚醒に深く関係しているホルモンになります。
朝の光を浴びて抑制されたメラトニンが、約15時間後に上昇していき眠気を誘います。
私たちの身体は、自然に睡眠のプロセスを開始させて眠気を感じさせているということです。
夜しっかりと寝る為に目が覚めたら朝日を浴びるようにしましょう。
また、メラトニンはサプリメントとして摂取することもできます。
国によっては処方箋がないと入手することができませんが、アメリカでは厳密に規制されていません。
日本では、医薬品としてのみ承認されていますので誰でも気軽に摂取することができるわけではありません。
不眠で悩んでいる人は、医療機関で一度相談してみると良いかと思います。
不眠症は誰もが経験することでもあり、変化やストレスに対する自然な反応と言えます。
ただし、週3回以上の不眠症の症状がありそれが3ヶ月も続いているのであれば一度医療機関を受診しましょう。
行動療法などの提案や処方薬、またその他の不眠の原因の解明ができるかもしれません。
もちろん、上記以下の頻度で不眠症の症状を感じている場合でも日常生活に支障を来している場合には、医療機関を受診しましょう。
悪夢の治療技法ナイトメアリスクリプション
あなたは悪夢を見たことがあるでしょうか。
人が悪夢に悩まされている時、多くの人は「もう悪夢を見たくない」と思っています。
しかし、悪夢に対して行われる認知行動療法の1つであるナイトメアリスクリプションは、悪夢を見ないように避けるのではなく、悪夢への恐怖感を軽減させる技法として取り入れられています。
悪夢を避けようとすると、かえって不快な経験を固定化してしまい、さらに悪夢が起こりやすくなってしまいより恐怖に陥ることに繋がってしまいます。
そして、眠りが嫌になってしまうのです。
この治療技法では、悪夢の結末をポジティブなものに変えることで悪夢への恐怖心を軽減させるようにします。
例えば、崖の上で恐ろしい獣に追い詰められるという悪夢に悩まされているとします。
専門家は、この夢の内容を書き留め、結末をポジティブなものに変えて患者に反復して伝えていきます。
恐ろしい獣が自分を襲おうとしたり崖から落ちそうになるのではなく、自分の背中から羽が生えて空を散歩しながら親友の家へ向かい、たわいもない話しをしながら一緒に食事をする、というエピソードにしてしまうのです。
この治療技術によって患者の脳に「悪夢はただの夢である」ことを認識させて、その物語のネガティブな流れを変えることができるのです。
そもそもなぜ私たちは夢を見るのでしょうか。
私たちが夢を見る理由については多くの理論がありますが、その理由は分かっていません。
分かっていることは、夢は主に睡眠の急速眼球運動中(レム睡眠中)に起こることです。
レム睡眠は夜間に定期的に起こる浅い睡眠です。
ある研究によるとレム睡眠が不足すると不安やイライラ、衝動的な感情が起きやすくなり、注意力、警戒力、物事を覚える力、情報処理能力が低下する可能性があるようです。十分なレム睡眠を取る方法は、ストレスの少ない睡眠をしっかりと取ることが大切です。
睡眠時無呼吸症候群
眠っている間に呼吸が止まったり浅くなったりする病気のことを睡眠時無呼吸症候群と言います。
これは一晩に何度も起こります。
無呼吸が起こる度に不足している酸素を取り込もうと覚醒するので慢性的な睡眠不足状態になってしまいます。
この病気の兆候として一番に挙げられるのがいびきですが、朝の頭痛、昼間の眠気、イライラ、注意力低下なども兆候になります。
放置しておくと日中に感じる激しい疲労感の為、日常生活を上手く過ごすことができなくなり、仕事を失ったり、交通事故を起こしたりすることにもなってしまいます。
また、ある医学誌によると睡眠時無呼吸症候群の患者の脳梗塞のリスクは、そうでない人と比べて2倍高くなることが報告されているようです。
睡眠時無呼吸症候群は、心血管系に大きな負担をかけるので高血圧症、脳梗塞、狭心症、心不全、心筋梗塞などの疾患と密接な関係があります。
何か気になることがあれば一度医療機関を受診してみましょう。