健康情報館

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副腎と老化

副腎から分泌されるコルチゾールが炎症を抑え老化を抑えている

老化は体内の炎症反応、コルチゾールが抑えている

老化をするのは、自然現象であり当たり前のことで避けることができませんが、老化する速度は個人によって異なります。
老化を止めることはできませんが、その速度を緩やかにすることはできるかもしれません。

そもそも老化とは一体何なのでしょうか。

年齢を重ねて身体の機能が衰えていくことが老化と答える人が多いかもしれません。
確かにその通りなのですが、医学的な視点で見ると老化に伴う疾患や症状は全て体内で起こっている炎症反応と捉えることができます。
簡単に言うと身体のあちこちで火事が起きているようなものです。

例えば、血管で炎症が起きれば動脈硬化に繋がります。
それが脳の血管で起こって血管が詰まれば脳梗塞になり、心臓で詰まれば心筋梗塞になります。
身近な例で言えば、肌で起こればシミやシワになります。
一般的に医療では、サビである酸化やコゲである糖化と言われる現象になります。
様々な身体の不調や病気は、炎症が身体のどこで起っているかの違いなのです。
症状の度合いは、その炎症の程度の違いになります。
ここで登場するのが炎症を抑えるホルモンです。
それがコルチゾールです。

コルチゾールは、副腎から分泌され体内の炎症を抑えてくれています。
身近な例では蚊に刺されると赤く腫れたりしますが、これも肌の炎症の一つです。
この時、ホルモンが熱をもったり腫れあがったりするのを抑えるように働きます。
他にもアレルギー反応を起こして気管支が腫れあがるのを抑制してくれたりもしています。

コルチゾールは、どんな炎症も抑えるように働く、いわば火消しの水と言えます。
残念ながら私たちは長く生きれば生きるほど大なり小なりの火種をため込んでいきます。
その火種をコルチゾールがこまめに消し去っていることで身体の健康が保たれているのです。

ですが、火種の発生がコルチゾールが抑えるよりも早かったり、消しきれないほどの量の火種ができたり、もしくは消しきれなかったりすることがあります。
その時は、様々な病気や老化症状が外に出てくるのです。

副腎はコルチゾールなどを分泌する内分泌器官

循環器系解剖イメージ

老化の炎症を抑えてくれるコルチゾールは副腎で作られます。
副腎は、腎臓と同じように左右に2つあり、腎臓の直ぐ上にのっかるような形で存在しています。
腎臓は泌尿器系の臓器ですが、副腎はホルモンを生産し分泌している内分泌器官になります。

ホルモンを生産、分泌する内分泌器官は、副腎の他にも甲状腺ホルモンを分泌する甲状腺、性ホルモンを分泌する卵巣や精巣、インスリンを分泌する膵臓、脳にある脳下垂体、メラトニンを分泌する松果体などがあります。
副腎はホルモン分泌の土台になっている重要な臓器になります。

副腎は、おまんじゅうの皮とあんこのような二重構造になっています。
おまんじゅうの皮の部分が副腎皮質、あんこの部分が副腎髄質です。
小さなおまんじゅうである副腎皮質のさらにわずかな皮の部分である副腎皮質からは、コルチゾール、DHEA、アルドステロンなどの副腎皮質ホルモンが分泌されています。

副腎皮質ホルモンの働きは、血糖値の維持、免疫機能の調整、血圧の調整、神経系のサポート、骨の代謝の作用など、重要な働きをしています。

また、副腎髄質からはノルアドレナリン、アドレナリン、ドーパミンなどの副腎髄質ホルモンが分解されています。
これらのホルモンは交感神経を活発にしてやる気を高めてくたり、瞬発的な危機に対応できるようにしてくれたりしてくれます。

副腎から分泌されるホルモンは50種類以上もあります。

現代人は副腎が疲れている

落ち込む女性

副腎が作るコルチゾールは、一般にはストレスに対抗するホルモンになります。
別名ストレスホルモンとも言います。
ストレスと言うと私たちは人間関係や仕事による精神的なストレスをイメージするかもしれませんが、身体に悪影響を及ぼすもの体内に炎症を起こすものは全てストレスになります。

そして、このストレスが昔と現代では違ってきています。
これが副腎にとって大きな問題になっていると言えます。

太古の昔、飢餓と闘っていた狩猟生活の時代は、飢餓と外敵との闘いが最大のストレスでした。
敵と闘うか、危険を察知したら逃げるか、「ストレス反応=闘争・逃走反応」でした。

副腎は、闘うとなった時に目をガッと見開き血管をキュッと締めて緊張状態にします。
そして、血糖値を上げて闘いの最中に空腹を感じないようにして闘いきれる状態にします。
この時、副腎からコルチゾールなどのホルモンが最大限に分泌されていたことでしょう。

では、現代ではどうでしょうか。

生死をかけるようなストレスはなくなり、飢餓状態も起こりにくくなりました。
その代わりに感染症をはじめとしたあらゆる疾患、過労、睡眠不足、食品添加物、薬、カフェイン、光刺激、有害化学物質などの様々なストレスに長時間さらされ続けることになったのです。

このような多くのストレスに対抗して副腎はコルチゾールを盛んに分泌します。
これが長期間続くと、副腎は働きっぱなしになってしまうので疲れてしまいます。
その結果、ストレスに負けてしまい体内の炎症を抑えきれなくなり様々な不調や症状が出てきてしまうのです。

ストレスを感じるのは脳ではないのか、と疑問に思う人もいるかと思います。
確かにストレスを感じるのは脳です。

ですが、脳が「副腎にストレスに対処しなさい」と指令を出しホルモンを分泌しているので実働部隊として働くのは副腎になります。
なので、司令官である脳がいくら命令をしても実働部隊である副腎が疲れ切って働かない状態になっていては解決になりません。
ですので副腎をケアしてあげることが大事なのです。

副腎が元気になれば、脳も変わってくると言えます。
自然に心も身体も若返ってくるのではないでしょうか。

参考書籍⇒アメリカ抗加齢医学会の新常識! 老化は「副腎」で止められた